国語史資料の連関

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2003-03-24

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 著者が寺子屋より、新設の小学校に転学?せしは、明治七年なりと思ふ。新入の初等八級生として所要の数科書?を一冊買へり。本の名は、いま記憶になきも、喜びてこれを自宅に持ち帰り、一枚を開き見て驚けり。いままでに習ひし、いろはにあらずして、片かな五十韻なり。そして、そのヤ行には、見なれざる字あり、これはたしかに本が違ひ、文字が逆さになつてゐるものと速断し、早速さきの本屋に往き、「この本は、字が逆になつてゐるから、取り換へて下さい」とかけ合へり。本屋は、他の本をあらため、「どの本もさうだから、違つてはゐません」といふ。内気なりし予は、顔を赤らめ、しかたなく、さきの本を持ちて、すごすご帰りしことあり。この字は、当時師範学校編輯下等八級生用書にありしだけにて、その後今日まで、この字を実用せしを見聞せず。

 明治七年に買ひたる入門書は失ひたれば、その書名は、いまは明らかならず、だが、幸ひに明治七年刊『小学教授法』土方幸勝?輯録にも、同種の五十韻あり。

 近日、榊原芳野編次の小学読本巻之一を閲せしに、その例言中に、「五十韻也行のイエ和行のウは、古より別用せず、故にこれを省く」とあり。奇字に関係する記事を始めて見とめしものなり。

コメント

ヤ行には、見なれざる字 (通りすがる乙女)

2005-08-08 18:02:19

小学指教図』(文部省編集 唐沢富太郎[著]) の第2図なども同様ですね。

(広島大学教科書コレクション)


古田東朔音義派五十音図」「かなづかい」の採用と廃止」(『小學読本便覧第一巻』http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/DocDetail?txt_docid=NCID%3ABN01394621 http://opac.ndl.go.jp/recordid/000001398572/jpn