国語史資料の連関

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2010-03-05

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   二六 おかしとをかしと二つある事

田中道道麻呂が考へけるは、物をほめていふおかしは、おむかしのつゞまりたるにて、おの仮字也、又笑ふべき事をいふをかしは、をこといふ言のはたらきたるにて、をの仮字也、されぱこは本より二つにて、異言なるを、仮字づかひみだれて、一つに書から、同言のごと心得たるは、誤也といへる、まことにさることにて、いとよきかむかへなり、ほむるとわらふとは、其意大かたうらうへなるを、いかでか同じ言を通はし用ふることのあらむ、おむかしはフル言にて、書紀に徳字また欣感などを、おむかしみすとよみ、続紀宣命には、うむかし共見え、万葉の歌には、おをはぷきて、むかし共よめり、此道まろといひしは、美濃国多芸郡榛木村の人にて、後は尾張の名児屋に住て、またなくふることを好み、人にも教へて、ことに万葉集を深く考へ得たる人になむ有ける、年はやゝこのかみなりしかども、宣長が弟子になりて、二たび三たびはこゝにも来、つねはしば/\ふみかよはしてなむ有けるを、今はむかしの人になむなりぬる、大かたかの名兒屋に、いにしへ学びする人々の出来しは、此おきながみちびきよりぞはじまりける、

田中康二「をかし・おかし別語説の成立と受容」?