国語史資料の連関

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2009-02-02

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字音《ヂオン》にていふ詞は。皆つねこととも。又新しき言葉ともいはめ。是とても既に。寧楽《ナラ》の朝《ミカド》の頃より。哥にも作《ヨ》み入れたり。されどやまと言《ゴト》を正すてふうへには。字音を用るはよき事にはあらず。ゆるさば又其例なきにしもあらず。されど既にいふごとく。ひなびともなりみやびともなるは。唯《タヾ》その言のとりなしによる事なり。爰に『万葉集』のうちに。今いふつね言をよみ入れたる歌。また字音をよみ入たる哥のはべる。其詞どもをいさゝかぬきて。おほに左に出せり。

(中略)

   字音のたぐひ

香塗《カウヌリ》 婆羅門《バラモン》 力士〓《リキシマヒ》 法師等《ハウシラ》 檀越《タンヲチ》 餓鬼《カキ》 双六《スコロク》 功示申者五位乃冠《コウニマウサハコヰノカウブリ》

 これらのたくひ『万葉』にはみえつ。又鎌倉右大臣は。「弥重《ヤへ》の紅梅」ともよみ給ひ。「八大龍王」なども作《ヨミ》給へり。其外も侍らむか。爰には覚えず。先此ためしによりてよみ給はゞ。後の詞の字音なるも。強《シヒ》て咎《トカム》るといふ事にはあらず。

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p185-186