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2002-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2002-04-30

■ [和訓栞]和訓栞大綱(108) ○本居氏の説に[ん]は五十音の外にて鼻音なるを以て竪横の通ひあらす されは上代には[ん]の音なし 唯[む]と唱へて[ん]とハ唱へさりし故に[なむ]を[なめ][なも]とも通し用たり|大御《オホミ》を[おほん][ちりひぢ]を[ちりんぢ]とい…

2002-04-29

■ [和訓栞]和訓栞大綱(107) ○口を箝めは五十音皆なし 唯[ん]の音のみあり[ん]ハ喉舌唇他の餘韻也 よて鼻より發せり 梵音にも鼻聲によぶ事あり 清濁音を隨鼻音といふも見つへし 鼻はもとより息のかよふ所なり されハ息の字も鼻心に从ふともいへりツイートする

2002-04-28

■ [和訓栞]和訓栞大綱(106) ○[あ]ハ是一切開口の始也 [む]ハ是諸聲合唇の終也 よてすへての發聲に[あ]の響を含めり 音韻[む]に納まるをもて轉して[ん]ともなれり阿吽の二音開合の首尾にして[うん]の音[む]と通用するも併せ考ふぺし 摩多體文の圖には[う]と[…

2002-04-27

■ [和訓栞]和訓栞大綱(105) ○開合手に入たる人の[むはね]といふ事あり。[み]と[む]との間にいへども、はねるがごと聞うる也。又源氏の[はゝきゞ]も[はゝ]あらはなるも、[はわ]と轉じたるもあしゝ。[はあ]といふさまにて、さはらねやうによみ習ふとぞツイート…

2002-04-26

■ [和訓栞]和訓栞大綱(104) ○[いきしちにひみいりゐ]の九 言語の中にある時ハはねていひ習ハせり よて[おほみよ]と書て[おほんよ]と唱へ[ちりひち]と書て[ちりんち]と唱ふるは音便也 さるを本語を忘れて音便を假字書にするハ故實を失ふ事也といへり ツイート…

2002-04-25

■ [和訓栞]和訓栞大綱(103) ○俗語につよくいはんとて[つ]をそへり をもくとめたる詞多し 淺きを[あつさり]浮るを[うつかり]堅きを[かつたり][わさ/\]を[わつさり][うそ]を[うつそり]はたと]を[はつたり][ひたと]を[ひつたり][ほこやか]を[ほつこり][きハだ…

2002-04-24

■ [和訓栞]和訓栞大綱(102) ○正しき假字書には訴を[うたへ]全を[またく]專を[もはら]と書て[つ]字を書す 入聲の[つ]ハ喉の内にありて外にあらハれされハ也といへり うたひにまつの[つ]を喉にてつめて鼻聲に呼も同し ツイートする

2002-04-23

■ [和訓栞]和訓栞大綱(101) ○第二第四の韻より[る]とつゝく辭の轉用は皆俗言也 こを雅言にハ皆第三の韻よりつゝくる也 たとへば[荒ぷる]を[あらびる][浴る]を[あびる][生る]を[いきる]又[たふる]を[たへる][受くる]を[うける][載する]を[のせる][建つる]を[…

2002-04-22

■ [和訓栞]和訓栞大綱(100) 歌に上に[そ]といへは下必す第三の韻にてとまり上に[こそ]といへは下必す第四の韻にてとまるは自然の妙なるべし この外は[そ]といへるに[しき]又[しに]にておさへ[こそ]といへるに[しか]又[らし]にておさふるの類のみ ツイートする

2002-04-21

■ [和訓栞]和訓栞大綱(99) ○[おに]とはかりいヘハ重きゆゑに[お]と書 [をにのしこくさ]といふ時ハ軽きゆゑに[を]と書 [山おろし]に對すれハ[みやまをろし]ハ輕きをもて[を]の假名を用ゐ 又書つゝくる時に[君をゝもふ][荷をゝもみ]なとハ[を]の假名也 [おとこ…

2002-04-20

■ [和訓栞]和訓栞大綱(98) ○[あ]と[か]とは諸音の中に殊にしたしくかよふ也 よて日本紀私記に軽皇子を阿留皇子と書 倭名鈔に筑前の志加を志阿と載せ 貫之集にあはと見るとあるを六帖にかはとみると見ゆ [かの]を[あの]といひ[かれ]を[あれ]といひ [かなた]を…

2002-04-19

■ [和訓栞]和訓栞大綱(97) ○あの行と和の行とは首尾に居て相通へるか中に織絹を[ありきぬ]とよみ愛宕を[あたご]とも[おたぎ]ともいひ戦慄を[をのゝく]とも[わなゝく]ともよみ誘を[わかづる]とも[をこつる]とも婦人を[たをやめ]とも[たわやめ]とも撓を[とをゝ…

2002-04-18

■ [和訓栞]和訓栞大綱(96) ○出雲人は[はひふへほ]の音甚重く[ふわ][ふゐ][ふう][ふゑ][ふお]と聞ゆ。平家を[ふゑいけ]半分を[ふわんぷん]といふ類也。安藝人は[くわ]といふ事を凡て[か]といへり。關東を[かんとう]一貫を[いつかん]の類也。江戸も観音を[かん…

2002-04-17

■ [和訓栞]和訓栞大綱(95) ○しちすつの濁音紛れ易し 古例と訓義とを辨て書へし 妄にすべからす ツイートする

2002-04-16

■ [和訓栞]和訓栞大綱(94) ○訓の中下にて[き]にかよふへき所は皆[い]を書べし [ふ]にかよふへき所は皆[ひ]を書へし 又[ゆ]にかよふにには[え]をもちゐ [ひ]にかよふには[へ]を用うへし 又よみの音を引所にて[き]と[く]と[む]と[み]とにかよふには[う]を書へ…

2002-04-15

■ [和訓栞]和訓栞大綱(93) ○いえをは開の軽に用ゐたり ゐゑおハ合の重きに用ゐたり されは假字使は畢竟音の軽重開合より自然に分れたるなるへしといへり ツイートする

2002-04-14

■ [和訓栞]和訓栞大綱(92) ○いゐえゑをおの三對六字もとより軽重同しからす また相通へる例なし 南朝の明魏法帥はいゐえゑをおのたぐひ皆通して書へきよしをいへり 是は通を見て別を知らさる也 別あるゆえに通の名もあり 先別を能知りて通をかね用へし 通別…

2002-04-13

■ [和訓栞]和訓栞大綱(91) ○「はひふへほ」の五音 訓の中と下とに在てハ皆「わゐうゑお」の音によへり わハ反わ ゐひ反ゐ なるをもて也 ふへほも同し 伊呂波の四十七字も此二行相かよふ使やうを知しめたる者也 且「あいうえを」の行「わゐうゑお」の行と紛れ…

2002-04-12

■ [和訓栞]和訓栞大綱(90) ○假字つかひの大事たゝ喉音にあり 一切の音喉音を本とすれハ也 通雅に外国喉音特多しといひ五音皆宮に統るも亦此所以なるへし ツイートする

2002-04-11

■ [和訓栞]和訓栞大綱(89) ○「あいうえを」の行「わゐうゑお」の行、首尾に居て活用する時ハ假字づかひ多「はひふへほ」の行に帰せリ たとヘハあの行を「遇」にていふに「あはん」「あひ」「あふ」「あへ」とはたらけり わの行を「請」にていふに「こはん」…

2002-04-10

■ [和訓栞]和訓栞大綱(88) ○岡部氏の説に「かさたは」の四行の濁音に「かきくけこ」を「らりるれろ」もていへるは、刺を「いか」といふは苛を「いら」といふに同し 「うかち」と「うらつ」と通ひ、瀧を垂といふ事あり 振を古へ「ふき」といへり 味の「ゑぐき…

2002-04-09

■ [和訓栞]和訓栞大綱(87) ○かさたは四ツの行に濁音あり そか中にはひふへほの一行には半濁の音あり 餘りハなし ツイートする

2002-04-08

■ [和訓栞]和訓栞大綱(86) ○倭人応対の聲もまた皆あいうえをに出ず 五字ハ聲音の根源なるがゆゑ也 あと答ふるは禁秘抄に見えて今あゝといひあいといふハ其詳なる也 水南翰記に諸司官御前承v旨皆曰阿其聲引長と見えたり ないねいの音に聞うるハあいの轉訛せる…

2002-04-07

■ [和訓栞]和訓栞大綱(85) ○あいうえをハ同行又和ノ行とは通はしいふもあれと次の八行とは相通はす 和の行はあの行の轉音なれは通はしいふもありておの音のみ他へも通ひ助辭にも多く用ると和の行の尾のおは言の上にのみいふ音なるを はてに在とを對へ見れは …

2002-04-06

■ [和訓栞]和訓栞大綱(84) ○あいうえをの韻となる字下にある時は約め詞多し 萬葉集に吉野尓在と書てよしのなると讀はにあ反な也 雪消と書てゆきけとよむはきえ反け也 くぬちとよみて國中をいへるはにう反ぬなるゆゑ也 其外はありとも少なかるへしといへり ツ…

2002-04-05

■ [和訓栞]和訓栞大綱(83) ○らりるれろの五音には、和語の發聲なし。此行の音にては語のつまるをもて知へし。梵學にて此五音を入聲とする事あるも漢土の聲音ふつくちきの五ツにてつまるが如し。よて五音ともに助語に多くそへていへり。萬葉に大かた在有又所…

2002-04-04

■ [和訓栞]和訓栞大綱(82) 〇五十音あおの二音音尾をなして末を結ふの和語なし 口語のまあやあの類は響き也 よてかさたなはまやらわの下にいふあの音はすへて唱へす 高天原をたかまのはらといひ磐余をいはれといふの類見つへし 地名のをおそおも同し さらは…

2002-04-03

■ [和訓栞]和訓栞大綱(81) ○五十字音は十四音に摂し十四はあいうえをの五韻に收り五韻またすへてあの一韻に歸せり 凡人のロを開きて音を生する始めは必すあの音あり あは一切聲韻の本源言語の根基也 よて人の初て生れ出て發する聲もまたあといへり されは神…

2002-04-02

■ [和訓栞]和訓栞大綱(80) ○あいうえをの五字とかさたなはまやらわの九字と合して十四音也 五字を韻とし九字を聲とし三十六字を生するゆゑに能生所生合して五十音となる也 五十音は十四音を本とす よて涅槃経にも十四音名曰字本とも説りといへり されと涅槃…

2002-04-01

■ [和訓栞]和訓栞大綱(79) ○いうえの三ツ同字にて無用なるやうに見ゆれとも うにかよふいえあり これをあいうえをの行に收む ゆにかよふいえはやいゆえよの行に收む あいうえをのうは軽く出る音訓の頭に用る是也 わゐうゑおのうは音訓の尾につかふ重きう也 …