国語史資料の連関

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2014-01-01から1年間の記事一覧

2014-06-01

■ 唐音直讀無益(皆川淇園「淇園文訣」) 唐音を學べば、文章を作るためになると云ふこと、近來よく人の多く言ふことなり。唐音にて素讀することが爲になると云ことならば、四書六經等の文字直讀にて記憶しやすき故にいふか。さらば、やはり吾以前にいへる、…

2014-05-03

■ [横浜言葉]「サランパン」(長谷川伸) 父は老人の宅で待っていたが、屈託した顔をみせたことのない老人が、この日ばかりは悄然として一人で帰って来て、虎さんお互いさまにサランパンだといった、もうダメだという意味の横浜言葉です。 長谷川伸『ある市井…

2014-05-02

■ [外国人の日本語など]「帰るお婿さん旦那あるよ」(長谷川伸) 新コにはペンキ屋の倅で阿丁《アチヨン》という友達ができた、阿丁は夜の市中散歩が好きな癖に怖がるので、用心棒に新コが一緒に歩くことたびたびでしたが、広東へ帰ってしまいました。阿丁のお…

2014-05-01

■ [外国人の日本語など]ベンジャミン・スミス・ライマン(長谷川伸「春興」) 工部省お雇いの来曼《ライマン》氏は日本文も書けて、ちっとも日本人と変らないが、先生にただ一つ困ることは、「きのうはわちきが、おまはンの方へ参るはずでありましたが」などと…

2014-03-30

■ 『西洋事情』小引 本編の翻訳は今茲三月より公務の暇、業を起し六月下旬に至り初編初て稿を脱せり 之を校正するに及で或人余に謂へる者あり 此書可は則ち可なりと雖ども文体或は正雅ならざるに似たり 願くは之を漢儒某先生に謀て正刪を加へば更に一層の善…

2014-02-01

■ 尾上登良子『源氏物語大意』 本書は、言文一致体によらむが、聞き取り易くて、いとよからむと思ひつれど、しかせば、今様に過ぎて、原文の品位を失ふべければとて、かくは原文のまゝに、雅文体にものし、それの解しがたき節々なきやうにとて、欄外に、略注…

2014-01-02

■ 松坂の一夜 佐佐木信綱 時は夏の半、「いやとこせ」と長閑《のど》やかに唄ひつれてゆくお伊勢參《まゐり》の群も、春さきほどには騒がしからぬ伊勢松坂なる日野町の西側、古本を商ふ老舖文海堂柏屋兵助の店先に、「御免」といつて腰をかけたのは、魚町の…

2014-01-01

■ 雪中梅・發端 ドーン/\/\ドドドヽー/\プー/\プウプウプツプー何處でか大層大砲が鳴てソシテ喇叭の聲が聞え升が何事ですかネ。「今日は丁度明治一百七十三年三月三日で國會の祝日では御座らぬか。「左様/\、ソシテ本年度の議事院も今日開會に爲る…