国語史資料の連関

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2003-01-01から1年間の記事一覧

2003-08-02

■ [日本人の外国語など]新渡戸稲造 「内観外望」 實際を見ると、英吉利及び亜米利加などのアングロサクソン族は、一には商業、一には言語をもつて、漸次世界を風靡しつゝある状勢にある。英語の流行るのは、單り日本ばかりではない。支那にも大流行である。…

2003-08-01

■ [外国人の日本語など]五味川純平「人間の条件」 佐藤孝『日本語文章表現学』?桜楓社 p.65に引用 舞台は満州。第二部に限らず頻出する。ツイートする

2003-07-01

■ [方言意識史]井村倫子『飛烏清子の母として』 「共通語励行」という言葉を、日本の何人の方たちがご存じでしょうか。沖縄には、その土地その土地で方言がいっぱいあったのです。私の両親は教員をしていましたので、方言は使わなかったので、沖縄人である私…

2003-06-01

■ 神宮文庫本玉篇(岡井慎吾『玉篇の研究』) (4) 神宮文庫本 以上の三種が僅に三年の間に出でたるに、神宮文庫本は殆ど十年にして始めて刊行せられたり。その跋文に 右顧野王玉篇の第二卷(この上に廾の字を脱せり)、欸しで曰はく「延喜四年正月十五日收爲典…

2003-05-01

■ [方言]道教え 福岡 『関西科研 道教え』というcd-rom(平成12~14年度文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(B)(1) コミュニケーションの地域性と関西方言の影響力についての広域的研究 研究代表者:陣内正敬)の、福岡部分を抜き出したものです。見やすい…

2003-04-03

■ [言語生活史]ウエブスター字書輸入の始め(明治事物起原 第七学術) 万延元年、わが咸臨丸、米国に渡る。帰るに臨み、福沢諭吉、中浜万次郎の二氏、おのおのウエブスター?字書を購入して帰れり(福沢自伝?)。これ、本邦に、同辞書を輸入せし鼻祖なるべし。…

2003-04-02

■ [表記史]ウの洋字(明治事物起原 第七学術) ウの音を現はす英字は、慶応三年版の平文《ヘボン》の辞書を始め、みなU字を当てること普通なるが、坊問の俗書、地本級の俗書、明治四年刊『支那西洋国字どゝ一』には、TA KE WO KA I TA RU BI YO OO BU NO OO …

2003-04-01

■ [言語生活史]英語にて御安着祝辞(明治事物起原 第七学術) 「このごろ聞く、京都に於て、中学校にありし女子数人、御巡幸の折から、洋語をもて、御安着を祝し奉りしとそ」。(明治六年刊世界婦女往来)ツイートする

2003-03-31

■ [言語生活史]記憶術の始め(明治事物起原 第七学術) 和田守菊次郎、記憶術の発明を発表せしは、明治二十八年なり。ところどころにてその実験を試み、連絡なき数字等をいひあてること、これを掌上に探るがごとし。同年七月ころ、類似の同法、陸続世に出づ…

2003-03-30

■ [言語生活史]大橋図書館の始め(明治事物起原 第七学術) 明治三十五年六月十五日、大橋図書館開業す。同日はあたかも博文館創立の十五周年記念日なり。同館は、大橋佐平が、川上大将の旧邸を買ひ、その邸地内を敷地として、建設に着手し、後嗣新太郎が、…

2003-03-29

■ [言語生活史]女速記者の始め(明治事物起原 第七学術) 女子速記者が、公開演説場に出でて速記をなせるは、佃与二郎の門弟なる二女子(大沢とよ十七年、中村たま二十四年)が、明治二十二年十二月九日、厚生館の廃娼演説会の速記に出でしを嚆矢とすべし。ツ…

2003-03-28

■ [言語生活史]漢学の末路(明治事物起原 第七学術) 明治二年、集議院にて、欧米の文明国同様にする方策を得んとて、おほいに官民の建白を募れり。前島来助(後の名は密)が、漢学を廃して、仮名を一定の国字とし、国文を定むべき建白を出せるは、このときな…

2003-03-27

■ [国字問題]仮名がき論の始め(明治事物起原 第七学術) 明治七年五月発行『明六雑誌』第七号に、清水卯三郎の平仮名の説あり、平仮名にて、日本文を書くべきを論じたり。「則余ガ〈舎密ノ階〉ヲ訳述シテ同志ニ謀ル所以なり」とあり。氏の舎密書に、仮名書…

2003-03-26

■ [学史]偽版類版本と大阪(明治事物起原 第七学術) 東京出版の書籍にて、その偽版類版本の出るは、大阪に多し。表むきになりしものに左の数点あり。(括弧内は、その被害者) 和訳英辞林(さつま辞書)、和英辞林集成(ヘボン辞書)、条約十一ヶ国記(福沢氏)、世…

2003-03-25

■ [言語生活史]外国語学校の始め(明治事物起原 第七学術) 明治二年、開成所?に英仏二語学科を設け、ついで独語を加へ、六年五月に、かつて外務省?に設けしところの独露清語学所?を文部省に併管し、これを外国語学校?と称せり。 すなはち七年十二月、英語科…

2003-03-24

■ [表記史]五十音中の奇字(明治事物起原 第七学術) 著者が寺子屋より、新設の小学校に転学?せしは、明治七年なりと思ふ。新入の初等八級生として所要の数科書?を一冊買へり。本の名は、いま記憶になきも、喜びてこれを自宅に持ち帰り、一枚を開き見て驚け…

2003-03-23

■ [言語生活史]国民英学会(明治事物起原 第七学術) 明治二十一年、米人イーストレーキと磯部弥一郎と協力、国民英学会を創建す。神田錦町一丁目にあり。 国民英学会 小原弘道 日の出る国の人等が月の入る国の学びの道そ開くるツイートする

2003-03-22

■ [国字問題]国語問題(明治事物起原 第七学術) 明治になりて、わが国語と文章との間に、大溝渠あるを不便とし、両者を相近づかしめんと論著せしは、実に明六社諸同人に始まる。ローマ字仮名字?のことは、別項これを述べたれども、なほ、当時の世論一斑を抄…

2003-03-21

■ [言語生活史]国語伝習所(明治事物起原 第七学術) 国語伝習所は、日曜日ごとに、国語国文を研究するを目的とし、大成中学校内にあり。明治二十二年十月の創立なり。ツイートする

2003-03-20

■ [学史]増訂華英通語(明治事物起原 第七学術) 増訂華英通語?は、半紙判一冊、万延庚申歳快堂蔵版慶応義塾蔵版之印あり。福沢範(字は不囲)諭吉の漢文序あり、庚申之春|桑方西斯哥《サンフランシスコ》港に航し、清人子卿の原本を得、それに和訳および発音…

2003-03-19

■ [学史]清水卯三郎小伝(明治事物起原 第七学術) 清水卯三郎は、西洋文化の輸入者なり。文政十二年三月四日、武州羽生町に生まれ、長ずるにおよびて、寺門静軒、芳川波山等について、漢学を学び、また箕作元甫について蘭学を学べり。 安政元年、露艦の伊豆…

2003-03-18

■ [近代語]社会学の始め(明治事物起原 第七学術) 社会学は、ギゾー、バックルの文明史、およびケーリーの経済書に系統を引き、スペンサーの社会学、一時もつとも盛んに行はれ、有賀氏これを応用して、社会進化論を著はせり。 社会の語の幼名(明治事物起原…

2003-03-17

■ [近代語]社会の語の幼名(明治事物起原 第七学術) 漢語の社会は、もと、土神の祭りと、人の集会の語にて、『正法念経』第九巻に、「彼の人是の如く社会等の中に妄語し悪説す」などあり、村人の集まりといふくらゐの意義なり。 それが、明治維新直後には、…

2003-03-16

■ [言語生活史]新旧書店の交代期(明治事物起原 第七学術) 洋書店丸善の創立者は、福沢諭吉と交際あり、何彼と、福沢氏に相談し、洋書店の魁をなし、つひに、今日の盛を致せりと聞く。同じ福沢氏を崇拝しながら、立派の老舗を破産させし岡嘉のごときもあり…

2003-03-15

■ [言語生活史]辞典出版の流行(明治事物起原 第七学術) 明治三十九年前後、辞書辞典と名付くものの出版多し。その内重なるは左のごとし。概して糊と鋏にて成りたるが多し。 絵画辞典・高等小学校教科書辞典・数学辞典・幾何学辞典・家庭辞典・理科辞典・作…

2003-03-14

■ [言語生活史]スペル和訳書の始め(明治事物起原 第七学術) 英人ウエブストル氏のスペルリーングブツクを、東京西村周助訳、明治五年正月官許、京都書房合梓、小本一冊、ナンバー二十九までを訳し、十二までは、その訳語とよみ順を、数字にて示せり。 ヒー…

2003-03-13

■ [近代語]精神科学?の訳語(明治事物起原 第七学術) 精神科学に関する心理学・倫理学?・哲学・論理学等、今日使用する新訳語?は、加藤弘之・西周諸老を始め、井上哲次郎・外山正一等、若手の訳語にて、普通語となれるものも多し。 いま、井上氏の談話の要…

2003-03-12

■ [言語生活史]小学校読本の始め(明治事物起原 第七学術) 明治五年七月、学制?を布告し、全国に、小学校の創置を命じ、旧寺子屋教育の面目を一新せんとせり。ただ教員と教科書の供給を先とし、まつ師範学校を開きて教員?を養成し、読本の発行を急ぎ、とも…

2003-03-11

■ [国字問題]小学仮名つかひ(明治事物起原 第七学術) 小学校にて用ひる漢音*1の仮名つかひは、発音のまま教、協、喬等はみなキョーと書くの類、ーを長音符として用ふべき旨、明治三十三年樺山氏の文部大臣時代、制限漢字一千二百字の表とともに第二号表に…

2003-03-10

■ [近代語]性法の語の始め(明治事物起原 第七学術) 『万国公法』巻一に、「世人若シ国君無ク、王法無ク、天然同居シ、其来往相待ツノ理ヲ究ムレバ、応ニ当ニ如何スベキ、此乃チ公法ノ一種、名ケテ性法ト為ス…… 其謂ハユル性法トハ他無シ、乃チ世人天然同居…