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2002-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2002-02-28

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-6) 亦難波人の尾張の郷談をよめる狂歌 かつてこい さすがおそがひ おぞいこと はなにあらずに そふでやかふでや [かつてこい]ハ[かふて來れ]也 [さすが]は[何しに]といはんが如し [おそがひ]ハ[恐ろしき]をいふ [おぞいこと]ハ[不v…

2002-02-27

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-5) 又阿波辭をよめる歌 うらがくに ぎやうに咲たる 栴の花 をやれけうとな ゑずなやまかせ うちれ我也 ぎやうには仰ににて仰山の略なるへし をやれは訝る辭 けうとなは甚しきをいへりツイートする

2002-02-26

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-4) 亦土佐辭をよめる長曾我部の歌に けゑ/\と ちふハわこらか ゑずらしや せじやうしやうちく よんべきたちゝ けゑ/\はこれ/\と人を呼也 ちふはといふ也 わこらハ吾子等也 ゑずらしやはいやにおもふ也 きつい事をゑずいといへ…

2002-02-25

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-3) 亦[かうするな]といふハ後を制する詞 [なせかうする]といふは今を咎むる詞なるを 上総にては[かうするな]といふを[なせかうする]といふハ語脉の異也ツイートする

2002-02-24

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-2) 幽齋九州道記に あまさかるひなには猶そ居たむなきどつこもおなし浮世なれども 九州の方言をよめる也ツイートする

2002-02-23

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-1) ○言語其方俗あるハ和名抄郷名に蓁原をはいばらともはぎはらともはりハらともはんばらともはつばらともよみ 榛名をはるなとよみ亦 邑樂おはしき 邑美おふみ 邑知おはちとよめるをもて知へし ツイートする

和訓栞大綱(53)

■ [古代語]和訓栞大綱(53) ○言語の古今あるは日本紀萬葉集の詞今と大に異れり また詠歌大概に詞は三代集に出へからすといへり* されと古今集の詞といへとも好みよむまじきありともいへり 口語も又同しきにや 徒然草に古へは車もたげよ火かゝげよとこそいひし…

2002-02-21

■ [和訓栞]和訓栞大綱(52) ○ゆとうよみといふハ湯桶の字 一字ハ訓一字は音なるをいへり 中古以下かゝるもまた多し 文字よみといふは石竹をいしたけ 海松をうみまつ 龍眼をたつのめ 龍膽草をたつのいぐさとよみ 小角はくだのふえなるををつのゝふえとよみ 虎…

2002-02-20

■ [和訓栞]和訓栞大綱(51) ○萬葉集に訓をハ多く下の言を用う たとヘハ 卜をら 市をち 圓をろ 臣をみ 相をふ 麻をさ 生をふ とよむの類推て知へし○磐余をいはれ 高脚をたかしとよむハ はもかも引ハ河の音こもれり 過去しをすぎにし散去をちりにしとよむハ き…

2002-02-19

■ [和訓栞]和訓栞大綱(50) ○倭語に略音あり 寐るをぬるといふハ上略也 てにをはをてにはといふは中略也 あれをあといふハ下略也といへり 西土も亦同し 顔師古も本言何等物其後遂省促言直云等物爾といへり ツイートする

和訓栞大綱(49)

■ [和訓栞]和訓栞大綱(49) ○田舎詞はだみて聞うるを俗になまるといへり 拾遺集に あつまにて養はれたる人の子は舌たみてこそものはいひけれと見えたり 萬葉集古今集にも東歌の部を立たり その詞音韻相通ならてハ解得かたし 又玉葉抄に 鶯はゐなかの巣にてそ…

2002-02-17

■ [和訓栞]和訓栞大綱(48) 〇四國にて「ばかり」を「ば」とのみいひ 美濃三河にて「さま」を「さ」とのみいふは略音也 三河にて見んずを見ず きかんずをきかず 行んずをゆかずといふも同し 又遠江にては何事をいふにも發語にものといひ 三河碧海郡は何事をい…

和訓栞大綱(47)

■ [和訓栞]和訓栞大綱(47) ○田舎ことばには濁音多し よて世諺に「びる、ばち、どんぼう、がに、がへる」といへり 是皆訛言也 大よそ倭語の發聲に濁音なし 其たま/\濁音に唱ふる 嶽をだけとし寄店虫をがうなとするか如きハ皆後世轉訛のいたす所なるべし 『…

2002-02-15

■ [和訓栞]和訓栞大綱(46) ○反語あり葦をよしといひ 僧をかみながといふの類是也 爾雅ノ注にも菫葵本草言2味甘1而此ニ云2苦菫1古人語倒猶3甘草謂2之大苦1也と見えたり 小兒初生の時 洗婆臍帯をきるをほその緒を繼といひ生髪をそるを髪垂といふも反語をもて祝…

2002-02-14

■ [和訓栞]和訓栞大綱(45) ○倭語清濁によりて氷炭相反するものあり たとへはみしは見き也しときと通へり しを濁れは不見也 ざり反し也 みすハ見る也 すとると通へり すを濁れバ不v見也 ざる反ず也 みてハ見たれの急語也 たれ反て也 てを濁れは不見ての義也 …

2002-02-13

■ [和訓栞]和訓栞大綱(44) ○倭語に清濁通用するもの多し いぶかしを言借とかける類也 又えやはいぶきのさしも草 玉だれの見ぞはこひし 白川のみづはくむまで 山城のとハにあひみん の類も亦しかなり ツイートする

2002-02-12

■ [和訓栞]和訓栞大綱(43) ○歌詞に疂辭の格あり さひのくまひのくま つゝゐづゝゐづゝ みよしのゝよし野 春されは木《キ》の木《コ》のくれ の類也 西土の詩にも亦かゝるもの多し ツイートする

2002-02-11

■ [和訓栞]和訓栞大綱(42) ○倭語に|復《カサネ》詞多し つくはねのみね けふのほそぬの つしまじま あふみのうみ 幾かのひ かりほのいほ あまつそらの類是也 西土の文辭にも鄭重を厭はぬは宋玉か賦に旦舞朝雲 古樂府に暮不夜歸の類多し 又體用を併せいふもの…

2002-02-10

■ [和訓栞]和訓栞大綱(41) ○倭語に自然の連續ありて其用をなせり よて無名抄に歌はたゝ同し詞なれとつゝけがらいひがらにて よくもあしくもきこゆる也といへり 又詞の連續なりに心の轉換せるもあり 同書にことはのついでといふはすがのねのながき世ともこゆ…

2002-02-09

■ [和訓栞]和訓栞大綱(40) ○倭語に頭辭《マクラ》あり下河邊氏の説に歌にまくらことばあるは人の氏姓あるに同し 古き歌のたけかたく聞ゆるは多くハ枕詞を置ける故也といへり 歌のみならす日本紀古事記等に出せし神語又は神名に至りて多くは枕詞あるをもて何…

2002-02-08

■ [和訓栞]和訓栞大綱(39) ○かなつかひを後世の事といへる説は大なる僻事也 後世に至りて其法を失ひ却て大にみたせり 五十音及いろはは所v謂かなつかひには非るにや 又古書をもて徴とするをいとひて別に一種の學を立るものあり 杜撰といふへし されは古今集…

2002-02-07

■ [和訓栞]和訓栞大綱(38) ○伊呂波の文字にて書を萬葉書といふは誤也 それはかんな書といふぺし 黒白不分をあやめもしらすとよむの類 萬葉書也 と三條西殿?の物語なりきと貞徳か書に見えれり されと萬葉集の書體は五六體にも分てり 一様に拘泥して説を立かた…

2002-02-06

■ [和訓栞]和訓栞大綱(37) ○古書に文字を用る正訓あり 義訓あり 梵語を譯するに正翻義翻あるか如し 正訓は花をはな月をつきとよむ是也 義訓は白銅鏡をますみのかゞみ 神籬をひもろぎとよみ 春草をわかくさ 金山をあきやまとよむか如き是也 それか中に萬葉集…

2002-02-05

■ [和訓栞]和訓栞大綱(36) ○倭漢各成語あり よて神代紀に晝夜を「よるひる」とよみ 風雨を「あめかせ」とよみならへらり 婦を「めをと」 兄弟を「おとゝえ」といふも亦同し 和名鈔も縄墨を「すみなハ」と訓せり されハ吉凶にても禍福にても「よしあし」とよ…

2002-02-04

■ [和訓栞]和訓栞大綱(35) ○世にひとつ書といふハ條を分ち目を立る時に一云々一云々と掲書するをいふ 既に三代實録に見えて西土にも例ある事にこそ 我邦の書法公式令に見えて平書闕字の二ツのみ 漢唐もさあらんか 平書とは之を書して行頭に在をいひ闕字とハ…

2002-02-03

■ [和訓栞]和訓栞大綱(34) ○日本紀にはる/\を波ヽ魯ヽと書 古事記にこをろ/\を許ヽ袁ヽ呂ヽと書 賊盗律に祖父母父母を祖父ヽ母ヽと書り 禁河の書にも木ヽ合ヽと書て笏拍子と訓せり 神樂歌に吉ヽ利ヽとあるも同し意也 出雲風土記新撰字鏡にも此書法見えた…

2002-02-02

■ [和訓栞]和訓栞大綱(33) ○疉字を重點とす 俗におくり字ともをどり字ともいへり 是を了筆といふ 六書通夫ノ字の條に見えたり 假字書に/\と書は梵文の影像より出たり 眞字書に々と書は仝ノ字の省文 ゝと書は梵字長呼の臓に取れりといへり 西土の書に連ニ綿…

2002-02-01

■ [和訓栞]和訓栞大綱(32) ○梵語を譯して漢語とし漢字を譯して倭語とす 其義一也 よて日本紀舊事記などに此云或ハ此間云?と注せし翻梵語の例によれり よて萬葉集にハ反云とも書り 其用られたる假字も亦多く梵書翻譯の字を取れり 婀愛耆〓〓〓〓〓等是也 二字…