2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧
■ [語源説]馬の骨(夏山雑談・巻三) ○どこの牛の骨やら馬の骨やら知れぬといふ諺 どこの牛の骨やら馬の骨やら知れぬと云ふ諺は、「氏のほね」、「生れのほね」と云ふあやまり、骨は尸なり。姓尸と書てうぢかぱねといふなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作…
■ 中臣・豊臣(夏山雑談・巻三) ○中臣 中臣は名目「なかとみ」也。「なかつおみ」なれども、「つおの反」となれぱ、「つお」を約めて「なかとみ」と名目するなり。近世の豊臣も、「とよつおみ」なれども、「とよとみ」と名目するなり。 日本随筆大成〈第2期 …
■ 上略・下略(夏山雑談・巻三) ○沒上沒下の假名假名の上を略したるを没上の假名といふ。下を略したるを沒下のかなと云ふなり。出雲《いづくも》を「いづも」、河内《かはうち》を「かはち」と云類は沒上のかななり。文殿《ふみとの》を「ふどの」、烏丸《か…
■ 眞名序は奏聞の序にてはあらざるべし(夏山雑談・巻三) ○古今集の假名序古今集の假名序は奏聞の序なるべし。眞名序は奏聞の序にてはあらざるべし。如何となれば花山僧正、在原中將、文琳、野宰相、在納言などとあればなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 …
■ 言い分け(夏山雑談・巻三) ○偽作の書物偽作の書物は、其書の全體と文章と意の揃はぬものなり。偽作する者は盗に准じて罪すると、律と云書に見えたるとなり。甲陽軍鑑といへる書物は、高坂弾正が筆作にあらす。僞作の書なり。と或人のいひしはさもあるべし…
■ 言い分け(夏山雑談・巻三) ○金山金山は「かねきんざん」、徑山《きんさん》は「こみちきんさん」、秦は「はだしん」、晋は「すゝむしん」と云ふなり。稱徳、聖徳、正徳、藤氏長者、東寺長者、安房、阿波もいひわけねば、それと知れぬなり。 日本随筆大成〈…
■ 【当今】(夏山雑談・巻三) ○當今近頃の人、まさにいまと云語に當今《まさにいま》と書多し。當今とは今上の御事の上を申奉る也。文書によりて斟酌し用ふべし。神代巻などには今當《いままさに》と見えたり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆…
■ 「平野」のアクセントの京阪差(夏山雑談・巻三) ○名目名目と云ふものならひなくして讀むときは、必す事理を失ふこと多し。漢學の一力をもつて書をよむ時は、故實を誤ること多かるべしと、古人もいひ給ひしことなり。すべて名目はならはねぱならぬことあり…
■ サエヅリ(夏山雑談・巻三) ○囀下賎の人の詞多きを囀《さへづる》と云。紫式部日記に、あやしき賤のをのさへずりとあり。源氏物語にも、あまのさへづりとあるなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売…
■ [言葉とがめ]六日は「むゆか」(夏山雑談・巻三) ○むゆか六日は「むゆか」なり。源氏物語にもみへたり。「むいか」と云ふはあしゝとなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディア: 単…
■ [語源説]わっぱ(夏山雑談・巻三) ○古き菊の名に用ふるわつぱ古き菊の名にわつぱと云もの色々あり。能登守敦経のわつぱ菊王といふより名付たるもの也 『日本国語大辞典』立項せず? 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー:…
■ [語源説]げんこ(夏山雑談・巻三) 〇五の数を「げんこ」といふ五の数を「げんこ」といへるは、五は玩古切なれぱなり。 『日本国語大辞典』に用例として載る。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 19…
■ [語源説]へらへいとう(夏山雑談・巻三) ○へらへいとういやしき詞にへらへいとうと云は、文選讀の如く平等平等《へらへいとう》なるべし。 『日本国語大辞典』に用例として載る。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: …
■ いくつ・なんぼ(夏山雑談・巻三) ○いくついくつは幾《いく》つ、「なんぼ」は何程《なんぼ》なり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディア: 単行本この商品を含むブログを見る ツイー…
■ [語源説]つめたき(夏山雑談・巻三) ○つめたきつめたきは爪痛なり。 『日本国語大辞典』、語源説のこの項に夏山雑談を載せず。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディア: 単行本この商品…
■ [語釈]虎子箱(夏山雑談・巻三) ○虎子箱虎子箱とは小厠のことなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディア: 単行本この商品を含むブログを見る ツイートする
■ [語釈]平張(夏山雑談・巻三) ○平張平張とは假屋のことなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディア: 単行本この商品を含むブログを見る ツイートする
■ めのこ(夏山雑談・巻三) ○めのこむすぴ、めのこざん「めのこむすぴ」とは「女子結」なり。「めのこざん」と云ふも「女子算」なり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディア: 単行本こ…
■ そで(夏山雑談・巻三) ○衣手「衣手」とは「袖」のことなり。「衣」を「そ」と云ふ。「衣の手」なれば「そで」なり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディア: 単行本この商品を含むブ…
■ [方言意識史]東の詞に濁音多し(夏山雑談・巻三) ○東の詞に濁音多し東の詞には濁音多し。「さやの中山」を「さやの長山」と聞ゆるやうにいへり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディ…
■ ワタ(夏山雑談・巻三) ○海神、海上、和田原等の「た」の假字海神《わたかみ》、海上《わたおも》、|和田原《わたのはら》等の「た」の假名は清音なるべし。萬葉集に綿の底とあればなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メ…
■ ヤエヤエ(夏山雑談・巻三) ○やへ/\西國辺にて人の弟をやへ/\と云。大鏡、西三條の右大臣の段に、かくぱかりすゑさかえ給ひける中納言殿をやへ/\のおとゝ《弟》にて、こゑ《越》たてまつりたまへりと云。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随…
■ ろさい(夏山雑談・巻三) ○ろさう西國辺にて下賎の詞に、人のかたにて食物を喰ふことを「ろさう」と云。又小兒の母に乳汁なくてもらひ乳にて育るを、「ろさい乳」と云ふなり。按するに、佛氏の外に出て食を乞を邏齋と云ふ。貰ひ喰を「ろさい」といふは是な…
■ しと(夏山雑談・巻三) ○尿を「しと」ゝいふこと尿を「しと」ゝ云ふ。女子の詞に、「しゝ」と云も「しと」のことなり。昔は車の中にも尿筒と云ふものを入れ、或下部に持たしめたり。西國邊にては男女ともに今に「しと」ゝいふなり。上方の人のきゝては、耳…
■ きこり(夏山雑談・巻三) ○樵夫樵夫を「きこり」と訓するは「木切」なり。萬葉集に「切」を「こ」と讀なり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 1995/02メディア: 単行本この商品を含むブログを見る…
■ えのこ・えのころ(夏山雑談・巻三) ○犬犬は和名「恵沼」なり。「いぬ」ともいふ。犬の子を西國方の人は、「ゑのこ」と云ふなり。都方にては「ゑのころ」といふなり。 東西対立 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉…
■ 御前(夏山雑談・巻三) ○御前《ごぜ》御前とは女の美稱なり。姫御前《ひめごぜ》、嫁御前《よめごぜ》の類也。西國蓬にてよせある人の妻女をおまへと云ふ。音訓のかはりなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作者: 日本随筆大成編輯部出版社/メーカー: 吉川…
■ 【いろふ】(夏山雑談・巻三) ○いろふいろふと云は、物をとりあつかふこと也。百寮訓要に、「天下の大事をいろふべき」などと外記の條に書せ給ひしなり。西國の人物にかまはぬことを「いろふてされ」と云ふは此ことなり。 日本随筆大成〈第2期 第20巻〉 作…
■ 名前に使わない(夏山雑談・巻三) ○御諱・諡號・年號・大臣名を名字に用ることなかれ御諱・諡號・年號の文字、大臣名を名字【名乗のこと也】に用ることなかれ。是古へよりの法なり。是にかぎらす。公任、定家、藤房、武家においては頼朝、尊氏、義貞等の武…