国語史資料の連関

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2007-09-15

古今集遠鏡例言 13 古今集遠鏡例言 13 - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 古今集遠鏡例言 13 - 国語史資料の連関 古今集遠鏡例言 13 - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

○らんの譯《ウツシ》は、くさ/゛\あり、「春たつけふの風やとくらん」などは、風ガトカスデアラウカと譯す、アラウ「らん」にあたり、カ上の「や」にあたれり。「いつの人まにうつろひぬらん」などは、イツノヒマニ散テシマウタ事ヤラと譯す、ヤラ「らん」にあたれり、「人にしられぬ花やさくらん」などは、人ニシラサヌ花ガ咲タカシラヌと譯す、カシラヌ「や」と「らん」とにあたれり、又上に「や」「何」などいふ、うたがひことばなくて、「らん」と結びたるには、ドウイフ事デといふ詞をそへてうつすも多し、又「相坂のゆふつけ鳥もわがごとく人や恋しき音のみ鳴らんなどは、人ガ恋シイヤラ聲ヲアゲテヒタスラナクとうつす、これはとぢめの「らん」の疑ひを、上へうつして、やと合せて、ヤラといふ也、ヤラは、すなはち「やらん」といふこと也、又「玉かづら今はたゆとや吹風の音にも人のきこえざるらん」などのたぐひも、同じく上へうつして、やと合せて、ヤラと譯して、下句をば、一向ニオトヅレモセヌと、落しつけてとぢむ、これらは「らん」とうたがへる事は、上にありて、下にはあらざればなり、