国語史資料の連関

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2007-11-30

漢音が勝つ(童子通) 漢音が勝つ(童子通) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 漢音が勝つ(童子通) - 国語史資料の連関 漢音が勝つ(童子通) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

儒者なればとても、たまたまは呉音も交えねば通ぜぬことあり

 人情 世間 是非 日用 今日 城郭 邦域等也

数目の字は別して呉音多し。

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書生ややもすれば俗間通用にも漢音が勝つもの也http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/dojituu.pdf#page=11


松井利彦「近世漢学における漢字音の位相」


桓武天皇延暦十一年に、明經の徒に詔して漢音を習はしめ、十七年より始て五經をかん音に讀しめらる、これより儒書はかん音、佛書呉音を用ゆと云、しかれども此は直讀のことにて、回還讀《カエリテヨム》のことにめらす、倒讀《カヘリテヨム》の時はやはり佛書と同ぐ、呉おんを用ることなりしに、いつの比よりか、直讀は廢して倒讀のみ殘り、直讀の音を移し用て佛書に別てるものと承る、是なりや否を知ざれども、今直讀の廢せるをみれば、左も有んかと思わる

儒書なればとてたまたまに呉音も交へねば通ぜぬことあり、人情、世間、是非 日用 今日 城郭 邦域等也。数目の字は別して呉おん多し、一人と云は天子のこと也、その他は人《ニン》とよむことぞ、七十二人《シツシフジシン》六七十《リクシツシフ》など窮くつな目をするは無益のこと也、少異をすてゝ大同を取らば全く漢音たることを妨げす、佛書とても同やう、まゝ漢音を用ることあり、馬頭《メヅ》觀音と云はすしてバトウ■■と云、その他 悉曇《シツタン》 金《キン》輪 弘法《クワウ》 道|元《ゲン》のるゐ也、書生やゝもすれば俗間通用にも漢音が勝つもの也、若し恵遠《エヲン》をケイヱンといはゞ、仁《ニ》兵衛をジンベヱと呼ベきか、