2007-05-19
■ [方言史]三都(皇都午睡)
〔皇都午睡三編上〕
三都と詞をわけて云時には、江戸詞は耳立聞え、京大坂とはさまで替りたる詞もなし、是は詞の延縮《のびちゞみ》引か放すかといふ計の違ひなれば也、江戸とても尊き人々には聊も詞は替りたることなき者也、いはゞ文通書状に書送るに、江戸なればとて、訛を入て書送ること有まじ、それにて通る所を見れば、江戸詞とは中分より下賤の詞也、
然《しか》としたる書籍にも記《しるさ》ざれどもことをかゝず、江戸の上製菓子屋に京都御菓子と印《しる》せる所多くして京大坂は長崎御菓子と印せバ長崎にてはまた京都菓子と云。大坂には烟草入|煙管《きせる》ハ大方江戸|物産《ぶっさん》といヘば江戸にてハ何かの物を下り/\とて皆大坂の物と呼て賣る。然れバ都曾の地ハ名前をかることお互ひ也としるべしhttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/763829/9