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2009-02-17

■ です(大槻文彦

「デス」わ、随分古くから、つかって来た語のようであるが、江戸でわ、元《も》と、芸人言葉で、軽薄な口調の「でげす」などと同じもので、明治以前わ咄家、太鼓持、女芸者、新吉原の茶屋女などに限って、用いられていたもので、町人でも、身分のある者わ、男女共に、用いなかった。

(『口語法別記』pp.297-298)http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1870070/182

 

惣郷正明>『日本語開化物語』p.63

水野雅央『標準語の現在』 p.35

野村雅昭円朝速記のゲス使用相」

大槻文彦博士のデス論 ロ語の末尾に附するデスは今日に於てこそ上下都鄙を通じて行はるれ維新前迄は全然藝人言葉にして如何なる素町人と雖も之れを用ゐるを恥ぢ藝妓や茶屋女は素人に復りて後も動もすれば此のデスを口にしてお里が知れると嘲笑されし程下等の言葉なりき然も維新前後大勢は悉く田舍武士の手に歸し彼等が東京の官人となり其の下等言葉をば眞の江戸言葉と早合點して遠慮なく使用し癖づけたる結果竟に今日の如く普通語となりて誰れも怪まぬに至りしなり云々と

『同方会誌』第二十九号(明治三八年一二月)p.71