国語史資料の連関

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2015-01-04

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子供 地方言はきゝぐるしければ、普通の言に直しつ。

子供の動作

▼子供の食事

 九月十七日の夕、僕は膳の前に坐つた。妹(五つなり)も母の側に座をしめてをる。

 御馳走はやき松茸であつた。ところが妹の膳の上にある松茸には、下女が醤油をかけるのを忘れてゐた。すると妹は直ぐ大声に、御母さん御醤油と叫んだ。つゞいて食事しながら、

  「アノね、御母さん、今目○○さんや○○さんと初茸とりに行つたの。○○さんは沢山取つてあたし等に見せびらかしてね、喜こんでいらつしやつたのに、ふと籠を松の木に当ててとり落しなすつたの。それで初茸はあちらへもこちらへも転がつてしまつたのですよ」

 とさも得意に話しては食ひ/\、母さんにもつと静かにと云はれてしばしばしきりに箸を動かして居たが、今度は少し眠くなつて駄々をこね始めた。

和辻哲郎『初旅の記』新潮社 pp.87-88