2009-02-04 2009-02-04 ■ [言語生活史]朗々と誦す 五才の春から親しく父の口授の下に、習ひ始めた「三字経」といふのは、其頃汎く世に行はれたもので「人之初。性本善。性相近。習相遠」などと韻を踏んで、倫理・道徳、天文、歴史、文学を極めて平易に説いた、三十枚程の本であつた。「三綱君臣義。父子夫婦従…。蚕吐糸犬守夜……」朗々として誦する父が句読は、今尚ほ耳底に在る心地がする。 (渋沢栄一『伝記資料』第一巻) 前田愛「明治初年の読者像」『近代読者の成立』ツイートする