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2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2007-09-30

■ かたこと「正章千句」貞室 世のかたこと、かたことゝ知て態とは用ゆる例あれども、かたことゝしらで用ゆるかたことは誹に不v用法なり。とらゆるはよし。とらまゆるは京童部のあさましきかた言也 田籠博「『かたこと』考」島根大学文理学部紀要10 1976年森…

2007-09-29

■ [字音]切韵序 昔開皇初、有儀同劉臻?等八人、同詣法言門宿、夜永酒闌、論及音韻、以今聲調、既自有別、諸家取捨、亦復不同、呉楚則時傷輕淺、燕趙則多傷重濁、秦隴則去聲爲入、梁益則平聲似去、又支(章移切)脂(旨夷切)魚(語居切)虞(遇倶切)共爲一…

2007-09-28

■ 古今集遠鏡例言 26 ○大かたいにしへの歌を、今の世の俗語《サトビゴト》にうつすすぢにつきては、猶いはまほしきことども、いと多かれど、さのみはうるさければ、なずらへてもしりねと、みなもらして、今はたゞこれかれいさゝかいへるのみ也、又今さだめた…

2007-09-27

■ 古今集遠鏡例言 25 ○うつし語《コトバ》のしりにつぎて、ひらがなして書ることあるは、譯の及びがたくて、たらはざるを、たすけていへること、又さらでも、いはまほしき事ども、いさゝかづゝいへるなり、ツイートする

2007-09-26

■ 古今集遠鏡例言 24 ○此ふみの書るやう、譯語《ウツシコトバ》のかぎりは、片假字をもちふ、假字づかひをも正さず、便リよきにまかせたり、譯《ウツシ》のかたはらに、をり/\平假字して、ちひさく書ることあるは、其歌の中の詞なるを、こゝは此詞にあたれ…

2007-09-25

■ 古今集遠鏡例言 23 ○枕詞序などは、歌の意にあづかれることなきは、すてて譯さず、これを譯しては、事の入まじりて、中々にまぎらはしければ也、そも歌の趣にかゝれるすぢあるをば、その趣にしたがひて詳す、ツイートする

2007-09-24

■ 古今集遠鏡例言 22 ○物によせて、其詞をふしにしたる、又物の縁の詞のよしなど、すべて詞のうへによれる趣は、雅言と俗言とは、こと/\なれば、たゞには譯しがたし、さる類は、俗言のうへにても、ことわり聞ゆべきさまに、言をくはへて譯せり、ツイートす…

2007-09-23

■ 古今集遠鏡例言 21 ○すべて何事にまれ、あなたなる事には、アレ、或はアノヤウニ、又ソノヤウニなどいひ、こなたなる事には、コレ、或は此ヤウニなどいふ詞を添て譯せることおほきは、其事のおもむきを、さだかにせむとてなり、ツイートする

2007-09-22

■ 古今集遠鏡例言 20 ○あはれを、アヽハレと譯せる所多し、たとへば「あれにけりあはれいくよのやどなれや」を、何年ニナル家ヂャゾヤ、アヽハレキツウ荒タワイと譯せる類也、かくうつす故は、「あはれ」はもと歎息《ナゲ》く聲にて、すなはち今ノ世の人の歎…

2007-09-21

■ 古今集遠鏡例言 19 ○「ぬ」「ぬる」、「つ」「つる」、「たり」「たる」、「きし」など、既に然るうへをいふ辭は、俗言には、皆おしなべてタといふ、「なりぬ」「なりぬる」をば、ナッタ、「来つ」「来つる」をば、キタ、「見たり」「見たる」をば、見タ、…

2007-09-20

■ 古今集遠鏡例言 18 ○「なり」「なる」「なれ」は、ヂャと譯す、ヂャは、デアルのつゞまりて、ルのはぶかりたる也、さる故に、東の國々にては、ダといへり、「なり」ももと「にあり」のつゞまりたるなれば、俗言のヂャダと、もと一つ言也、又一つ「春くれば…

2007-09-19

■ 古今集遠鏡例言 17 ○「けり」「ける」「けれ」は、ワイと譯す、「春はきにけり」を、春ガキタワイといへるがごとし、またこその結びにも、ワイをそへてうつすことあり、語のきれざるなからにあるけるけれは、ことに譯さず、ツイートする

2007-09-18

■ 古今集遠鏡例言 16 ○「つゝ」の譯は、くさ/゛\あり、又「雪はふりつゝ」など、いひすててとぢめて、上へかへらざるは、テと譯じて、下にふくめたる意の詞をくはふ、いひすてたる「つゝ」は、必ズ下花ふくめたる意あれば也、そのふくめたる意は、一首《ヒ…

2007-09-17

■ 古今集遠鏡例言 15 ○「かな《哉》」は、さとびごとにもカナといへど、語のつゞきざまは、雅言のまゝにては、うときが多ければ、つゞける詞をば、下上におきかへもし、あるは言をくはへなどもして、譯すべし、すべて此辭は、歎息《ナゲキ》の詞にて、心をふ…

2007-09-16

■ 古今集遠鏡例言 14 ○「らし」は、サウナと譯す、サウナは、「さまなる」といふことなるを、音便にサウといひ、「る」をはぶける也、然れば言の本の意も、「らし」と同じおもむきにあたる辭也、たとへば「物思ふらし」を、物ヲ思ウサウナと譯すが如き、「ら…

2007-09-15

■ 古今集遠鏡例言 13 ○らんの譯《ウツシ》は、くさ/゛\あり、「春たつけふの風やとくらん」などは、風ガトカスデアラウカと譯す、アラウ「らん」にあたり、カ上の「や」にあたれり。「いつの人まにうつろひぬらん」などは、イツノヒマニ散テシマウタ事ヤラ…

2007-09-14

■ 古今集遠鏡例言 12 ○「ん」は、俗言にはすべて皆ウといふ、「來ん」「ゆかん」を、コウイカウといふ類也、「けん」「なん」などの「ん」も同じ、「花やちりけん」は、花ガチッタデアラウカ、「花やちりなん」は、花ガチルデアラウカと譯す、さて此、チッタ…

2007-09-13

■ 古今集遠鏡例言 11 ○てにをはの事、「ぞ」もじは、譯すべき詞なし、たとへば「花ぞ昔の香ににほひける」のごとき、殊に力を入れたる「ぞ」なるを、俗言には、花ガといひて、其所にちからをいれて、いきほひにて、雅語の「ぞ」の意に聞カすることなるを、し…

2007-09-12

■ 古今集遠鏡例言 10 ○詞のところをおきかへてうつすべきことおほし、「あかずとやなく山郭公」などは、郭公を上へうつして、郭公ハ残リオホウ思フテアノヤウニ鳴クカと譯し、「よるさへ見よとてらす月影」は、当ルマデ見ヨトテ月ノ影ガテラスとうつし、「ち…

2007-09-11

■ 古今集遠鏡例言 9 ○詞をかへてうつすべきあり、花と見てなどの見ては、俗言には、見てとはいはざれば、花ヂャト思ウテと譯すべし、「わぶとこたへよ」などの類のこたふるは、俗言には、こたふとはいはず、たゞイフといへば、難義ヲシテ居ルトイヘと譯すべ…

2007-09-10

■ 古今集遠鏡例言 8 ○歌によりて、もとの語のつゞきざま、てにをはなどにもかゝはらで、すべての意をえて譯《ウツ》すべきあり、もとの詞つゞき、てにをはなどを、かたくまもりては、かへりて一うたの意にうとくなることもあれば也、たとへば「こぞとやいは…

2007-09-09

■ 古今集遠鏡例言 7 ○まさしくあつべき俗言のなき詞には、一つに二ツ三ツをつらねてうつすことあり、又は上下の語の譯《ウツシ》の中に、其意をこむることもあり、あるは二句三句を合せて、そのすべての意をもて譯《ウツ》すもあり、そはたとへば「ことなら…

2007-09-08

■ 古今集遠鏡例言 6 ○みやびごとは、二つにも三つにも分れたることを、さとび言には、合せて一ツにいふあり、又雅言《ミヤビゴト》は一つなるが、さとびごとにては、二つ三つにわかれたるもあるゆゑに、ひとつ俗言《サトビゴト》を、これにもかれにもあつる…

2007-09-07

■ 古今集遠鏡例言 5 ○すべて人の語は、同じくいふことも、いひざまいきほひにしたがひて、深くも淺くも、をかしくもうれたくも聞ゆるわざにて、歌はことに、心のあるやうを、たゞにうち出たる趣なる物なるに、その詞の、口のいひざまいきほひはしも、たゞに…

2007-09-06

■ 古今集遠鏡例言 4 ○俗言《サトビゴト》にも、しな/゛\のある中に、あまりいやしき、又たはれすぎたる、又時々のいまめきことばなどは、はぶくベし、又うるはしくもてつけていふと、うちとけたるとのたがひあるを、歌はことに思ふ情《ココロ》のあるやう…

2007-09-05

■ 古今集遠鏡例言 3 ○俗言《サトビゴト》は、かの國この里と、ことなることおほきが中には、みやびごとにちかきもあれども、かたよれるゐなかのことばは、あまねくよもにはわたしがたければ、かゝることにとり用ひがたし、大かたは京わたりの詞して、うつす…

2007-09-04

■ 古今集遠鏡例言 2 ○うひまなびなどのためには、ちうさくは、いかにくはしくときたるも、物のあぢはひを、甘しからしと、人のかたるを聞たらむやうにて、詞のいきほひ、てにをはのはたらきなど、こまかなる趣にいたりては、猶たしかにはえあらねば、其事を…

2007-09-03

■ 古今集遠鏡例言 1 雲のゐるとほきこずゑもとほかゞみ うつせばこゝにみねのもみぢ葉此書は、古今集の歌どもを、こと/゛\いまの世の俗語《サトピゴト》に譯《ウツ》せる也、そも/\此集は、よゝに物よくしれりし人々の、ちうさくどものあまた有て、のこ…

2007-09-02

■ [言語生活史]文字死活 菅茶山「筆のすさび」 一書札文字死活書札の文字にも死活あり。たとへば一筆啓上仕候より御無事御堅固云々、私宅無恙時候御自愛、猶期後音云々は何事もなきにも書しもかゝざるもしれぬ程の事なり。其間に此間の寒気は弊郷は海浜に氷…

2007-09-01

■ [文字]平仮名と片仮名の混用 大和田建樹『作文寶典』 平仮名と片仮名と混用すべからず。但し特別の名稱(たとへば。「ロンドンに着致」などの如く)を區別するために片仮名を用ひんは妨なし。(p748-749) ツイートする