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2002-03-01から1ヶ月間の記事一覧

2002-03-31

■ [和訓栞]和訓栞大綱(78) 〇五十音の内いうえの三音各ニツありて實は四十七音也 こは華巌の字母兩阿藏の如し よて千載集の序にも四そしあまり七もしといへり いろはの歌もまた四十七字也 されは寂昭?入宋せし時に字母僅に四十七といひし書史會要に見えたり …

2002-03-30

■ [和訓栞]和訓栞大綱(77) ○あいうえをの五位を字母とす よて餘りの四十五位の音を引て呼ヘハ皆あいうえをの音を生す あいうえをの響は本韻の外を出す 古事神武紀の歌の阿阿の下に音引と注せし是也 あかさたなはまやらわの十位は皆あの音を生し いきしちにひ…

2002-03-29

■ [和訓栞]和訓栞大綱(76) ○假字反の法 反すべき二字の内上を父字とし下を母字とす 二字同韻ならば父字に歸し二字同音ならは母字に歸す 是を横歸本竪留末といふ きえ反け しか反さの類は父字同音の上か下かにて母字同韻にあたる字を歸字とす 是を父字の上下…

2002-03-28

■ [和訓栞]和訓栞大綱(75) ○悉曇には南天を直音とし中天を拗音とす 南天は呉音の如く中天は漢音の如しといへり 悉曇藏にも中天之音多用2漢音1少用2呉音1南天之音多用2呉音1少用2漢音1といひ韻會に韻書始2于江左1本是呉音也と見ゆ 五十音も直音をもて本とする…

2002-03-27

■ [和訓栞]和訓栞大綱(74) ○竪を音とし横を韻とす 同音相通同韻相通といふ是也 あいうえを等の五十字は正音也 是を直音とす その下にいやうわ等を記すは正音の少しひずみて變せる也 是を拗音《イヤウ》とす それか中に右の方にいやいいなとあるは開の拗音 左…

2002-03-26

■ [和訓栞]和訓栞大綱(73) 〇五音十行の歌 アワヤ喉《のと》カ牙《きぱ》サ鰐《あぎと》タナラ舌《した》ハ軽《かろ》マ重《おもく》く唇《ちぴる》の音《こゑ》 音韻相通假字反圖 (図略) 此五位十行の圖は吉備公の作と言傳へ悉曇金剛文珠問に本つくといへ…

2002-03-25

■ [和訓栞]和訓栞大綱(72) ○韵學私言曰吾邦舊傳2五音十母圖1實古來韻學之権輿日用言語之楷範也 爲v字纔四十有餘而人能極2其微1盡2其蘊1則宇内之聲音経v耳即可v得2其情1至約而備2衆法1至簡而應2萬變1殆乎 臻v妙入v神之作其有v功2於人世1亦大矣 鄭夾際所v謂婆…

2002-03-24

■ [和訓栞]和訓栞大綱(71) ○歌(ノ)辭及物語に文字に書て其訓を取用るは其字のはたらく語によりて後《アト》にかなを副るは通例也 その内に萬葉集に破夫利 都夜故 菅家萬葉集に思《オ》裳保湯留なとの類は又一體也 夫ノ字 夜ノ字 裳ノ字なくてもとこそ思はるれ…

2002-03-23

■ [和訓栞]和訓栞大綱(70) ○古今集の序に なにハ津あさか山のふた歌ハ歌のちゝはゝのやうにてりて ならふ人のはしめにもしけるといへり 難波津の歌ハ王仁かよみ安積山の歌は釆女かよみて王仁は異國の人 釆女は賎官の女にてさへかゝる優美のすさみあり されハ…

2002-03-22

■ [和訓栞]和訓栞大綱(69) ○今の點法は實ハ旁註也 よて中山傳信録にも得中國ノ書多用鈎挑旁記逐句倒讀といへり されと古へ星を點せし時の名を存して點といふものハ今の冊子に古への巻の名有か如し 西土の點法は圓を圏點といふ 白圏あり黒圏あり重圏あり ちゆ…

2002-03-21

■ [和訓栞]和訓栞大綱(68) ○半濁には一圏し濁音にハ二點するを俗に濁りをさすといふ 四聲を點する法の如し 四聲をわかつを點發といへり 又濁音に本濁新濁のわかちあり まへにもいへり http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/902866/22ツイートする

2002-03-20

■ [和訓栞]和訓栞大綱(67) ○一字再讀のものハ未をいまた何/\せずとよみ 將をまさに何/\とすとよみ 須をすべからく何/\すべし 猶をなほ何/\のごとしとよむの類也。かゝらざれバ倭語の意盡さるをもて也 盍ハもとより何不二合なれハなんぞとよみ 置て句…

和訓栞大綱(66)

■ [和訓栞]和訓栞大綱(66) ○當時の點法一二三 上中下 甲乙丙丁等の字を旁註し錯へ讀て文意を通せり 是を返り點といへり 又直讀すべき所にはしの字を用ゐ 反讀すへき所にはレの字を用ゐたりしは説文に音〓上下通也と見えたり 是を旁抹中抹なといへと抹の義に…

2002-03-18

■ [和訓栞]和訓栞大綱(65) ○世に傳ふる所の参河ノ前司清原教隆か點本なとを考ふるに紀傳経典の異 四聲音訓の別あり 又切點 懸點 反點の法 及呉音漢音 訓の引合といふ事見えたり 釋氏諸宗の如きは點法區々にして一例ならす http://kindai.da.ndl.go.jp/info:n…

2002-03-17

■ [和訓栞]和訓栞大綱(64) ○讀書の法 古へより音訓を兼用たり よて句投の外にをこと點といふ事を立たる也 倭語に漢字を填るの法もまた必すしも音のみをとらす 日本紀以下皆然り よて今用なる旁假字平假字ともに音訓を雑へて通用するものなり http://kindai.d…

2002-03-16

■ [和訓栞]和訓栞大綱(63) ○てにをはに過去未來現在及下知あり 過去は已往也 未來は將來也 現在は當今也 下知は命令也 たとヘはゆきしきたりしは過去の辭 ゆかんきたらんは未來の辭 ゆくきたるは現在の辭 ゆけきたれは下知の辭なるの類也 http://kindai.da.n…

和訓栞大綱(62)

■ [和訓栞]和訓栞大綱(62) ○萬葉集詠霍公鳥歌の下に毛能波弖爾乎六箇ノ辭闕之と見えたり 助語なくてはよみかたきをもてかく注せり 是所v謂てにをはの原始なるべし かつ歌のとまりに此六の辭ありては皆必す上へ反る意味あり 又名語多くは助辭をもて事を辨へた…

和訓栞大綱(61)

■ [和訓栞]和訓栞大綱(61) ○[てにをは]の所詮は切と續くとの二品也 文章の句讀あるか如し 又[てには]ゝ鳥の翅の如く舟の梶の如し 鳥は翅をもて高天に上り舟は梶をもて海路を凌く 歌は[てにをは]にて千變萬化すといへり http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndlj…

和訓栞大綱(60)

■ [和訓栞]和訓栞大綱(60) ○てにをはといふは右にをことは左に爾かてとあるを平上去入の點法の如くにして四隅を左旋りによむ也 よててにをはも博士家より出て 歌學家の言にあらすといへり をことはといへるもてにをはといへるも ともに辭のつなぎ也 或説に出…

和訓栞大綱(59)

■ [和訓栞]和訓栞大綱(59) ○右の讀法を名けておことはといふは 點法多き内の言をもてよべる也 四十七字の歌をいろはといふか如し http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/902866/21 『てには網引綱』による。ツイートする

2002-03-11

■ [和訓栞]和訓栞大綱(58) ○古人讀書助語の點法ありて字の四週に朱點をさしたる 是を點本といへり 源氏物語に人に點つかるべきふるまひはせしといへるも批點なといふか如くいさゝか褒貶したる意也といへり http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/902866…

2002-03-10

■ [和訓栞]和訓栞大綱(57) ○物の名に寄て祝賀の辭とする我邦殊に盛也とす それか中にふゞきを富貴とし めうがを冥加とするも ふるくより傳へ のし鰒を樂しの義にとり 昆布の名を弘めの辭によそへ 今上下もハらもてはやすも げに言霊のさきはふ國のならはしな…

2002-03-09

■ [和訓栞]和訓栞大綱(56) ○同字同義にても唱へさまにて其事物を異にするあり 鈴を音にりんといへば打べく訓にてすゞといへば振べし。干物を音に「かんぷつ」といヘば精進の名訓にて「ひもの」といヘば魚類の稱也。木綿も音に呼べば布の名、訓によべばわた也…

2002-03-08

■ [和訓栞]和訓栞大綱(55) ○處所の名に音にも訓にもよべる類多し それか中に多武ノ峰を談ノ峰と書しは多武の音を談一字に用ゐたる也 供僧は常に談山と音によべり さるを後にハかたらひやまなともよめリ 二荒山はふたあれやまなるを音をよぴしより近世美字を…

2002-03-07

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-13) 又伊勢櫻を伊勢にて御所櫻といひ江戸櫻を江戸にて吊|燈《チン》櫻とよぷの類も亦すくなからす よて連歌に 草の名もところによりてかハるなり といふ句に救済法師 難波のあしもいせの濱荻 とこそ付られたれ 西土にても山海経に海…

2002-03-06

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-12) 又蝦夷詞?の歌とる びるしやもと かものもかげを もころして 霞の内に ちつぼ見えけり ぴるしやは褒たる詞 かものもかげハ美女子の體也 もころしてハ熟睡をいふ ちつぼは舟也といへりツイートする

2002-03-05

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-11) 又琉球國にて祝賀の初めにうたふ歌 けふのふくらしや なにもがな たちよる つぶてをるはなの つゆぎやあたくと 琉球の歌ハ春正の傳也といへり 春正?は大納言資慶卿?の門人也 けふのふくらしやハ今日の福らしき也 なにもがなたち…

2002-03-04

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-10) 又奥州の方言をよめる いぐひすや 初音ぷんだせ きくべいに あせいなかない ぷさただんべい 鶯の初音を出せ聞べきになぜ鳴ぬぞ ぷさたじやといへる意也ツイートする

2002-03-03

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-9) 亦信濃のしづのめか山路の櫻を見てよめるとか いきっしまに つぼみし花の きっちまに ぐゎらりとさいた をけとぢのかば いきつちまハ往しな也 きつちまは來りしな也 ぐはらりととさいたは莟みたる花の快く開くをいふ也 をけとぢ…

2002-03-02

■ [和訓栞]和訓栞大綱(54-8) 亦豊後辭の歌に きのふ見ちえ きふ見んしひか くいしいに 二日と見ずは うどうどうしやう ちえ反て也 きふはけふ也 みんしひハみぬさへ也 くいしいはくやしき也 うどうは我をいふ どうしやうは何としやう也 亦 おれもわりう おむ…