国語史資料の連関

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2004-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2004-04-05

■ 細江逸記『動詞時制の研究』第5章§23(抄) この間の消息はわが国語の「む」・「べし」とほとんどその軌を一にしている。たとえば 居り明かし今宵(こよい)は飲まむ霍公()鳥明けむ朝(あした)は鳴き渡らむぞ(万葉集,巻18)などの「む」は,私の考えでは『今宵…

細江逸記『動詞時制の研究』第4章§20(抄)

■ 細江逸記『動詞時制の研究』第4章§20(抄) 20."Maziyi Shouhoudi"と"Maziyi Naqli" 私は"Past Tense"の章に入ってからまだその総括的な本質を指示するような名称を提出しなかったが,要するにそれは『回想叙述』*1の語形であると断じてさしつかえがない…

2004-04-03

■ 細江逸記『動詞時制の研究』第4章§18(抄) なお,ついでに私が§7,(b)に引いたわが国語のいわゆる『詠嘆』の「けり」すなわち 常磐(ときわ)なる松の緑も春来れば今一しほの色まさりけり (古今集,巻1) 手枕のすき間の風も寒かりき身はならはしのものにぞあ…

2004-04-02

■ 細江逸記『動詞時制の研究』第3章(抄) またこれをわが国語に見られるところと比較して考えると, わが心春の山べにあくがれてながながし日をけふも暮しつ (新古今集,巻1)は"Present Perfect"的であるが, わが心慰めかねつ更科(さらしな)やをばすて山に照…

2004-04-01

■ 細江逸記『動詞時制の研究』第2章(抄) この用法はいうまでもなく古くから"Historical Present"と称し,またJespersenが"Dramatic Present"と名づけた(Tid of Tempus, V.385)ものであるが,一般に言い継ぎ語り継がれている説明によれば,過去の事柄を眼前に…