2009-02-28
■ [方言意識史]シナリオと方言
荒井 「赫い髪の女」なんか一ヶ月かかって中上健次の著作、全部読んでね、それまで一冊も読んでなかった、同い年ぐらいで芥川賞作家っていうとあんまりね(笑)、読みたくないと。仕事だから読んだら、読みづらくってね、方言というのがね、苦労して全部の小説から和歌山弁にこのあたり表現が近いっていうのを拾っていった。結局、方言指導できる人が居なくて、映画では河内弁になった(笑)。何、苦労したのかっていう……ね。
金子 僕はシナリオ書くとき必ず方言を出すんです。東北・北海道・九州弁とかは絶対に他の人に負けないようにして。
荒井 方言出すとはずむんですね、セリフが。だけど、東映の人がやっぱり河内・関西弁がうまいですね。やくざ映画で慣れてるから。
丸山 方言は人物の生理とか息づかいとか出せるしね。「翔んだカップル」の勇介は九州で生れ育った少年というのにするでしょう、だけど僕が生れ育った所の言葉じゃ通用しないですよ。どっか博多とか長崎とか大分あたりで使われるんじゃないかっていうのを総合して、全県にわたって何となく使われそうな、よく言うと極めて高等な技術を必要とする(笑)。
丸山昇一(宮崎)