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2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

2007-08-31

■ [文章作法][文字]楷行草 大和田建樹『作文寶典』 行書に書くを尊ぶ時とし。草書に書くを普通とす楷書は活版に摺る時などの外は用ふべからず。 (p748)

2007-08-30

■ [文章作法]大町桂月『模範作文講話』議論文 第五講 議論文 議論文は、理を説くものであるから、叙事文や抒情文に比して、文藻よりも、思想が大事である。頭腦が明確で、思想がありさへすれば、議論文は出來るべき筈である。 議論文を作るには、氣力がなく…

2007-08-29

■ [文章作法]大町桂月『模範作文講話』抒情文 第四講 抒情文 抒情文は、感情を云ひあらはす文章である。叙事文でも議論文でも、その奥には、作者の感情が溢れてゐるものであるが、抒情文は、感情を感情として取り扱ふものであるから、感情を云ひあらはす文章…

2007-08-28

■ [文章作法]大町桂月『模範作文講話』叙事文 第三講叙事文 叙事文とは、見たり、聞いたりした事柄を書きあらはす事で、即ち物の状態を書く事である。櫻の事を説明してみると、櫻の花が開いたと云へば、これ見た事をかきしるしたもので、これが叙事文である…

2007-08-27

■ [文章作法][文体]大町桂月『模範作文講話』書翰文 第二講 書翰文 書翰文は、又、候文とも言ふ、手紙の文章の事である。叙事文や叙情文などになると、文章を美くしくする爲に、言葉の言ひ廻はしをわざ/\長くしだり、短くしたりして、文章を飾る必要がある…

2007-08-26

■ [文章作法]大町桂月『模範作文講話』小品文 第一講 小品文 小品文とは、短い文章と言ふ事である。文章を區別して見ると、叙事文、叙情文、議論文、書翰文などになるが、小品文は、叙事、叙情、議論のいづれに限らず、短いものを指したもので、人によつて、…

2007-08-25

■ [文章作法]大町桂月『模範作文講話』総論 ◎『好きこそ物の上手』とは、實に名言である。文章に上達しようと思ふなら、先づ文を作ることが好きにならねばならぬ。◎どうしたら文を作ることが好きになるかと云ふに、先づ文章の尊くして且つ必要であることを確…

2007-08-24

■ [方言意識史]「さるく」 樋口文山『増補活益用文』明治二十一年序「尺素百譚」(頭書部)百六丁ウラ 去人《さるひと》は或人《あるひと》なり、去方《さるかた》は或方《あるかた》なり、「さ」と「あ」と音《をん》相通ず、今九州|地方《ちはう》の言葉…

2007-08-23

■ [学史]岡島冠山(柳里恭「獨寝」) 岡島援之は、長崎にては長左衛門といひし者なり。華音には希なる生れなり。服元喬がいふには、和中の華客なり、といひしも尤なり。学才は余りなしとかや。 石崎又造潟沼誠二 江戸時代の唐話に関する基礎研究 (関西大学東…

2007-08-22

■ [外国人の日本語など]ヒュースケン ヒュースケン日本日記 1855~1861 (岩波文庫) 作者: ヒュースケン,青木枝朗出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1989/07/17メディア: 文庫クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る この挨拶には人称代名詞がなかっ…

2007-08-21

■ [外国人の日本語など]タウンゼント・ハリス 日本滞在記 下 (岩波文庫 青 423-3) 作者: ハリス,坂田精一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1954/10/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 日本人のオランダ語通譯者は、その語の慣用語の知識が…

2007-08-20

■ 重複削除 http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20050320/p1ツイートする

2007-08-19

■ [方言]出雲の国の人のハヒフヘホ「松の落葉」 出雲の国の人は、ハヒフヘホの五字をいふ事甚だ重くして、余国と大にちがふ也。ハヒフヘホを、フワ、フイ、フ、ヒヘ、フホと云、又その字の頭にあることばをば、梅(うめ)、馬(うま)と云り。又芸州の人は、…

2007-08-18

■ [漢字]「匂の字」(『南留別志』74) 一にほふといふに、匂の字をかく事は、音通ずれば、誤りて芸と匂とかき違ひたる本のありしを、昔の博士どもが、珍しき事に思ひて、誤りつたへたるなるべし。弱と若と通ずれども、異国の書には、若の字はまれなり。宍は…

2007-08-17

■ [漢字]「匂の字」(『梅の塵』) ○匂の字の事松井源|〓星《かうせい》の説に、匂の字は、字書に无《な》き所の文字也。是は即ち韻といふ字の省文にて、韻の字、或は韵《ゐん》に作り。又省きて均《ゐん》匀《ゐん》に作れり。其匀の字が転じて、匂《にほ…

2007-08-16

■ [方言史]「なんばん」(『梅の塵』) ○なん蛮の事越前の国、また近江の国、処によりて、唐がらしを南蛮といふ。又江戸にて云。唐もろこしを、南ばん黍といふ。又皇都《かみがた》にては、是を南蛮と云。元此両品。南蛮国より渡りたるもの故、かく国々にて…

2007-08-15

■ [この人が作った]「作家所生の言葉」芥川龍之介「侏儒の言葉」 作家所生の言葉「振っている」「高等遊民」「露悪家」「月並み」等の言葉の文壇に行われるようになったのは夏目先生から始まっている。こう言う作家|所生《しょせい》の言葉は夏目先生以後に…

2007-08-14

■ [辞書史]大槻文彦『言海』「本書編纂の大意」 (一)此書は、日本普通語の辞書なり。凡そ、普通辞書の体例は、専ら、其国普通の単語、若しくは、熱語(二三語合して、別に一義を成すもの)を挙げて、地名人名等の固有名称、或は、高尚なる学術専門の語の如…

2007-08-13

■ [言語生活史]墨色(『書翰文作法』) 山田愚木『書翰文作法』大正三年、岡村書店 近來はとかく便利といふことが貴ばれて、書翰文を書くのにも、インキを使用する向きが多い。会社、銀行、官衙などならばそれでもよいが、これを私用上に及ぼして、書簡に用…

2007-08-12

■ [一般随筆などの中の日本語についての言及]「世間する」(種田山頭火「行乞記」) 世間する、といふ言葉は意味ふかい、哲学するといふ言葉のやうに。種田山頭火「行乞記」 ツイートする

2007-08-11

■ 形状性名詞句・作用性名詞句(石垣謙二「作用性用言反撥の法則」) すべての名詞句は形状性名詞句と作用性名詞句の二種に分れる。而してこの二種に限る。作用性名詞句の用言は如何なる用言たるも自由であるが、形状性名詞句の用言は必ず形状性用言である。…

2007-08-10

■ 形状の詞・作用の詞(鈴木朖「言語四種論」) 用の詞、はたらく詞、活語なんと、古來一つに言來れるをば、今|形状《ありかた》作用《しわざ》と、分ちて二|種《くさ》の詞とせるは、終りに附きてはたらくてにをはの、本語にてきれ居《す》わりたるもじの、…

2007-08-09

■ 「体と用」(契沖「和字正濫通妨抄」) 和語に体用にわたると、体にして用にわたらぬと、ひとへに用にして体にわたらぬとあり、 『鈴木朖』p112ツイートする

2007-08-08

■ [表記史]「音、崩して七百、楷書で六百」「浮世床」初編中 むづかしい字をしる程損がいくかと思ふよ。まづ観音さまの「音」の字を見ねへ。やさしく書けば七百といふ字だが、むづかしく書くと六百といふ字だ。してみれば舌切雀の葛籠といふ物で、手がるい方…

2007-08-07

■ 大槻文彦「日本文法論」 『復軒雑纂』 日本文法論 洋々社談第七号 明治八年十月方今我国の文学に就きて最大の缺典とするは 日本文典の全備せる者なきなり 是なきは 独 我国文学の基礎立たざるのみならず 外国に対するも真に外聞悪しき事ならずや 是に由て…

2007-08-06

■ [江戸語]「東京語の根柢をなしたものは幕末期の町人言葉」(安藤正次) 『国語史序説』*1p171-172 江戸の言葉として、今日の東京語の根柢をなしたものは、幕末期の町人言葉ではなかつたか。武士言葉は、江戸時代を通じていへば、武士といふ階級が特殊の階級…

2007-08-05

■ 「用語ハ主トシテ東京ノ中流社会ニ行ハルルモノヲ取リ」(尋常小学読本編纂趣意書) 『尋常小学読本編纂趣意書』(第一期、1904年) 文章は口語を多くし、用語は主として東京の中流社会に行はるるものを取り、かくて国語の標準を知らしめ、其統一を図るを務…

2007-08-04

■ 「東京語を以て標準語」(尋常小学読本編纂趣意書) 『尋常小学読本編纂趣意書』(第二期、1910年) 口語は略東京語を以て標準語とせり。但し東京語の訛音・卑語と認むるものは固より之を採らず。(原文片仮名) 飛田良文『東京語成立史の研究』p51~清水康行…

2007-08-03

■ 馬場孤蝶「變り行く東京語」 出版物(しゅっぱんぶつ)の多(おほ)くなって來(き)たことと、それ等(ら)の出版物(しゅっぱんぶつ)が大抵(たいてい)皆(みな)言文一致(げんぶんいっち)──即(すなは)ち大體(だいたい)東京語(とうきゃうご)で書(か)かれてゐることと…

2007-08-02

■ [位相]山の手の用語(鏑木清方「明治の東京語」) ISBN:4003111621 山の手の用語は多少違っていたろうが、芝居のように「しからば御免」とか「後刻|御意《ぎよい》を得るでござろう」といっていたものでもあるまい。私の家内《かない》の父は旗本であった…