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1187-03-01から1ヶ月間の記事一覧

1187-03-31

■ 唐物語・雪々 昔、都に人の娘ありけり。みめかたちなまめかしく美くしかりければ、荒き風にもあてずして深き窓の内にかしづき養はれけり。齡やうやう人となる程に、父母世にあらむ事をかせぎいとなむ。この人これを聞きて、嬉しからず厭はしきさまになむ思…

1187-03-30

■ 唐物語・雪々 昔、都に人の娘ありけり。みめかたちなまめかしく美くしかりければ、荒き風にもあてずして深き窓の内にかしづき養はれけり。齡やうやう人となる程に、父母世にあらむ事をかせぎいとなむ。この人これを聞きて、嬉しからず厭はしきさまになむ思…

1187-03-29

■ 唐物語・雪々 昔、都に人の娘ありけり。みめかたちなまめかしく美くしかりければ、荒き風にもあてずして深き窓の内にかしづき養はれけり。齡やうやう人となる程に、父母世にあらむ事をかせぎいとなむ。この人これを聞きて、嬉しからず厭はしきさまになむ思…

1187-03-28

■ 唐物語・雪々 昔、都に人の娘ありけり。みめかたちなまめかしく美くしかりければ、荒き風にもあてずして深き窓の内にかしづき養はれけり。齡やうやう人となる程に、父母世にあらむ事をかせぎいとなむ。この人これを聞きて、嬉しからず厭はしきさまになむ思…

1187-03-27

■ 唐物語・雪々 昔、都に人の娘ありけり。みめかたちなまめかしく美くしかりければ、荒き風にもあてずして深き窓の内にかしづき養はれけり。齡やうやう人となる程に、父母世にあらむ事をかせぎいとなむ。この人これを聞きて、嬉しからず厭はしきさまになむ思…

1187-03-26

■ 唐物語・潘安仁 むかし、潘安仁と申す人ありけり。姿有樣類ひなくなまめかしく清げにて、そのかたちは、玉などのよく光るやうにぞ見えける。秋の哀を述べて賦に作り、事にふれて情ふかくやさしかりければ、世の中にありける女さながら名を聞きかたちを見る…

1187-03-25

■ 唐物語・王昭君 昔、漢の元帝と申す帝おはしましけり。三千人の女御后のなかに王昭君と聞ゆる人なむ華やかなることは誰にも勝れ給へりけるを、この人帝にまちかくむつれ仕うまつり給はゞ、我等定めて物の數ならじと、數多の御心にいどましく思しけり。この…

1187-03-24

■ 唐物語・上陽人 むかし、上陽人上陽宮に閉ぢ籠められて、多くの年月を送りけり。秋の夜春の日あけくれ、月の光、蟲の聲より外に又さし入りおとなふ人なかりけり。嵐にたぐふ紅葉の錦百囀の鶯の聲も、我がためはいと情なき心ちす。夜の雨窓を打つ音にも、愁…

1187-03-23

■ 唐物語・荀爽 昔、後漢の世に筍爽といふ人ありけり。心賢く顔美くしき娘をぞもちたりける。みめ心の類ひなきのみにあらす。ざえ才學ならびなくてせぬわざなかりけり。これを父母もいつきかしづく事限なし。かゝりければ、たかき卑しきさながら心をかけてね…

1187-03-22

■ 唐物語・楚荘王 昔、楚莊王と申す人、群臣を集めてよもすがら遊び給ひけり。その御傍に、淺からず思ひ聞えさせ給ひつる后侍ひ給ふを、人しれずいかでかと思ひ奉れる臣下ありけり。燈火の風に消えたりけるひまに后の御袖を取りて引きたりけるを、限なく憤り…

1187-03-21

■ 唐物語・平原君 むかし平元君と聞ゆる人、三千人のつかはれ人を集めてこれを憐みねもごろに思ひけるに、このあるじのおもひづま、高き樓の上に居て四方を見渡しけるに、跛へたる者の、はふはふゐざりつゝ水をくみに行きけり。左右の膝よりも頭猶引き入りて…

1187-03-20

■ 唐物語・程嬰 昔、晋の景公といふ人おはしけり。そのつかはれ人趙朔、國の政を取れり。また屠岸賈といふ人、爭ふ心やありけむ、やゝもすればこの趙朔を退けむと思ふ心深くて、とがをもとめ、なき事を言ひつげて、罪に行はるべきよしを、あるじに言ひけれど…

1187-03-19

■ 唐物語・朱買臣 むかし、朱買臣、會稽といふ所に住みけり。世に貧しくてわりなくてせむかたなかりけれど、文讀み物學ぶ事夜晝怠らす。そのひまにはたきゞをこりて、世を渡るはかうごとをしけり。かくて年月を經るに、あひ具したりける女、限なく貧しきすま…

1187-03-18

■ 唐物語・楊貴妃 昔唐の玄宗と申しける帝の御時、世の中めでたく治まりて吹く風も枝をならさず。降る雨も時を違へざりければ、皆人天の下おだしきに誇りて、花を惜み月を弄ぶより外のいとなみなし。帝も色にめで香にのみ耽り給へる御心のひまなきにや、萬を…

1187-03-17

■ 唐物語・呂后 むかし漢の高祖と申す帝おはしけり。呂后と聞え給ふ后、東宮の母にて誰よりも御志重く見えさせ給ひけり。ほか腹の親王趙の隱王と申す人を御志のあまりにや、帝も東宮に立てむと思しける御氣色を呂后見給ひて、あさましう心憂き事に思して、陳…

1187-03-16

■ 唐物語・西王母 昔、おなじ帝、誰とは申しながら、限なくこの世を惜み、命ながらへむ事をねがひ給ひけり。まぼろしといふ仙人に仰せて蓬莱不死の藥とりに遣しつゝ、はかなき御遊び戯ぶれにもこの世にながらへておはせむ事をぞ營み給ひける。おほよそ人の好…

1187-03-15

■ 唐物語・李夫人 むかし、漢の武帝、李夫人はかなくなりて後思ぴ歎かせ給ふ事年月を經れども更にをこたり給はす。そのかみ病せし時みゆきし給ひしかども、いかにも見え奉らざりけり。帝あやしとおぽしてこのよしを問はせ給ふに、「我君に慣れ仕うまつりし程…

1187-03-14

■ 唐物語・陵園妾 むかし、陵園といふ宮の内に閉ぢ籠められたる人ありけり。玉のはだへ花のかたちあざやかにて世にならびなく美くしかりけり。年若かりける時女御にいつきかしつかれて、うちに參りけるに、親しきうとき楊貴妃李夫人のためしにも勝りなむと思…

1187-03-13

■ 唐物語・娥皇女瑛 むかし尭と申す帝おはしましけり。御まつりごとより始めて萬めでたき御代のためしには、まづこの御事をのみこそ申すめれ。娥皇女瑛と聞え給ふ二人の后さぶらひ給ひけり。御心ざしいづれまさり給へりとけぢめ見えず。唯紅紫などのやうに淺…

1187-03-12

■ 唐物語・望夫石 昔、男女あひ住みけり。年などもさかりにて萬行く末のことまで淺からず契りつゝありふるに、この男、思の外にはかなくなりにけり。その後涙に沈みてあるにもあらす覺えけるを、我もわれもとねもごろに挑みいふ人ありけれどいかにも許さゞり…

1187-03-11

■ 唐物語・弄玉 むかし、秦の穆公の娘に弄玉と申す人ありけり。秋の月のさやけく隈なきに心をすましてまたく世の事にほだされず。また簫史といふ樂人あり。秋の月清くすさまじき曙に簫をふく聲哀に悲しきこと限なく、弄玉それにや心を移しけむ、進みてあひた…

1187-03-10

■ 唐物語・徳言 昔、徳言といふ人、陳氏ときこゆる女に相具して侍りけり。かたちいとをかしげにて心ばへなど思ふさまなりければ、互に淺からず思ひかはして年月を經るに、思の外に世の中亂れてありとある人、高きも卑しきもさながらやま林に隱れ惑ひぬ。去り…

1187-03-09

■ 唐物語・張文成 むかし、張文成といふ人ありけり。姿ありさまなまめかしくきよげにて色を好み情身にあまりければ、世にありとある女、さながら心強くは覺えざりけり。そのころ、時に逢ひ華めかせ給ふ后おはしましけり。數多のなかに萬勝れてなむ聞えさせ給…

1187-03-08

■ 唐物語・眄々 むかし眄々といふ人、長尚書に契を結びて幾年經れども露ちり互に心に違ふ事なかりけり。花の春のあした月の秋の夜も、諸共に舞を見、歌を聞きて遊び戯ぶるゝより外のいとなみなし。かゝれども、若き老いたる定めなき世のうらめしさは思の外に…

1187-03-07

■ 唐物語・宋玉 むかし、宋玉と聞ゆる人、かたちすがた世に類ひなく、ざえ才學ならびなかりけり。この人の住みける東の隣に、又世に類ひなく美くしき女ありけり。この宋玉をいかでもと思ふ心の忍ぴ難さに、東のかきに夜晝立ち添ひて窺ひけれど、三とせまで目…

1187-03-06

■ 唐物語・石季倫 昔、石季倫といふ人ありけり。萬の寳に飽きて世の貧しき事を知らざりけり。金谷の園のうちに五百の舞姫を集めて悦び樂む事夜晝を別かす。このうちに緑珠と聞ゆる舞姫なむ、數多の中にも勝れたりければ、身に優りて淺からす思へりけり。かく…

1187-03-05

■ 唐物語・相如 むかし、相如といふ人ありけり、世に類ひなき程に貧しくわりなかりけれど、萬の事を知り、才學ならびなうして琴をぞめでたく彈きける。卓王孫といふ人の許に行きて、月の明き夜終夜きんをしらぺて居たるに、この家あるじのむすめに卓文君とい…

1187-03-04

■ 唐物語・梁鴻 むかし、梁鴻といふ人、孟光にあひ具して年比住みけり。この孟光世にたぐひなくみめわろくて、これを見る人心を惑はして騷ぐ程なりけれど、この男を又なきものに思ひて、かしづき敬ふ事思ふにも過ぎたりけり。朝な夕なにいひがいとりてけこの…

1187-03-03

■ 唐物語・賈氏 むかし、賈氏といふ人、類ひなくかたちわろくて顔美くしきめをなむもちたりける。この女かばかり醜き人とも知らすあひそめにければ、悔しき事取り返すばかりに覺えけれど、いふかひなくて明し暮すに、よき事悪しき事すぺて物も言はすえも笑は…

1187-03-02

■ 唐物語・白樂天 昔元和十五年の秋、白樂天罪なくして江洲といふ所に流されぬ。その次の年の秋、入江のほとりに夜友を送りけり。松風浪の音を聞くに、愁の涙いと抑へがたし。かくて小夜も更け行く程に、空すみわたり月影波に隨へるを見るにつけても、我が身…