国語史資料の連関

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2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2015-01-07

■ [方言意識史]薄田泣菫「茶話」 店員は精々《せい/゛\》京都訛りを出さないやうにして、詳しく新案の談話《はなし》をした。この店員は自分の有《もの》を他人《ひと》に取られまいとする時には京都弁を使ふが、他人《ひと》から何か貰ひ受けたいやうな折…

2015-01-06

■ [方言意識史]正宗白鳥「坂本龍馬」 私は讀み乍ら、東北人たる作者が、西國の人と土地を書いてゐることを感じた。眞實に即した立場から云ふと、西國の地方色や西國人らしい情調に乏しいと云つていゝ。默阿彌の『島千鳥』の松島千太と明石の島藏とには、大ま…

2015-01-05

■ [方言意識史]汽車が逢阪山のトンネルを西へ抜けると、大阪弁が急に耳に押し寄せてくる(宇野浩二) 「僕は昔からかなり毛ぎらいをしたもんで、美校(美術学校の意)にいた時分なども、かなり友人たちを毛ぎらいしたもんで、殊に自分が大阪もんだけに、大阪人…

2015-01-04

■ [方言意識史]「地方言はきゝぐるしければ、普通の言に直しつ。」和辻哲郎(少年時代) 子供 地方言はきゝぐるしければ、普通の言に直しつ。子供の動作▼子供の食事 九月十七日の夕、僕は膳の前に坐つた。妹(五つなり)も母の側に座をしめてをる。 御馳走はやき…

2015-01-03

■ [方言意識史]「我國は東と西とに各一大中心を有して、其言語風俗劃然として二大系をなすを見る」(田岡嶺雲「東京と大阪」) 今東京を出で、靜岡を過ぎり、濱松を經て、而して既に名古屋に至らば、言語風俗頓に面目を異にするものあるを見ん。盖し參以東は…

2015-01-02

■ [方言意識史]「近頃、大阪言葉も、流行つてゐるのね」(直木三十五「殿堂を碎く」) 「男の言葉を、使ふこと、流行つて?」 會話は、轉回した。微笑して、兩手を擴げて來た愛人が、突然に、蹠《かゝと》をめぐらせた。「時々、使ふわ」と、答へて、振向くの…

2015-01-01

■ 「上方では、マグロは刺身といわず、オツクリ。フナだけを刺身という」(三遊亭金馬) 上方では、マグロは刺身といわず、オツクリ。フナだけを刺身という。 春先から初夏にかけて、往来を天秤《おおこ》をかついで、「フナの刺身よう」と売りにくる。フナ…