国語史資料の連関

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2010-03-27

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「おほつ」といふときハ平聲 「おほ山」といふときハ上聲 「おほ野」といふ時ハ去聲也。さりとて「お」の字をかへて「越」とハ書事なし。「をる居」といふハ平聲の輕也。但常に輕といふハ當りて重くいへば却て重なり。「和名」菊の下に本音之重 これつよく押ていふ故なり。これハ入聲入聲にも輕あれば平聲に引て准ず。

「をば伯母」といふハ上聲。「をとめ少女」と云ハ去聲。是又聲に依て「を」ゝ「お」と書替る事なし。「いゐえゑ」これに准ふべし。

かくのごとく三聲あり。入聲ハすべてなし。

以呂波と云もの出來て後四十七字をもて和語ハ云に及ばず音をも無窮に書にさはる事なし。音をからば假名ハ同じくて字のかたにて平上去入を分つなり。かなたの四聲の字をかりこなたの和訓の字にあはせて無窮に轉更して用る也。まさしく假名のまぎるゝハ五十音の中にあいうえをやいゆえよわゐうゑを此三行の内を出ず。いろはにハ此中にいえうの三音をはぶかれて残る十二字の内いゐえゑをおの三對六字これ用ゐわくべき字なり。其他はひふヘほの中下にありてわいうえをと聞ゆる音便又「あふり障泥」「あふひ葵」等の「ふ」の「を」のやうに聞え 「うまれ生」「うもれ埋」等の「う」の「む」にまぎるゝ抔 すこし心をつくれば知りやすきなり。