2009-04-05 2009-04-05 ■ [方言意識史]蔑視されやすい行動の処理に比較的むいている 大阪弁は、日本の地方語のなかでも、もっとも広い流通領域を開拓した。そのプロセスで、大阪弁自身にも変容がおこり、この言語のもつ地方性も次第に制約されるようになった。これを下からの言語標準化の萠芽的な動きと解することができるかもしれない。町人社会の言葉であったために、他の地方語より身分的色彩がうすく、金銭や取引きという、日本人の生活で蔑視されやすい行動の処理に比較的むいていることも、この言葉の一つの特色と考えるべきであろう。 永井道雄「地方語の可能性と限界」(『思想と科学』1961.3)ツイートする