国語史資料の連関

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2002-03-10

[]和訓栞大綱(57) 和訓栞大綱(57) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 和訓栞大綱(57) - 国語史資料の連関 和訓栞大綱(57) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

○物の名に寄て祝賀の辭とする我邦殊に盛也とす それか中にふゞきを富貴とし めうがを冥加とするも ふるくより傳へ のし鰒を樂しの義にとり 昆布の名を弘めの辭によそへ 今上下もハらもてはやすも げに言霊のさきはふ國のならはしなりけらし これ我邦のみしかるにあらす 西土にも略似たる事あり 一切の祝義に|萬年青《オモト》を用うる事花鏡は見えたり 又春盤を蓬莱と稱し 松柏の常盤木をかざり 柿を堅磐の言の葉によせ 橘を立花の佳名にとれるは 熈朝樂事に正月朔日簽柏枝於柿餅以大橘家之謂之百事大吉の類也 又歯固めのもちひハ荊楚歳時記に元日食膠牙錫 取膠固之義の類 又除夜の戸開ノ木重三の母子草 誕生七夜の金頭の魚ハ増續韻府に社日係葱蒜取小兒聰明計算之義といへる類也 又春日の鹿は鹿島の名に出 稻荷の狐は三狐神によるか如きは酉陽雜俎に獵者不v殺一犲以財為同聲と記せるに近し 又人家に芭蕉をうゑさるハ梵書に此身如芭蕉ともろき譬にいへるによれり 西土にも又夏水仙を人家に植るを悪むと見ゆ 无義草の名によれる也 食に香物三きれを供へさるハ甲者身斬の名をいむ 西土にも桃二ツを人にあたへず 二刀三士を殺すの義によるといへり 又大諸禮に引渡のくみやうのしくりこぷと置はうつてかつてよろこぷの義 出陣歸陣尤用うへしと見え 又みかたの幕をうつといひ敵の幕を引まはすといふ 又よめ入のともに猿毛の馬に乗へからすといへり 又弓二張を人に遣す目録に弓一張張替一張と書は二張の弓を引といふ事を嫌ふによる也

http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/902866/20