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2007-08-06

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国語史序説*1p171-172

江戸の言葉として、今日の東京語の根柢をなしたものは、幕末期の町人言葉ではなかつたか。武士言葉は、江戸時代を通じていへば、武士といふ階級が特殊の階級であるがために、その言葉も特殊のものとして存在の価値を有してゐたに過ぎず、したがつて、江戸言葉の大勢にどれだけの影響を与へたかは疑問である。しかるに、幕末期の江戸の町人は、数において、富においてはもとより、学芸において、修養において、実力において、武士に拮抗し得る地位を獲得してゐたのであるから、その洗練された江戸言葉が、武士の没落と共に、江戸の遺産として東京に引きつがれたと見るのが、おそらく妥当なのではなかろうか。


飛田良文『東京語成立史の研究』p.12に見えるように、中村通夫『東京語の性格』松村明『江戸語東京語の研究』などは違う考え方である