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2010-01-01から1年間の記事一覧

2010-03-15

■ [学史]五十音によりて古言のこころを(村田春海「五十音辨誤」) 古言のこゝろをとくに、五十音によりていふ事は、はやくより有し事にて、顯昭法師、仙覺律師などもおほくこれによりて古言を注せし事あり。近き世にいたりて、難波の契沖阿閣梨、稻荷山の荷…

2010-03-14

■ [表記意識]送り仮名(仮名遣近道抄) 一 をくりかな 侍らん 三字めをくる也 侍べらんとはあしゝ 成らんもおなじ心得 來つらんの時は如此 來らんとはあしし 四五字のよみは はたに/\文宇ををくる也 とゝの とゝの 調ふる 調へる とゝ とゝ とゝのふ 調の…

2010-03-13

■ [方言意識史]可愛いなまりも消えた(阿久悠作詞「京都から博多まで」) 京都育ちが 博多になれて可愛いなまりも いつしか消えた http://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=319281972年 阿久悠『詩小説』にも「京都から博多まで」あり。 詩小説 (中公文庫) …

2010-03-12

■ [方言意識史]福岡の言葉は乱暴(獅子文六「悦ちゃん」) 福岡の子供は、言葉は乱暴だけれど、正直で温和しい。 ツイートする

2010-03-11

■ [位相]【はべり】が古今集にあるとは(今物語) ある人、歌よみ集めて、三位大進と聞えし人の許に行きて見せあはせけるに、「侍るといふことをよみたりけるを歌の言葉にあらず」といひければ「古き歌にまさしくあり」といひけり。「よもあらじものを」といふ…

2010-03-10

■ [近代語]今に東京詞の生粋は失ってしまうでしょう(岡鬼太郎) 貰って来た雑誌の小説を、少し読み掛けて見ると、それは/\大変だらうぢゃないか、江戸ッ子の職人だとか云ふ若造が、二言目には「ベランメエ」さ、然うかと思うと、「内らにはそんな者は居ねえ…

2010-03-09

■ 「音便の事」(『玉勝間』巻一) 古語の中にも、いとまれ/\に音便あれども、後の世のとはみな異なり、後ノ世の音便は、奈良の末つかたより、かつ/゛\みえそめて、よゝをふるまゝに、やう/\におほくなれり、そは漢字三音考の末にいへるごとく、おのづか…

2010-03-08

■ 「からぶみよみのことば」(『玉勝間』巻一) 漢籍《カラブミ》をよむに、よのつねにことなる語の多きは、いとふるくよりよみ來つるまゝの古語なるが、後に音便にくづれたる也、「曰」を「のたうまく」とよむは、「のたまはく」の音便也、又「のたばく」にて…

2010-03-07

■ [音韻]「ちつの濁り」(『年々随筆』) 九州、四国の人の物いひには、ちと、しと、つと、すとの濁音、おのづからわかるといふ。常其国々の人にあひて、物いふはきゝながら、心もつかで過しつるを、さいつ比、思ひおこして、松平肥前守殿の家臣峰六郎矩当とい…

2010-03-06

■ 【もじ】【文字】(玉勝間・巻一) 三八 言をもじといふ事 歌のみそぢひともじを、近きころ古学するともがらは、字といふことをきらひて、卅一言といひ、五もじ七もじなどをも、五言七言とのみいふなれ共、古今集の序にも、みそもじあまりひともじと有て、い…

2010-03-05

■ 【おかし】【をかし】(玉勝間・巻一) 二六 おかしとをかしと二つある事田中道道麻呂が考へけるは、物をほめていふおかしは、おむかしのつゞまりたるにて、おの仮字也、又笑ふべき事をいふをかしは、をこといふ言のはたらきたるにて、をの仮字也、されぱこ…

2010-03-04

■ 【侍る】(玉勝間・巻四) 二二 侍るといふ詞侍るといふ詞、伊勢物語には、たゞ二つならではなし、その二つは、せうそこ文の中にある也、 ツイートする

2010-03-03

■ 【御】(玉勝間・巻四) 二一 御といふ詞のつかひざまの一つ源氏物語に、仏の御かれうびんがの声、御ひとつ腹、御まへわたり、宮の御侍従の乳母、仏の御同じ帳台、宮の御二条の北方、などあるこれらの御てふ詞、今の世の心にて思へば、仏のかれうびんがの御…

2010-03-02

■ 【女三宮】(玉勝間) 二〇 女一宮女二宮など申す唱ヘ女一宮女二宮など申す女字、音によみならへれども、栄華物語などに、男一宮男二宮などもある、男は音にはよむべくもあらず、必をとこ一の宮などゝよむべければ、女もいにしへは、をんな一の宮、をんな二…

2010-03-01

■ [語釈]【うきよ】(玉勝間) ○うきよとは憂き世といふ事にて、憂事のあるにつきていふ詞也。古き歌どもによめるを見て知るべし。然るをからぶみに、浮世といふ事もあるにまがひて、常に浮世と書ならひて、たゞ何となく世の中のことにいふは誤り也。古歌を見…

2010-02-28

■ 助数詞(卯花園漫録) ○枚といふ詞、分といふ詞の事、足あるものは一器といふ。右にても紙にても張ば一張といふ。蓋あるものは一分といふ。中へ物の入らざるものは一枚と云。太刀なども一枝と有り。貞觀式に、太刀の身一枝とあり。 ツイートする

2010-02-27

■ [表記]歌の懐紙の真似(卯花園漫録) ○絶句を三行三字、律詩を五行三字にかくといふは、歌の懐紙の眞似をして、五山の僧のしいだしたるなるべし。 ツイートする

2010-02-26

■ [人名]人名反切(卯花園漫録) ○名乘を反すといふ事、何者のしはじめたる事なる。今の世には、王公大人の定れる法のやうになれるは、上を學べぱなり。詞花集の頃よりと聞ゆ。異國に齊の明帝、ことの外に物をいまふ性にて、人の名を反したる事あり。それは…

2010-02-25

■ [語釈][待遇表現]【殿樣】(卯花園漫録) ○大名、貴人を殿樣と、世の人おしなべて云ならはせり。殿と稱する時は關白に限るなり。關白の人を殿下と稱す。又一の人といふ。一人と稱し奉るは天子の御事なり。一の上と申は左大臣なり。關白を殿下と稱するより…

2010-02-24

■ [語釈]【かたじけなし】(俚言集覧) (増)かたじけない 大坂詞 忝なきなり 目上の人へもありがたしと言はず忝いといふ かたじけなき かけまくもかたじけなきはちはやぶる神のみあれにあふひ也けり恐多き意かたじけなし〔續日本紀宣命〕辱彌(カタシケナミ) …

2010-02-23

■ [音韻]【よんべ】(卯花園漫録) ○ゆふべをよんべと言、返事をへいしといふは誤りにあらず。珠數をずゝといひ、又可v有といふ事をあんべいといふなど、皆源氏物語に見えたり。さすれば關東べいなどゝ譏る事にはあらざるべし。 ツイートする

2010-02-22

■ 【恰好】(卯花園漫録) ○物の形容の相應したる事を恰好と云也。恰好よく、又よき恰好といふは重言也。 ツイートする

2010-02-21

■ 【閼伽】(卯花園漫録) ○アカとは印度の詞に、水をアカといふ.。アカの水といふは重言成べし。 ツイートする

2010-02-20

■ [語源説]【かたな】(卯花園漫録) ○刀をかたなとよむは、片刃の轉語也と、貝原篤信申置れたれども、馬場信種考に、片薙の下略ならんと、此説よし。草薙は諸刃なれば也。 ツイートする

2010-02-19

■ 以呂波(卯花園漫録) 簾中抄曰、以呂波四十七字は本歌詞也。自v以迄v遠十二字、護命僧正作v之。自v和迄v末三十五字。弘法大師作v之。蓋本2梵字十二摩多三十五體文1。而統2四十七宇1。其讀也加v歌矣。云々。〔割註〕色はにほへどちりぬるを、わが世誰ぞ常…

2010-02-18

■ 依勅書以呂波(卯花園漫録) ○台記に、久安六年正月十二日、今日今麿參2御前1。依v勅書2以呂波1と有。此頃も童にいろはをかゝせし也。今麿は隆長卿のわらは名なり。 ツイートする

2010-02-17

■ [音韻]日本随筆索引 音韻 音韻論(難未八ノ一) 字音假名辨(海録一八ノ三〇九) 文字の音韻(鹽尻?三三ノ五六八) 字母(難未五ノ一) 四十三轉(難未三ノ) 四十一轉(難未五ノ二二) 圖徴(難未五ノ二〇) 四聲に泥むまじき事(難未五ノ二三) 單音、音便(老牛下ノ一三…

2010-02-16

■ [文字][言語教育]日本随筆索引 手習 手習といふは漢語なり(一話四一ノ二一) 手習は阪に車を押す如し(松筆七七ノ三二) いろはの出來ぬ前は手習始に難波津の歌と淺香山の歌を教へし事(南窓一ノ三九四) 依勅書伊呂波(卯花一ノ三〇九)* 手習師匠 手習師匠多く…

2010-02-15

■ [音韻]日本随筆索引 五十音 五十連音(晤語上ノ一) 経緯(北邊?一ノ九) 五十音の配字(松筆?一六ノ一五) 國音五十母子(藝苑?二ノ一ヨリ三六) 五十音、第六行第十行の音(老牛下ノ一四、一五) 五十音の本源(碩鼠?一ノ一) 五十音圖は悉曇に本づく(難江三ノ八〇) …

2010-02-14

■ 日本随筆索引 語音 (藝苑二ノ一〇) 音の存亡(北邊三ノ二七) ――の變遷(多波下ノ六) ――を異にするの失(一話一七ノ二三) 唐国の四聲(年々二ノ一四ヨリ一八) 平假字の四聲(海録一五ノ四一七) チとシと通ふ例(擁書二ノ一四)(松棟一ノ一九) ツとトと古言相通(筆…