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2003-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2003-02-28

■ [辞典類]英和辞書翻刻の流行(明治事物起原 第七学術) 明治十年代まで、英和辞書の出版の稀なりしは、厚冊の印刷に、大資本を要せしためなり。しかるに、いまや活版術の大発達と、英学熱の隆典とにて、需要の激増を来したれば、その中、いく種かの翻刻出…

2003-02-27

■ [辞典類]明治初期の英和辞書類(明治事物起原 第七学術)2 以上は明治以前なり。これより明治以後のことを述べん。明治維新後は、英和辞書の出でし数も少なからず、俗称薩摩辞書が、開成所本の模造、蔵田氏版の『[浅解英和辞林』が平文本の剽窃に過ぎざる…

2003-02-26

■ [辞典類]明治初期の英和辞書類(明治事物起原 第七学術)1 明治以前、明治の英和辞書を述べるには、少しく明治以前に遡り、その淵源を窮める必要あり。 (一)『諳厄利亜《アンジリア》興学小筌』 文化五年八月、英艦フエトン号、長崎港外に投錨し、間もな…

2003-02-25

■ [辞典類]和英辞書の始め(明治事物起原 第七学術) 横浜在留医士ヘボン、和英辞書の編纂あり。邦人岸田吟香(美作国久米郡塀和村の人にして、天保四年四月八日生まる。幼名太郎、次いで銀次と改め、落魄して左官職に隠るる頃、同僚呼んで銀公銀公といふ。後…

2003-02-24

■ [表記史]和文に洋文の符号(明治事物起原 第七学術) 清水卯三郎、明治七年の春、英人トーマス・テーの化学初歩を訳し、『ものわりのはしご』と名付けて小本三冊を発行せり。横山由清の序文に、横がきの洋文に用ひる符号を、縦がきの和文に用ひたれば、も…

2003-02-23

■ [辞典類]和魯通言比考(明治事物起原 第七学術) 『和魯通言比考』は、和露対訳辞書の祖にて、西暦千八百五十七年(安政四年)日本人橘耕斎(国際部に略伝あり)と、魯人ゴシケウヰツチの合著にて、ペテルブルク版なり。菊二倍半、四百二十三頁、毎頁二列二十…

2003-02-22

■ [国字問題]ローマ字論の始め(明治事物起原 第七学術) 明治七年二月発行、『明六雑誌』第一号に、西周の「洋字を以て国語を書するの論」一篇あり。帰するところは、今日いはゆるローマ字法を採用せんとの旨趣なり。中について、左のごとき例をあげしを見…

2003-02-21

■ [学史]仏人ロニイと日本人(明治事物起原 第七学術) フランスの首都パリーに、レオン・ド・ロニイといふ一奇人あり。いまだ日本に来遊せざるも、非常の日本好きにて、日本の本も読み、日本人と話も出来、日本に関する著書も薄つぺらのもの十余種に上り、…

2003-02-20

■ [学史]百科全書の賃訳(明治事物起原 第七学術) 今日、まだ市上にぽつぽつ文部省の『百科全書』を見るべし。数科つつ合はせて立派の洋本に仕立てしものにて、一時相当に世間に出でし本なり。訳者は多勢にて、中には、さツぱり文意の通ぜざる悪本もあり、…

2003-02-19

■ [近代語]物理学の術語(明治事物起原 第七学術) 物理学の術語、年代とともに変化あり。 (一)安政三年版広瀬氏の『理学提要』は、今日の分子を極微といふの類、今日と同じからず、「天気は諸瓦斯及水蒸気の渾融に由る」云々など、瓦斯の語は今日と同じ。 (…

2003-02-18

■ [表記史]馬車《ばしや》・俥《じんりきしゃ》の文字の始め(明治事物起原 第七学術) 人力車の三字を俥のあて字にてすます者あれども、その源は遠きことなり。明治五年十一月十四日の『日々』に、「方今文明の際、凡そ事簡易にして明解なるを貴ぶ、因て爾…

2003-02-17

■ [近代語]法学の語の始め(明治事物起原 第七学術) 法律を研究する学科を、法学と称するは、津田氏の『泰西』慶応四年刊、および同年四月の『中外』に掲げし、神田孝平の「急務五ケ条」に見えたるを最初とすべし。 明治七年開成学校法律部を、法学科と称し…

2003-02-16

■ [言語生活史]日比谷図書館の始め(明治事物起原 第七学術) 明治四十一年十一月二十日、東京市日比谷公園内に、日比谷図書館?を建設す。東京市の経営なり。昭和十三年三月三十一日限り、一時閉館、建物傾倒の恐れあるためなり。後また開館す。ツイートする

2003-02-15

■ [言語生活史]日本エスペラントの始め(明治事物起原 第七学術) 明治十六年の『東京学士院雑誌』第四編に、神田孝平の「万国言語一致論」あり、一八八七年ポーランドのザメンホフ博士の発明せられたる世界共通の新言語すなはちエスペラントなり。 わが国に…