国語史資料の連関

国語史グループにあったブログ

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2009-02-28

■ [方言意識史]シナリオと方言 荒井 「赫い髪の女」なんか一ヶ月かかって中上健次の著作、全部読んでね、それまで一冊も読んでなかった、同い年ぐらいで芥川賞作家っていうとあんまりね(笑)、読みたくないと。仕事だから読んだら、読みづらくってね、方言と…

2009-02-27

■ [方言意識史]「東京の方言ばい」 川崎 はい。そのころは、ぼくがその歳までしゃべっていた東京のことばってものが、即、正しい日本語だっていうふうに思い込んでいたし、また、当時は日本中に標準語っていうものを、それもなるべく東京のことばをお手本に…

2009-02-26

■ 九州出身の日本語教師 深田 その点、戦前の海外日本人小学校の先生の質はすばらしかったといいますね。このあいだまで、パリの日本人小学校に通うと、先生が九州出身ばかりで子供が九州弁になるといわれてましたが、(笑)戦前の海外日本人小学校も九州出身…

2009-02-25

■ [方言意識史]長島の千葉方言と原の九州弁 長嶋は、立教大学に入学して東京に出てきたころから、自分が田舎者であることを痛感させられる。彼は自らの千葉方言に負い目を感じ、野球部の寮の電話番を忌避していたというのだ。「おまえは練習せんから、チト、…

2009-02-24

■[方言意識史]小説って東京弁で書いてある(村上龍) 龍 ぼくは会話でいちばん苦労したんですよ。ある人に読んでもらったら、「会話がひどい」っていわれたんです。第三稿ぐらいまで書き直したんだけど、いま読み返すと、やはりひどいんですよ。そのころは電…

2009-02-23

■ [方言意識史]九州弁を使う田舎丸出しの好々爺 野田卯太郎 福々しい丸顔で、大兵肥満で、身なりにも礼式にも構わず、分らぬ九州弁を使う田舎丸出しの好々爺は野田卯太郎?だ。禅学に悟入したつもりでいたり、駄句を作ったり、蘭の絵を画き散らしたりするのが…

2009-02-22

■ [方言意識史]大阪弁と浄瑠璃(豊沢団平?) 晩年には、東京の人々の熱望によって東上し、東京でも内弟子を養い、外弟子をも持っていたが、身分のある弟子達にも、彼れは遠慮しなかった。東京の内に住みながら、彼れの家だけは、純然たる大阪で、大阪弁でな…

2009-02-21

■ [方言意識史]寺崎広業の秋田弁 広業先生はいたって磊落《らいらく》で、平民的で、僕〈川路柳虹〉等と一緒に馬鹿騒ぎをした。教室へ来ても、何一つ絵の指導などはされない。いつも漫談なのである。ところがその漫談が、例の難解な秋田弁なので、外国語以上…

2009-02-20

■ よくってよ(内田魯庵) 如何《どう》考へても聖書《バイブル》よりは小説の方が面白いには違ひなく、教師の眼を窃《ぬす》んでは、『よくッてよ』派小説に現《うつつ》を抜かすは、此頃の女生徒気質なり『文学者となる法』(明治27年) 森銑三『明治東京逸聞…

2009-02-19

■ [言語遊戯]対義語(太宰治「人間失格」) 自分たちはその時、喜劇名詞、悲劇名詞の当てっこをはじめました。これは、自分の発明した遊戯で、名詞には、すべて男性名詞、女性名詞、中性名詞などの別があるけれども、それと同時に、喜劇名詞、悲劇名詞の区別…

2009-02-18

■ よくってよ(それから) 縫《ぬひ》といふ娘は、何か云ふと、好くつてよ、知らないわと答へる。さうして日に何遍となくリボンを掛け易へる。(夏目漱石「それから」三) 槌田満文『明治大正の新語・流行語』p184小林千草『女ことばはどこへ消えたか』光文社…

2009-02-17

■ です(大槻文彦) 「デス」わ、随分古くから、つかって来た語のようであるが、江戸でわ、元《も》と、芸人言葉で、軽薄な口調の「でげす」などと同じもので、明治以前わ咄家、太鼓持、女芸者、新吉原の茶屋女などに限って、用いられていたもので、町人でも…

2009-02-16

■ です(渡部温) 同輩の対話には大概略してデスを用ふる事を簡易にして宜とす。自から試むへし(明治元年『英蘭会話訳語』) 惣郷正明『日本語開化物語』p63水野雅央『標準語の現在』 p37ツイートする

2009-02-15

■ よくってよ(早稲田文学) 令嬢妻君の言葉に下等社会の説語、卑語、砕けたる又は甘ったるき俗語も往々混りて、昔は牛込辺の場末の語にて『アラよくってよ』等が今日にては寧ろ中流以上の言葉のやうに聞かるるも異なものかな『早稲田文学』明治二十九年四月 …

2009-02-14

■ よくってよ(大槻文彦) 今女学校で流行る「よくつてよ」などいふ言葉も聞きにくい。維新前の将軍大名の奥向、徳川の旗下の婦人などの言葉は上品なものでありました。婦人の言葉は其人の品格にかかはるから女の言葉遣ひは慎まねばなりませぬ(大槻文彦「日…

2009-02-13

■ 明治のら抜き方言(静岡県方言辞典(明治43) 我に能力ある意を表す語遣 れる ソレワ私ハ買ワレル める ソノ本ハ読メル れる ココカラ見レル られる ソンナコトナラ私デモ為(セ)ラレル られる ソンナコトナラ私デモ為(シ)ラレル左の如くいふ所あり めーる …

2009-02-12

■ 「ら」を省略(松下大三郎『標準日本文法』) 1924 p361 被動の助辞「られる」の「ら」を省略して用ゐるのは「起きられる」「受けられる」「来られる」を略して「起きれる」「受けれる」「来れる」という類だ。上一段、下一段、カ行変格皆そうなるが平易な…

2009-02-11

■ ネバー好き(獅子文六『自由学校』) 重複してたので統合http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20071112ツイートする

2009-02-10

■ 慣用語(獅子文六『自由学校』) 「ホッホッホ。あんたがた、ずいぶん、いろんな言葉、発明するのね」「発明じゃない。新しい慣用語を与えるだけよ」 新潮文庫版 p84 「慣用を与える」だけでよさそうにも思うが。ツイートする

2009-02-09

■ [漢語]山田孝雄『国語の中に於ける漢語の研究』第五章 漢語の形態の觀察 0 漢語はもと古代の支那語たることは明かなれど、現代の支那語とは頗る異なるさまを呈するものにして、ことにわが國語に入れるものにありては一層甚しとす。今吾人の目的とするもの…

2009-02-08

■ [言語生活史]読んでお聞せな おとよ「オヤそりやア読本とやらだねえ。おろく「あゝ好文士伝と云ふ為永の新作だよ……おとよ「オヤ夫れじやア面白いねえ。姉さん私にも些と読んでお聞せな。おろく「あゝその代り読み賃に嘉喜餅でも焼くなら。おとよ「かき餅で…

2009-02-07

■ [言語生活史]聞きたいから読んでおくれ 憂事と嬉しきことを睦しく朝夕かたる恋の中裏其中にしもとり別ていと睦しき一構美人の揃ひし二階の風情……是より嬢どもは顔をあらひ、髪を撫上、種々用をなしながら雑談の体と見るべし……●「オヤそれだね昨日よみかけ…

2009-02-06

■ [言語生活史]読んで聞かせる 岑「……寝て居て、私が本を読んで聞せよう。ふさ「ヲヤ嬉しいねへ。もみ「何の本でございますヱ。岑「ヱひよくの紫といふ人情|本《もの》サ……ふさ「ヲヤそれぢやアはじめツから巻末《しまい》まで読 でお聞せなさゐヨ。もみ「ヲ…

2009-02-05

■ [言語生活史]拾ひ讀み 自分の祖母は非常に小説好きであつた。……それで自分の五六才の頃には、能く祖母から草双紙の絵解きをして貰つたので。『八犬伝』なんかは馬琴の原書ではなく『犬廼草子』や『かなよみ八犬伝』の方で、早くから馴染であつた。此他『白…

2009-02-04

■ [言語生活史]朗々と誦す 五才の春から親しく父の口授の下に、習ひ始めた「三字経」といふのは、其頃汎く世に行はれたもので「人之初。性本善。性相近。習相遠」などと韻を踏んで、倫理・道徳、天文、歴史、文学を極めて平易に説いた、三十枚程の本であつた…

2009-02-03

■ [言語生活史]朗々と吟ずる/黙読 佳人之奇遇の華麗な文章は協志社にも盛に愛読され、中に数多い典麗な漢詩は大抵諳記された。敬二が同級で学課は兎に角詩吟は全校第一と許された薄痘痕の尾形吟次郎君が、就寝時近い霜夜の月に、寮と寮との間の砂利道を『我…

2009-02-02

■ [漢語]字音語(「とはじぐさ」) 字音《ヂオン》にていふ詞は。皆つねこととも。又新しき言葉ともいはめ。是とても既に。寧楽《ナラ》の朝《ミカド》の頃より。哥にも作《ヨ》み入れたり。されどやまと言《ゴト》を正すてふうへには。字音を用るはよき事に…

2009-02-01

■ [この人が作った]森田思軒の冒険(森鴎外「藤鞆絵」) 冒険といふ詞は、aventure(アワンチュウル)を故人森田思軒が訳して、始て使ったのだと、本人の直話であった。 日本国語大辞典「冒険」ツイートする