国語史資料の連関

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2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

2007-05-31

■ [言語意識史]「日本の言葉でどうしてあんなに」(島崎藤村) 島崎藤村『桜の実の熟する時』三 捨吉は桜の樹の方へ向いて、幹事の配って来た折詰の海苔巻(のりまき)を食いながら、「菅君、君は二葉亭の『あいびき』というものを読んだかね」「ああ」 と菅も…

2007-05-30

■ [外国人の日本語など]ポンティング 英国人写真家の見た明治日本 (講談社学術文庫) 作者: ハーバート・G・ポンティング,長岡祥三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/05/11メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 53回この商品を含むブログ (17件) を見る p24…

2007-05-29

■ [外国人の日本語など]メーチニコフ 回想の明治維新―一ロシア人革命家の手記 (岩波文庫) 作者: レフ・イリイッチメーチニコフ,渡辺雅司出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1987/03/16メディア: 文庫クリック: 25回この商品を含むブログ (5件) を見る 日本語…

2007-05-28

■ [外国人の日本語など]H.B.シュワルツ 薩摩国滞在記―宣教師の見た明治の日本 作者: H.B.シュワルツ,島津久大,長岡祥三出版社/メーカー: 新人物往来社発売日: 1984/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 第四章 鳥の足跡の文字 などhttp://books.go…

2007-05-27

■ [方言意識史]大学へ入ったら標準語(三島由紀夫『金閣寺』) 三島由紀夫「金閣寺」第四章 「一寸(ちょっと)、今の講義でわからんところを、教えてもらおうと思って」 と私は吃り吃り、標準語で言った。大学へ入ったら、標準語を喋(しゃべ)ろうと思っていた…

2007-05-26

■ [外国人の日本語など]チェンバレンの「ピジン日本語」 THINGS JAPANESEBasil Hall Chamberlain Pidjin-Japanese. In China, where the native language is very difficult to pick up, and the natives themselves have a ecided talent fur learning fore…

2007-05-25

■ [外国人の日本語など]マクドナルドの「ピジン日本語」 Ranald MacDonald(1824-1894) They used--without telling me whence they got them--to ask the meaning of these terms, for by this time, I could speak a sort of "pidgin"--Japanese, or, at le…

2007-05-24

■ 「的」(大槻文彦「文字の誤用」『復軒雜纂』) それから、今の世に、的の字を頻りと用ゐるが、その元は、たはけた話であるから申さう、今の文に、「反抗的態度」などは、「反抗様態度」などいふやうな意に用ゐて居る、「軍事的設備」、は「軍事上設備」・…

2007-05-23

■ ナッメリ、ナッナリ(藤井貞和『古典の読み方』) 講談社学術文庫isbn:4061593153 なりめり、なりなり、とあるのが原型だろう。それがナッメリ、ナッナリとなり、「ッ」を書くのを省略して「なめり」「ななり」となった、という説明がよいと思う。[……] 繰…

2007-05-22

■ ン音が「う」と表記される(藤井貞和「『源氏物語』と精神分析」) フロイト全集月報5(2007.8)isbn:9784000926782 「せんけうたいし」がほかならぬ阿闍世王そのひと(=善見太子)である[……] ちなみに古文の常識で、ン音が「う」と表記されることは何ら不…

2007-05-21

■ 国字の四書 旭堂南慶演「情の假字書き」(評判講談全集 第六巻 昭和6.3) お母《かあ》さま、この反古《ほご》の假字書《かなが》きの論語《ろんご》はどこにございましたのですか、國字《こくじ》の四|書《しよ》といふものは、私《わたし》まだ見《み》た…

2007-05-20

■ [方言史]上方と江戸(皇都午睡) 〔皇都午睡三編上〕 京大坂を上方と一ツに唱へて先にいひ、江戸の唱への變りしを後に云に言語道具食物と部分《ぶふん》のしたき物なれど中々|際限《さいげん》なきことなれバ混雜して思ひ出る儘に記せバ重なるもあり、落せ…

2007-05-19

■ [方言史]三都(皇都午睡) 〔皇都午睡三編上〕 三都と詞をわけて云時には、江戸詞は耳立聞え、京大坂とはさまで替りたる詞もなし、是は詞の延縮《のびちゞみ》引か放すかといふ計の違ひなれば也、江戸とても尊き人々には聊も詞は替りたることなき者也、い…

2007-05-18

■ [方言史]京と大阪(皇都午睡) 〔皇都午睡三編上〕 京と大坂と一夜の船の隔あるにさへ、 大坂の「温《ぬく》ひ」は京で「暖《あたゝか》ひ」、京の「きつい」は、大坂の「ゑらい」、大坂の「大きい」、京で「いつかい」、大坂で「どゑらひ」は、京で「仰山…

2007-05-17

■ [方言史](世事百談) 〔世事百談)方言 漢の楊子雲?、輶軒絶代語の撰あり、世に楊子方言といへり、わが邦にて近來越谷吾山といふ俳人の物類稱呼をあらはしたり、ある人大和の國の方言をすべいへる諺とて、 てい/\ござれ、さうはつちや、かたつか、けんず…

2007-05-16

■ [江戸語]江戸は日本國の人の寄場(皇都午睡) 〔皇都午睡三編上〕 江戸は日本國の人の寄場にて、言葉も關八州の田舎在郷の訛をよせて、自然となりし物ゆゑ、江戸詞と云ては甚少なし、其内古風を守り、叮嚀の詞も有り、大體京攝の詞を詰て短かく云ならはせ…

2007-05-15

■ [表記史]「只かなをしれる物の世間におほく候」(北条泰時消息文) 北条泰時消息文(貞永式目関連) 重時宛 この状は法令のをしへに違するところなど少々候へども、たとへば律令格式はまなをしりて候もののためにやがて漢字を見候がごとし。かなばかりをしれ…

2007-05-14

■ [位相]「日本国のことばの本体」(『愚管抄』巻七) 『愚管抄』 すべてさすがに内典・外典の文籍?は、一切経などもきら/\とあむめれど、ひはのくるみをかゝへ、となりのたからをかぞふると申ことにて学する人もなし。さすがにことにその家にむまれたるもの…

2007-05-13

■ [位相][表記史]「仮名に書きつくること」(『愚管抄』巻二) 『愚管抄』 此皇代年代の外に神武より去々年に至るまで世の移り行道理の一通りを書けり。是を能々心得てみん人は見らるべき也。偏に仮名に書つくる事は是も道理を思ひて書る也。先是をかくかかん…

2007-05-12

■ [位相]「俳諧の益は俗語を正す也」(『黒冊子』) 『黒冊子』 師のいはく、俳諧の益は俗語を正す也。つねに物をおろそかにすべからず。此事は人の知らぬ所也。大切の所也と伝へられ侍る也。 佐藤喜代治「文章観の変遷」(『現代作文講座・文章活動の歩み』)…

2007-05-11

■ [位相]「文字はたとひ漢字をかるとも」「事は鄙語の上に及ぶとも」(『去来抄』) 『去来抄』 先師曰。世上のはいかいの文章を見るに、或は漢文を仮名に和らげ、或は和歌の文章に漢字を入れ、詞あしく賎しく云なし、或は人情を云とても、今日のさわがしきく…

2007-05-10

■ [位相]「文字の御用あらば仏学儒者のかたへ」(可笑記) 『可笑記』第一 われおろかながらもふかくしうたんし、おもく疼痛して、文字のあやまり、かなちがひをはぢず、此の愚書を綴つて余がせがれに与へ読み習はす。誠に遼東の豕《ゐのこ》ならし、もし他見…

2007-05-09

■ [位相]「女形の口上おほく実の女の口上には得いはぬ事多し」(難波土産) 穂積以貫『難波土産』 浄るりの文句、みな実事を有のままにうつす内に、又芸になりて実事になき事あり。近くは女形の口上おほく実の女の口上には得いはぬ事多し。是等は又芸といふも…

2007-05-08

■ [漢語]「鄙言漢字をまじへたりとも」(風俗文選序) 許六「風俗文選序」 先師芭蕉翁、始て一格をたてて氣韻生動をあらはせり。たとひ鄙言漢字をまじへたりとも、心は吉野たつ田の花紅葉をうらやみ、和歌の浦に志をよせて、難波津の細きよしあしをたどりしる…

2007-05-07

■ [言語生活史]識字(吾妻鏡) 承久三年六月十五日 國宗捧院宣、於樋口河原、相逢武州、述子細武州、称可拜院宣、下馬訖共勇士、有五千餘輩、此中可讀院宣之者、候歟之由、以岡崎次郎兵衛尉、相尋之處、勅使河原小三郎云、武藏國住人、藤田三郎、文博士者也、…

2007-05-06

■ [方言意識史]日蓮 日蓮「報日進書法門可申事」 日蓮ガ弟子ハ、京ニノボリヌレバ、始ハワスレヌヤウニテ、後ニハ天魔ツキテクルウ。(中略)ノボリテイクバクモナキニ実名ヲカウルデウ、物グルハシ。定テ言葉附キ、音ナンドモ京ナメリニナリタルラン。鼠ガ蠕…

2007-05-05

■ [江戸語]奴言葉 (歌舞伎年代記。初一、貞享5〈元禄元年〉の項、日本古典全集上39頁) 扨また朝比奈の、せりふの工夫は、上方の言葉も似合ふまじ。関東べいの中に、おかしき言様こそあらん。と思ふ時に、遠き田舎より、山出しの乳母を置ける。未だ江戸馴ぬ者…

2007-05-04

■ [言語意識史][江戸語](慶長見聞集) 三浦浄心『慶長見聞集』。巻八「宗順?だみたる声を笑ふ事」 聞きしは今、杉本宗順と云京の人、江戸へ下り、云ける様は「関東は聞きしよりも見ていよいよ下国にて、よろづいやしかりき。人かたちかたくなに言葉なまりて…

2007-05-03

■ [近代語][江戸語]太宰春台「独語」 父の語りきかせつると、我まのあたりみつることを思ひつづくれば、百年の世態歴々として目の前にあるがごとし。(中略)つく〴〵と百年このかたの風俗を思ひくらぶるに、余所のことをばおいて、江戸の人の風俗こそ殊に昔に…

2007-05-02

■ [近代語][言文一致]「平生説話の言語」 神田孝平「文章論ヲ読ム」明治一八年二月「東京学士会院雑誌」 言語と文章とを一致せしめんと欲せは、作る所の文章を朗読し聞く者をして直に了解す可からしむへし。聞く者をして直に了解せしめんと欲すれは、平生説…