国語史資料の連関

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2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2007-11-30

■ 漢音が勝つ(童子通) 儒者なればとても、たまたまは呉音も交えねば通ぜぬことあり 人情 世間 是非 日用 今日 城郭 邦域等也数目の字は別して呉音多し。[...]書生ややもすれば俗間通用にも漢音が勝つもの也http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/do…

2007-11-29

■ [言語生活史][言語教育]素読を習う(露伴) 手習いの傍、徒士町の會田という漢学の先生に就いて素読を習いました。一番初めは孝経で、それは七歳の年でした。元来其頃は非常に何かが厳重で、何でも復習を了らないうちは一寸も遊ばせないという家の掟でしたか…

2007-11-28

■ [言語生活史]音読(片山潜『自伝』) 読書は発声して読むのであった。黙読などと云ふことは殆んどしたことがない 橋元良明「音読と黙読」『言語』1998.2によるツイートする

2007-11-27

■ [位相] 「心も言も事も、上代の人は上代のさま」(『宇比山踏』) 本居宣長 又男は、思ふ心も、いふ言も、なす事も、男のさまあり。女は、おもふ心も、いふ言も、なす事も、女のさまあり。されば時代々々の差別も、又これらのごとくにて、心も言も事も、上代…

2007-11-26

■ [位相]女の言葉づかい (「毛詩抄」) 清原宣賢 婉ハ内言ゾ、女ノ詞ツカイゾ、外言ト言ハ男ノ詞ゾ、男ハ祝着ニ候ナドトイヘバ、女ハヲウレシウ候ナドト言ト同事ゾ 『毛詩抄』1 p82外山映次「敬語の変遷(2)」岩波講座日本語4敬語 p156柏谷嘉弘「古代漢語の…

2007-11-25

■ [位相]男文字をも (「女重宝記」) よつて手習《てなら》ひのはじめには、まづいろはより書習《かきなら》ひ、後《のち》には文章《ぶんしやう》をつらね、男文字《おとこもじ》をもおぼゆるなり。 現代教養文庫『女重宝記・男重宝記』長友千代治校註 p118 …

2007-11-24

■ [位相]男の言葉づかいを女性が言う (「女重宝記」) 男の詞つかひを女のいひたるは耳にあたりて聞きにくきものなり。女のことばはかたことまじりにやはらかなるこそよけれ 国田百合子『女房詞の研究』風間書房松村明『日本語の世界2日本語の展開』中央公論…

2007-11-23

■ [位相][漢語]「若き女房には似つかはしからず」(かたこと)22 一 きのふおとゝひといふべきを 。さくじつ。一《いつ》さくじつといひ。あす。あさてを。みやうにち。みやうごにちぞなどいふやうのことは。児喝食《ちごかつしき》若《わか》き女房《によう…

2007-11-22

■ [位相][漢語]「よみにていふべし」(かたこと)21 一 そのゝちは久しう御めにかゝりまいらせぬといふべきを。其以後《そのいこ》は御意《ぎよい》を得ず。中絶《ちうぜつ》いたし。疎遠《そえん》の至《いた》り無音千万本意を背《そむ》き所存《しよぞん…

2007-11-21

■ 詰めていふ(かたこと)10 一 中《なか》/\といふべきを 「なっかなか」ぞ。「なかなっかぞ」などゝ詰《つめ》ていふこと如何侍らん。されどもかうやうのこと葉は。時《とき》により。ことにしたがひて。いはずして叶《かな》はぬおりも侍るべし。苦《く…

2007-11-20

■連声とてよきことば(かたこと)28 一前《まへ》*1も云る。中/\を。なっかなか。なかなっか 右《みぎ》いつゝのこと葉を。かやうにつめていふこと如何といふ人も侍り 但うへより云つゞけ。又いきほひかゝりていふ時《とき》は。くるしからじといへども。…

2007-11-19

■ [位相]漢字と女性 (「乳母の文」) 阿仏尼 真名は女の好むまじき事にて候なれども 金子彰「位相語の歴史」(『日本語史』桜楓社)ツイートする

2007-11-18

■ [漢語]漢語まじりは生意気か (中島俊子「生意気論」) 漢語英語交りに談話するを以て生意気なりと為すか。 村上信彦『明治女性史2』p90による。ツイートする

2007-11-17

■ [漢語]漢語がまざる (浮雲) 二葉亭四迷 到底解かるまいとはおもひましたけれども試に男女交際論を説てみたのですヨ。さうしたらネ、アノなんですツて、私の言葉には漢語が雑ざるから全然《まるっきり》何を言ツタのだか解りませんて…… ツイートする

2007-11-16

■ [漢語]漢語の難しきもの (福沢全集緒言) 是等の書は教育なき百姓町人輩に分るのみならず、山出しの下女をして障子越に聞かしむるも、其何の書たるを知る位にあらざれば、余が本意に非ずとて、文を草して漢学者などの校正を求めざるは勿論、殊更らに文字に…

2007-11-15

■ [表記意識]楷書と平仮名(伊丹万作) ヒラガナトイウモノハソノ素性ヲ探ルト、イズレモ漢字ヲ極端ニ崩シタモノニスギナイ。スナワチ形カライエバ草書ト少シモカワリハナイノデアル。シカルニ草書ト楷書ハ、コレヲ混ゼコジヤニ布置シタ場合ケツシテ調和スル…

2007-11-14

■ [表記史]公文書は真書で(公式令) 凡、公文者、悉作2真書1。 佐藤喜代治「正書法の歴史的背景」『漢字漢語の研究?』三保忠夫「文書の漢字」漢字講座6ツイートする

2007-11-13

■ [表記史]片仮名もて書たるは紅毛語(『紅毛雑話』) 此書中平仮名をもて書たる中に。片仮名もて書たるは紅毛語なり。猶上下の文、もし混せざらんか為に。「 」かくのごとき点を置たり。 http://record.museum.kyushu-u.ac.jp/komozatu/page.html?style=b&p…

2007-11-12

■ ネバー・好き(獅子文六「自由学校」) 「飛んでも、ハップン! いけませんよ、ユリーにチャージさせるなんて……」「それが、きらい! そんな、ヘンな形式主義、ネバー・好きッ!」 新潮文庫版 p.45 樺島忠夫『日本語はどう変わるか』岩波新書 1981 p.2敬語の本…

2007-11-11

■ [方言意識史]都の言葉(屠竜工随筆?) 都は古へ大内裏の時こそ万国会する所にて、中央の声ならめ、今に成てはしからず。(中略)仮令古より詞にても女にしては可なり、男子においては余りに軽薄にして中央の詞とも聞こえず。 徳川宗賢(1978)『日本人の方言?…

2007-11-10

■ [方言意識史]夷詞(仙覚) 防人等ガ歌ノ詞、ミナコレ夷詞ドモナリ。或ハ又、鬼語ナドモアヒマジハリテ、カタクナナル詞ドモナレバ、末ノ世ノ大和詞ヲモテアソバム人ノ学ブベキニモアラズ。(中略)第十四巻東歌、ナラビニ此巻防人等歌ノ詞、ソノ聞キハ卑シ…

2007-11-09

■ [方言意識史]上方語への意識(橘庵漫筆) 畿内は言葉甚だ乱雑也。分て京摂は他方混じて野となること多し。 徳川宗賢『日本人の方言』筑摩書房(1978)p.84徳川宗賢『日本語の世界8言葉・西と東』中央公論社(1981) p.108ツイートする

2007-11-08

■ [方言意識史]三河なまり(去来) 三河なまりは天下一番 『芭蕉追善之俳諧』の去来の付句安藤正次『国語史序説』徳川宗賢『日本人の方言』筑摩書房(1978) p.82徳川宗賢『日本語の世界8言葉・西と東』中央公論社(1981) p.102ツイートする

2007-11-07

■ [方言意識史]三河言葉を似せる(一話一言) 先年頃の かた/\は 立身せんと 朝公儀 三河言葉を にせ廻り 徳川宗賢(1978)『日本人の方言』筑摩書房 p.81徳川宗賢(1981)『日本語の世界8言葉・西と東』中央公論社 p.102渋谷勝己(2008)『シリーズ日本語史4日…

2007-11-06

■ [方言意識史]田舎人のわらひ侍る京こと葉(かたこと) 一其様《そのやう》なこと ○此やうなこと ○どのやうなこと。などいふべきを ○そんなこと ○こんなこと ○どんにやこと ○そがいなこと ○こがいなこと ○そんにやこつちや ○こんなこつちやなどいふこと葉を…

2007-11-05

■ [言語生活史]辞書を買ってもらう(田宮虎彦「別れて生きる時も」) 美智がその辞書を、母に買ってもらったのは、女学校でどうしても国語の辞書がいるようになった時のことであった。美智は母にねだって、やっとそれを買ってもらった。学校で国語の辞書を持…

2007-11-04

■ [漢語]甚しく漢語を加入(早稲田文学) 特に当時羽振最も好かりし所謂志士の大かたは、半ばは儒者、半ばは壮士なりしを以て、言語はその自然の果として、甚しく漢語を加入し、且つ簡短を尚ぶに至れりき、例へば昔しの其処許、貴殿、身共、拙者は君、僕とな…

2007-11-03

■ [方言意識史]薩摩弁を学ぶ(時事新報・福沢諭吉) 昔日、徳川政府の盛んなるときは、田舎の士族が江戸に勤番して、不用ながらも江戸語を語つて旗本の風を学び、維新以来旧鹿児島藩士の勢力盛んなれば、上国の士人までも、わざと薩州の語を学びて媚を献ずる…

2007-11-02

■ [方言意識史]坂東声(太平記) 公家の人々いつしか言ひも習はぬ坂東声をつかひ、着も馴れぬ折烏帽子に額を顕はして武家の人に紛れんとしけれども、立振舞へる体《てい》、さすがに媚《なまめい》て額付《ひたひつき》の跡以ての外にさがりたれば、公家にも…

2007-11-01

■ 街路に白文字の広告(宮武外骨『明治奇聞』) 街路に白文字の広告大正四、五年頃、各地の都会の街路に白文字の広告をすることが流行した。それは、大きな袋の底に広告の文字を切り抜き、その袋に石灰を入れて路上にペタリとおろすと白字が現われるのである…