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2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

2010-03-31

■ [学史](和字正濫通妨抄) あいうえを、此五音は本音なり、やいゆえよ、わゐうゑお、これは末〈音〉(韻)なり、やの下のいは、やを父とし、あの下のいを母として、也以切、以となる、ゐもまた、わを父とし、いを母として、わいの切、ゐとなる故に、共に末な…

2010-03-30

■ [学史](和字正濫抄) 四聲の聲をさすことかくのことし。例をいはゞ、公平孔上貢去谷入かくのごとし。平聲ハ聲の本末あがらず。さがらす。一文字のごとくして長し。上聲ハ短かくして。すぐにのぼる。去聲ハ。なまるやうに聲をまはす。入聲ハ下にふつくちき…

2010-03-29

■ [学史](和字正濫抄) はまハ共に唇音ながら。はハ唇の内に觸て軽く。まハ脣の外に觸て重し 軽重ツイートする

2010-03-28

■ [学史](和字正濫要略) 桶 をけ 和名に乎計。行阿の假名邉に桶とのみいふ時の假名ハおけ小桶といふ時ハこをけなりといへり。行阿の意を推量するにをハ軽くかハ重しと分ちて平聲にあたりてすゑ去聲にまはしていふ 此ニッハ重く上聲に直く上るを軽しとして…

2010-03-27

■ [学史](和字正濫要略) 「おほつ」といふときハ平聲 「おほ山」といふときハ上聲 「おほ野」といふ時ハ去聲也。さりとて「お」の字をかへて「越」とハ書事なし。「をる居」といふハ平聲の輕也。但常に輕といふハ當りて重くいへば却て重なり。「和名」菊の…

2010-03-26

■ [学史]牙音喉音にも軽重を立つるは甚穏ならず(韻鏡指要録) 舌音の第二第三等歯音の第二第三等も唇音に準へて軽音とす。其知徹澄嬢は端透定泥に比れば舌を用ふること軽し。照穿牀審禅は精清従心邪に比ぶれば歯に当ること軽ければ各軽音とするに失なし。又…

2010-03-25

■ [学史]喉音にも亦軽重あり(音韻断) 索隠*1の中にも云へる如く、軽重と云名はもと惟唇音にかぎりたることにて舌音にては舌頭舌上【又舌腹とも云】と云ひ、歯音にては歯頭正歯と云ふ。されども其音の別を論ずるに全く唇音の軽重に類したることなれば、概し…

2010-03-24

■ [学史]平仄を以て軽重と覚えたる人あり(韻学口訣) 軽重と云は。右七音の内。唇舌歯三音にあることなり。牙喉半舌半歯の四音には軽重なし【平仄を以て軽重と覚へたる人あり。意得ちがひなり】 或書に云 軽重と云は唇音而已にして餘音には軽重なき由書けり…

2010-03-23

■ [言語生活史]集議と魚市(村垣淡路守の日記) 評議の席とて案内するに二十間に十間もあるべき板敷にして四方折廻し、二階敷にして合天井の如く、格子に組て金銀彩色の模様ある玻璃の板を入、高き事二丈余も有べし、正面高き所に副統領(ワイスフレッシテン…

2010-03-22

■ [位相][文体][表記意識]男から女への手紙(貝原益軒「書禮口訣」) 一 女中へ男の方より遣状の事。假名にて、男の文體を少やはらかに書べし。女の文體に不v可v書。又艶書に似たる文言かくべからす。 「セクハラ禁止」というわけではない。ツイートする

2010-03-21

■ [位相][表記意識]まぜ書き(貝原益軒「書禮口訣」) 一 女中方への書札、脇付。(中略)我名乘の上の字を假名に書、下を眞字に書。或上を真名、下を假名に書べし。 ツイートする

2010-03-20

■ [待遇表現][表記意識]尊者へ草略に書べからず(貝原益軒「書禮口訣」) 一 尊者の方へは、悉く文字をちひさく引つめて書べし。大に草略に書べからず。 ツイートする

2010-03-19

■ [待遇表現]唐名の無礼(貝原益軒「書禮口訣」) 一 我官に、唐名を書べからず、無禮也。人の官を、唐名に書は敬なり。 ツイートする

2010-03-18

■ [音韻][学史]「をお」にのみ言へるは、豈に偏曲ならずや(契沖「和字正濫通妨抄」) 行阿の意、をおを用るに、音の輕重によりて用分へしと思はれたるか、〈手折たをる、折おる、〉小桶こをけ、桶おけ、〈深〉(み)山下風〈みやま〉をろし、山下風〈やま〉お…

2010-03-17

■ [音韻]ye,wo(契沖「和字正濫鈔」) えはいより生ず。えといふ時・舌に觸て・最初に微隱なるいの音そひて。いえといはる。をはうより生ずる故に。初に微隱なるうの音そひて。脣に觸て、うをといはる。 ツイートする

2010-03-16

■ [学史]おを所属弁 おハ軽クシテあ行ニ属シ、をハ重クシテわ行ニ属ス。然シテ古来錯リテ、をヲあ行ニ属テ軽トシ、おヲわ行ニ属シテ重トス,諸説一同ニシテ、数百年来イマダ其非ヲ暁レル人ナシ 軽重 山田孝雄『五十音図の歴史』pp.189-190戸田吉郎「契沖と五…

2010-03-15

■ [学史]五十音によりて古言のこころを(村田春海「五十音辨誤」) 古言のこゝろをとくに、五十音によりていふ事は、はやくより有し事にて、顯昭法師、仙覺律師などもおほくこれによりて古言を注せし事あり。近き世にいたりて、難波の契沖阿閣梨、稻荷山の荷…

2010-03-14

■ [表記意識]送り仮名(仮名遣近道抄) 一 をくりかな 侍らん 三字めをくる也 侍べらんとはあしゝ 成らんもおなじ心得 來つらんの時は如此 來らんとはあしし 四五字のよみは はたに/\文宇ををくる也 とゝの とゝの 調ふる 調へる とゝ とゝ とゝのふ 調の…

2010-03-13

■ [方言意識史]可愛いなまりも消えた(阿久悠作詞「京都から博多まで」) 京都育ちが 博多になれて可愛いなまりも いつしか消えた http://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=319281972年 阿久悠『詩小説』にも「京都から博多まで」あり。 詩小説 (中公文庫) …

2010-03-12

■ [方言意識史]福岡の言葉は乱暴(獅子文六「悦ちゃん」) 福岡の子供は、言葉は乱暴だけれど、正直で温和しい。 ツイートする

2010-03-11

■ [位相]【はべり】が古今集にあるとは(今物語) ある人、歌よみ集めて、三位大進と聞えし人の許に行きて見せあはせけるに、「侍るといふことをよみたりけるを歌の言葉にあらず」といひければ「古き歌にまさしくあり」といひけり。「よもあらじものを」といふ…

2010-03-10

■ [近代語]今に東京詞の生粋は失ってしまうでしょう(岡鬼太郎) 貰って来た雑誌の小説を、少し読み掛けて見ると、それは/\大変だらうぢゃないか、江戸ッ子の職人だとか云ふ若造が、二言目には「ベランメエ」さ、然うかと思うと、「内らにはそんな者は居ねえ…

2010-03-09

■ 「音便の事」(『玉勝間』巻一) 古語の中にも、いとまれ/\に音便あれども、後の世のとはみな異なり、後ノ世の音便は、奈良の末つかたより、かつ/゛\みえそめて、よゝをふるまゝに、やう/\におほくなれり、そは漢字三音考の末にいへるごとく、おのづか…

2010-03-08

■ 「からぶみよみのことば」(『玉勝間』巻一) 漢籍《カラブミ》をよむに、よのつねにことなる語の多きは、いとふるくよりよみ來つるまゝの古語なるが、後に音便にくづれたる也、「曰」を「のたうまく」とよむは、「のたまはく」の音便也、又「のたばく」にて…

2010-03-07

■ [音韻]「ちつの濁り」(『年々随筆』) 九州、四国の人の物いひには、ちと、しと、つと、すとの濁音、おのづからわかるといふ。常其国々の人にあひて、物いふはきゝながら、心もつかで過しつるを、さいつ比、思ひおこして、松平肥前守殿の家臣峰六郎矩当とい…

2010-03-06

■ 【もじ】【文字】(玉勝間・巻一) 三八 言をもじといふ事 歌のみそぢひともじを、近きころ古学するともがらは、字といふことをきらひて、卅一言といひ、五もじ七もじなどをも、五言七言とのみいふなれ共、古今集の序にも、みそもじあまりひともじと有て、い…

2010-03-05

■ 【おかし】【をかし】(玉勝間・巻一) 二六 おかしとをかしと二つある事田中道道麻呂が考へけるは、物をほめていふおかしは、おむかしのつゞまりたるにて、おの仮字也、又笑ふべき事をいふをかしは、をこといふ言のはたらきたるにて、をの仮字也、されぱこ…

2010-03-04

■ 【侍る】(玉勝間・巻四) 二二 侍るといふ詞侍るといふ詞、伊勢物語には、たゞ二つならではなし、その二つは、せうそこ文の中にある也、 ツイートする

2010-03-03

■ 【御】(玉勝間・巻四) 二一 御といふ詞のつかひざまの一つ源氏物語に、仏の御かれうびんがの声、御ひとつ腹、御まへわたり、宮の御侍従の乳母、仏の御同じ帳台、宮の御二条の北方、などあるこれらの御てふ詞、今の世の心にて思へば、仏のかれうびんがの御…

2010-03-02

■ 【女三宮】(玉勝間) 二〇 女一宮女二宮など申す唱ヘ女一宮女二宮など申す女字、音によみならへれども、栄華物語などに、男一宮男二宮などもある、男は音にはよむべくもあらず、必をとこ一の宮などゝよむべければ、女もいにしへは、をんな一の宮、をんな二…