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2002-05-01から1ヶ月間の記事一覧

2002-05-31

■ [和訓栞]和訓栞大綱(139) ○水は玉篇に尸癸切とあれハ音尸なるをもて萬葉集に|水《シ》良玉 |水《シ》長鳥なと[し]の音を用ゐたり されと[すゐ]反[し]なるをもて尸の音を避て[すゐ]とよむ成へし 趙衰の衰も初危《シヨグヰノ》反音吹なるを[し]の音によみ來…

2002-05-30

■ [和訓栞]和訓栞大綱(138) ○日本紀古事記に愛埃を[え]に用ゐ 開階を[け]に 細〓を[せ]に 帝題を[て]とよみ 泥を[ね] 杯沛を[へ] 毎昧を[め] 禮を[れ] 隈を[ゑ]とす 是皆尋常に呼るは第一音なるを第四音に轉用せり 所以ありぬへし ツイートする

2002-05-29

■ [和訓栞]和訓栞大綱(137) ○大よそ古書に音のとなへ今と異なるもの多かり 萬葉集に和を[や]とよみ水を[し]とよみ 摸を[む]に用ゐ 日本紀に弘廻を[を]とし梅を[め]とも[も]とも〓を[と]ゝも[た]ともよみ 覇を[ヘ]とし 過を[わ]とせり 筑竹を[つく]とよみ 阿…

2002-05-28

■ [和訓栞]和訓栞大綱(136) ○轉音あり 素を[す]とし農を[ぬ]とし乃を[の]とするの類也といへり 佐伯を[さへき]とし愛宕を[おたぎ]とし安宿を[あすか]とするの類もまた多しツイートする

2002-05-27

■ [和訓栞]和訓栞大綱(135) ○字音に反音あり 所を[そ]とし 須酒を[す]とし 泥〓を[ち]とし 通頭を[づ]とし 去虚を[こ]とし 薔薇を[さうび]とし 精進を[さうじ]とするの類也といへり 孔子を[くし]釋迦を[さか]とするも同し 畢竟漢語の自ら和語となれる也 日本…

2002-05-26

■ [和訓栞]和訓栞大綱(134) ○[はひふへほ]の行の半濁となるハ皆上に[む]かなのはぬる音と[つ]がなの入聲とに属く時はしかいへり。天半 貧富 雪片 匹夫の類是也といへり ツイートする

2002-05-25

■ [和訓栞]和訓栞大綱(133) ○[なにぬねの][たちつてと]の二行に連聲あり 連聲といふハよみつゞきにて音を變する也 天王の王を[なう]と呼ひ 越王の王を[たう]と呼ひ南音?は[にん]とよひ 八音は[ちん]とよふの類也 又南山變化を[なんざん][へんぐゑ]とはぬる音…

2002-05-24

■ [和訓栞]和訓栞大綱(132) ○[ ふつくちき]に平字なしといふは、此五字の韻となる字は皆入聲の音なれはかくいひならへる也。是も又喉舌唇三内の音なるをもて也。ツイートする

2002-05-23

■ [和訓栞]和訓栞大綱(131) ○唇音の清濁行[はひふへほ]の音變して[まみむめも]となる これを[はま同等]といふ 舌音の清濁行[たちつてと]の音變じて[なにねねの]となる 是を[たな同等]といふ ツイートする

2002-05-22

■ [和訓栞]和訓栞大綱(130) ○[なにねねの]ゝ行[まみむめも]の行には ともに漢音なし よて強ていヘハ皆[たちつてと][はひふへほ]の濁音となれり 那爾 呉音なに 漢音だぢ 馬美 呉音まみ 漢音ばび の類也 反音鈔?にハ[えけせてねへめれゑ]の横通に漢音なしとも…

2002-05-21

■ [和訓栞]和訓栞大綱(129) ○麾毀暉〓等に[くゐ]の假名を用ゐ 化花等に[くゑ]を用ゐ勇用に[いゆ]を用ゐ 炎鹽に[いゑむ]をもちゐ 余與に[いよ]を用うる 是皆喉音中にある假名也 又歯音に[し]を[すゐ]とし 牙音にも[き]の假名に[くゐ]と書 [け]の假名に[くゑ]…

2002-05-20

■ [和訓栞]和訓栞大綱(128) ○阿ノ行加ノ行と通するハ垣《カキ》を[かい] 無《ナク》するを[なうする] 畠《ハタケ》をはたえ 小《コ》を[を]とよむの類 ツイートする

2002-05-19

■ [和訓栞]和訓栞大綱(127) ○助語の[なりける]ハ[にありける]を約めたる詞也 [ざりける]ハ[ぞありける]を約めたる詞也 [けり]をつゝめて[き]ともいふ よて萬葉集に來字を用ゐたり 常にいふ助語にも矢瀬の女ハ[にや]といふを京都の人は[な]といふ [にや]反[な…

2002-05-18

■ [和訓栞]和訓栞大綱(126) ○倭語もと一ツにして相轉して其用をなせるもの多し [ひとつ]轉して[ふたつ] [みつ]轉して[むつ]となり [よつ]轉して[やつ]となり [ふつか]轉して[はつか]となるか如きは相通也 [見]を[目]の用とす [みえ]を約むれハ[め]となる [み…

2002-05-17

■ [和訓栞]和訓栞大綱(125) ○倭語に伸詞あり約メ詞あり のべことはは緩語也 つゞめことはは急語也 長き言葉の自然に短かく約りたるか 又おのつから五十字文の反しに合を反音といへり 反歌反名なきいふも此意也 明覺の説に西天ノ語法有抑揚奢切といへるも意同…

2002-05-16

■ [和訓栞]和訓栞大綱(124) ○倭語もと單音也 よて[いうむふつくちき]を捨假字といへり 介を[か]とよみ 登を[と]とよみ 天を[て]とよみ 納を[な]とよみ 乙を[お]とよみ 作を[さ]とよみ 吉を[き]とよみ 役を[え]とよむの類是也 世にてにをはをすてがなと覚えた…

2002-05-15

■ [和訓栞]和訓栞大綱(123) ○五十音皆單音にして合音なし 單音をましヘて訓とす 合音といふハ[あん][あう][あふ][あつ][あく]なといふ西土の字音の如き是也といへり 是ハ韻律なるへし 東宮切韻序にも本朝以呂ノ音勝2於律1故以v呂為2自音1以v律為2助聲1王仁以…

2002-05-14

■ [和訓栞]和訓栞大綱(122) ○唐音をしる二首の歌 一は五に 四は二にかよひ 五は三に 二三の時は 本座かへしそ 引ははね はぬるははぬる 入聲の 足をきりすて 三字中略 南無阿彌陀佛を唐音にて[のむをみとふ]と唱へり [の][を][と]の三音は[一は五に]と歌によ…

2002-05-13

■ [和訓栞]和訓栞大綱(121) ○倭音の假字ハ江肴豪陽庚青合洽を皆開音とし 東冬蕭蒸尤緝葉業を皆合韻とすといへり ツイートする

2002-05-12

■ [和訓栞]和訓栞大綱(120) ○平上去入の四聲ハとりも直さす唐音の[ひんじやんきいじつ]にて分る 又隹の韻に唖音あり 灰の韻ハ唐倭同音 尤の韻の如きハ引なから直に用ゐ豪の韻は別なからわりがなにて[しやう][なう][ぼう]と唱ふるの意有り [まみむめも]の濁音…

2002-05-11

■ [和訓栞]和訓栞大綱(119) ○第四の音活用するには第一位に轉するもの多し 目は[め]なるを[ま]と轉するは[まなこ][まじり]の如し 天《アメ》の[あま]となり 上《ウヘ》の[うハ] 金《カネ》の[かな]稻《イネ》の[いな] 酒《サケ》の[さか] 手《テ》長の[たな…

2002-05-10

■ [和訓栞]和訓栞大綱(118) ○凡そ一より二三を生し二より四を生し三より五を生する故に五音相通の内に第ニ位と第四位との音はわけて通しやすし よて雅語にも俗語にもかよハし呼もの多し 反音鈔に五音二與四三與五相通之といひ 悉曇十ニ例にも諸梵語中伊翳通…

2002-05-09

■ [和訓栞]和訓栞大綱(117) 〇五音第一位と第五位とわけて通するハ反音抄に見えて[う]の響ある音は皆ひとつにきこゆ [あう]と[をう]と[かう]と[こう]と[さう]と[そう]との如し 五十音皆然り 五音首尾の位一に歸するも其所以有ぬヘし ツイートする

2002-05-08

■ [和訓栞]和訓栞大綱(116) ○[うくすつねふむゆるう]第三の横行ハ皆決定したる詞の下にいへり それか中に[ぬ]と[す]に紛らハしき詞あり [いく夜ねざめぬすまの關守]とよみしは[ぬらん]の意なるといひ [霞たち雪もきえぬや]とよみしハ[ぬる]の略語也といふの…

2002-05-07

■ [和訓栞]和訓栞大綱(115) ○[いきしちにひみいりゐ]の第二位ハ未定の詞なれとも體となり[うくすつぬふむゆるう]の第三位ハ已定なれとも用となる たとへば扇を[あふぎ]といふハ[あふぐ]の義 度を[さし]といふハ[さす]の義 [大刀]を[たち]といふハ[たつ]の義 …

2002-05-06

■ [和訓栞]和訓栞大綱(114) ○[あかさたなはまやらわ]横行第一位の十音ハ諸聲の體にして活用する時ハ是もまた[かゝん][たゝん]なとゝいへり 終りを始めにめぐらし[をこそとのほもよろお]の第五位と其義一に相通ふもまた妙ならずや 字音の假名に[あう][をう][…

2002-05-05

■ [和訓栞]和訓栞大綱(113) ○大よそはたらかす和語は皆おのづから音韻の序であり。假令は[かきくけこ]を書にていへば、[かき]といふは未定の辭也。 [かく]といふは已定の辭也。 [かけ]といふは人に令するの語也。 [かこ]といふは自ら爲の辭也。 [たちつてと]…

2002-05-04

■ [和訓栞]和訓栞大綱(112) ○[ん]と[も]と通はしたる例多し [ねんごろ]を萬葉集に[ねもごろ]といひ[なん]を祝詞に[なも]といひ[とも]を蜻蛉日記に[とん]と書 花鳥物語に[まゐらせん]を[まゐらせも]と書[さも候]を平家物語に[さん候]と書[見せん][聞せん]を和…

2002-05-03

■ [和訓栞]和訓栞大綱(111) ○[あん][かん][さん]なとをはねる音といふ韻の清く揚れる也 ん字ハ无字の草を變したるなるへけれと是もはぬる字形をとれり 梵字にもはね點といへる事ある也 傍假名のン字も其意成へし. ツイートする

2002-05-02

■ [和訓栞]和訓栞大綱(110) 〇五十音に[ん]の音なし よて[む]と一に通ハし用ゐたり [ん]ハ[む]の轉音なれは也 されと音少しかハれり こゝをもて後人別に[ん]字を製せり [む]字は[ん]に通ハし用れとも[ん]字ハ[む]に通ハし用たる事なし 一説に[うむ]二字の…