2002-05-05
■ [和訓栞]和訓栞大綱(113)
○大よそはたらかす和語は皆おのづから音韻の序であり。假令は[かきくけこ]を書にていへば、[かき]といふは未定の辭也。 [かく]といふは已定の辭也。 [かけ]といふは人に令するの語也。 [かこ]といふは自ら爲の辭也。 [たちつてと]を[立]にていヘば、[たち]といふは未定、[たつ]といふは己定、[たて]といふは人に告る、[たと]といふは自ら言へる也。 十行皆此義にたがふ事なし。 そが中に[かこ][たと]などゝいふは、第五にあたる詞は雅語にあらず。 よて古來詠歌にも読書にも用ゐざりき。五音の終の位なるをもて成べし。それを詠歌読書には、[かゝん][たゝん]などゝいへり。 [ん]も又詞の終とするによくかなへり。