国語史資料の連関

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2010-03-30

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四聲の聲をさすことかくのことし。例をいはゞ、公平孔上貢去谷入かくのごとし。

平聲ハ聲の本末あがらず。さがらす。一文字のごとくして長し。

上聲ハ短かくして。すぐにのぼる。

去聲ハ。なまるやうに聲をまはす。

入聲ハ下にふつくちきの音ありて切直なり。蝶てふ鐵てつ宅たく七しち敵てき比類なり。

昔梁武帝。朱弃といふ臣に。四聲を尋ねまひし時。忽に天子萬福と答へ申けるとかや。比類なき事なり。平聲入聲とに軽あり。當りて居《スワ》るなり。天下などいふ天ハ平聲の輕なり。客僧などいふ客ハ入聲の輕なり。平聲の輕ハ。字の左の中ほどに聲をさし。入聲の輕ハ。字の右の中ほどにさすなり。此國の俗にていはゞ。天ハもと平聲なるを。常に天といふ。是にて叶へり。天地・天下・天子・天気などいふ時も同じ。天門冬。又天文の博士などいふ時ハ音便上聲なり。天王・天女・天神・天台・天狗などいふ時ハ去聲なり。此ふたつハ中華にハ叶はず。只此國の習ひなり。平上去の三聲の樣。皆これに准らへて知べし。和語にも平上去の三聲あり。

軽重