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2010-01-01から1年間の記事一覧

2010-04-14

■ [学史]仙源抄跋 抑文字つかひの翦、此物語(源氏物語のこと)を沙汰せんにつきては、心うべきことなれば、ついでに申侍べし。中頃定家卿さだめたるとかいひて、彼家説をうくるともがらしたがひて用るやうあり。おほよそ漢字には四聲をわかちて、同文字も習…

2010-04-13

■ [学史]仮名文字遣序 京極中納言【定家卿】家集拾遺愚草の清書を祖父河内前司【于時大炊助】親行に誂申さ春る時、親行申て云、を・お・え・ゑ・へ・い・ゐ・ひ等の文字の聲かよひたる誤あるによりて、其字の見わきがたき事在之。然間、此次をもて後學のため…

2010-04-12

■ [学史]軽重(静舎随筆) 言葉に清濁のふたつと。重き軽きの二は必ある也。もの皆清濁重きかるきあるは。即陰陽にして。天地おのつからのことわりなり。今のたゝことゝいへとも。清濁おもき軽きなき時は。分るへからす。古書に仮字つかひわけたるも専ら其事…

2010-04-11

■ [学史]軽重(安藤昌益 稿本自然真営道 第七 私法仏書巻) 音韻ノ清濁ト言フハ、自然・一気ノ進退、小大・厚薄ノ名ナリ。自然・一気、小進シテ木発生ノ気ハ、小厚気ニシテ小濁ナリ。厚《アツキ》ハ重《ヲモ》シ。薄《ウスキ》ハ軽《カロ》シ。小厚ハ小重ナ…

2010-04-10

■ [学史]軽重(和字解) ○お於 是を「おくのお」といふ。一字の訓咽より出るおもきよみこゑの上の字ごとに、大の字と御の字付たる字、是おもきかななり。○一字の訓とは、男雄尾御〓面、此類「おくのお」なり。是等の字上に有ても下に有ても。「お」の字書べ…

2010-04-09

■ [学史]軽重(北辺随筆) こゑの軽重をうしなへる事多きによりて、いよ/\仮名づかひの事、しげくなれり。軽重とは、はひふへほの、わゐうゑをにまがふ事なり。 軽重 http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20050103ツイートする

2010-04-08

■ [学史]軽重(和字解) ○を遠 是を「中のを」といふ。上にあつても、よみこゑかろき所に用ゆ。小の字をことよむかな、是かろきなり。又訓の中下右四品中のをの字用ゆべし。皆くちびるより出るかろきかななり。上にありてかろきよみこゑの字とは、咽より出ざ…

2010-04-07

■ [学史]軽重(和歌童翫抄) わつか成 いろはの内におなじこゑ あるは かろきと おもき音なり(中略)はじめの歌は、いろは四十七字の内 いゐ をお 江ゑと同じこゑのあるは、「い」はかろく「ゐ」はおもし。「を」はかろく「お」はおもし、「江」はかろく「…

2010-04-06

■ [学史]軽重開合(和字大観鈔) 音に軽重と開合との差別あり。いにしへかな使をさだめられける時。あながちに。軽重開合のをしへもきこえざれども。後よりをしきはむれば。軽重開合のわかちにて。さだめたる物と見ゆ。いをえは。開の軽きに用ひ。ゐおゑは合…

2010-04-05

■ [学史]いろはの文意(和字大観鈔) 以呂波は。涅槃經?の諸行無常。是生懺法。生滅々已。寂滅〓楽〓。四句の文の意を。つゞり玉へるなりとそ。色ハ〓〓散去ルヲ。我世誰ゾ有常。有為ノ奥山今越テ。淺キ夢不見。酔も不〓との。其詞に作り給へり。是を隠して…

2010-04-04

■ [学史]あかさたなはまやらわの次第は。輕きより重きに至る(和字大観鈔) 横のあかさたなはまやらわの次第は。輕きより重きに至るなり。あかさは。喉牙歯の音にて。わをひらきて軽く出る音なり。たなの二つは。下のはたらきすこし用ゆる音なり。はまのふた…

2010-04-03

■ [学史]あいうえをは浅喉、わゐうゑおは深喉(和字大観鈔) 唇音は。もとより軽唇重唇とて。韻鏡の上にも二品わかれて。むつかしき事あれば。其音も一様ならず。和音もはひふへほと。まみむめもと。軽重二しなあるなり。又喉音は。惣じて音の根本。皆喉より…

2010-04-02

■ [学史]かな書に重き軽き有(假奈津可飛?) かな書に重き輕き有て、事の分を口にはしるといへども、かなづかひの差別はさらにあらざりしを、河内守親行かなをかき分てあまねく人にしらせんとて一册をつくりをかれしより、かなづかひは定れりとなり。 軽重 …

2010-04-01

■ [学史]華音を以て軽重を分つは無相師に始まれり(韻学筌蹄) 軽重 附 行の單複軽重のこと、華音を知らざれば弁ずべからず。軽重と云は複行の所にある呼法の差別なり【呼法とは字を唱ふる時の口中のはこびを云ふ】韻図に單複行の称あり。或る韻学家の譯に、…

2010-03-31

■ [学史](和字正濫通妨抄) あいうえを、此五音は本音なり、やいゆえよ、わゐうゑお、これは末〈音〉(韻)なり、やの下のいは、やを父とし、あの下のいを母として、也以切、以となる、ゐもまた、わを父とし、いを母として、わいの切、ゐとなる故に、共に末な…

2010-03-30

■ [学史](和字正濫抄) 四聲の聲をさすことかくのことし。例をいはゞ、公平孔上貢去谷入かくのごとし。平聲ハ聲の本末あがらず。さがらす。一文字のごとくして長し。上聲ハ短かくして。すぐにのぼる。去聲ハ。なまるやうに聲をまはす。入聲ハ下にふつくちき…

2010-03-29

■ [学史](和字正濫抄) はまハ共に唇音ながら。はハ唇の内に觸て軽く。まハ脣の外に觸て重し 軽重ツイートする

2010-03-28

■ [学史](和字正濫要略) 桶 をけ 和名に乎計。行阿の假名邉に桶とのみいふ時の假名ハおけ小桶といふ時ハこをけなりといへり。行阿の意を推量するにをハ軽くかハ重しと分ちて平聲にあたりてすゑ去聲にまはしていふ 此ニッハ重く上聲に直く上るを軽しとして…

2010-03-27

■ [学史](和字正濫要略) 「おほつ」といふときハ平聲 「おほ山」といふときハ上聲 「おほ野」といふ時ハ去聲也。さりとて「お」の字をかへて「越」とハ書事なし。「をる居」といふハ平聲の輕也。但常に輕といふハ當りて重くいへば却て重なり。「和名」菊の…

2010-03-26

■ [学史]牙音喉音にも軽重を立つるは甚穏ならず(韻鏡指要録) 舌音の第二第三等歯音の第二第三等も唇音に準へて軽音とす。其知徹澄嬢は端透定泥に比れば舌を用ふること軽し。照穿牀審禅は精清従心邪に比ぶれば歯に当ること軽ければ各軽音とするに失なし。又…

2010-03-25

■ [学史]喉音にも亦軽重あり(音韻断) 索隠*1の中にも云へる如く、軽重と云名はもと惟唇音にかぎりたることにて舌音にては舌頭舌上【又舌腹とも云】と云ひ、歯音にては歯頭正歯と云ふ。されども其音の別を論ずるに全く唇音の軽重に類したることなれば、概し…

2010-03-24

■ [学史]平仄を以て軽重と覚えたる人あり(韻学口訣) 軽重と云は。右七音の内。唇舌歯三音にあることなり。牙喉半舌半歯の四音には軽重なし【平仄を以て軽重と覚へたる人あり。意得ちがひなり】 或書に云 軽重と云は唇音而已にして餘音には軽重なき由書けり…

2010-03-23

■ [言語生活史]集議と魚市(村垣淡路守の日記) 評議の席とて案内するに二十間に十間もあるべき板敷にして四方折廻し、二階敷にして合天井の如く、格子に組て金銀彩色の模様ある玻璃の板を入、高き事二丈余も有べし、正面高き所に副統領(ワイスフレッシテン…

2010-03-22

■ [位相][文体][表記意識]男から女への手紙(貝原益軒「書禮口訣」) 一 女中へ男の方より遣状の事。假名にて、男の文體を少やはらかに書べし。女の文體に不v可v書。又艶書に似たる文言かくべからす。 「セクハラ禁止」というわけではない。ツイートする

2010-03-21

■ [位相][表記意識]まぜ書き(貝原益軒「書禮口訣」) 一 女中方への書札、脇付。(中略)我名乘の上の字を假名に書、下を眞字に書。或上を真名、下を假名に書べし。 ツイートする

2010-03-20

■ [待遇表現][表記意識]尊者へ草略に書べからず(貝原益軒「書禮口訣」) 一 尊者の方へは、悉く文字をちひさく引つめて書べし。大に草略に書べからず。 ツイートする

2010-03-19

■ [待遇表現]唐名の無礼(貝原益軒「書禮口訣」) 一 我官に、唐名を書べからず、無禮也。人の官を、唐名に書は敬なり。 ツイートする

2010-03-18

■ [音韻][学史]「をお」にのみ言へるは、豈に偏曲ならずや(契沖「和字正濫通妨抄」) 行阿の意、をおを用るに、音の輕重によりて用分へしと思はれたるか、〈手折たをる、折おる、〉小桶こをけ、桶おけ、〈深〉(み)山下風〈みやま〉をろし、山下風〈やま〉お…

2010-03-17

■ [音韻]ye,wo(契沖「和字正濫鈔」) えはいより生ず。えといふ時・舌に觸て・最初に微隱なるいの音そひて。いえといはる。をはうより生ずる故に。初に微隱なるうの音そひて。脣に觸て、うをといはる。 ツイートする

2010-03-16

■ [学史]おを所属弁 おハ軽クシテあ行ニ属シ、をハ重クシテわ行ニ属ス。然シテ古来錯リテ、をヲあ行ニ属テ軽トシ、おヲわ行ニ属シテ重トス,諸説一同ニシテ、数百年来イマダ其非ヲ暁レル人ナシ 軽重 山田孝雄『五十音図の歴史』pp.189-190戸田吉郎「契沖と五…