2010-04-03
■ [学史]あいうえをは浅喉、わゐうゑおは深喉(和字大観鈔)
唇音は。もとより軽唇重唇とて。韻鏡の上にも二品わかれて。むつかしき事あれば。其音も一様ならず。和音もはひふへほと。まみむめもと。軽重二しなあるなり。
又喉音は。惣じて音の根本。皆喉より。出る故に。喉音に其品おほき也。あらはに牙歯舌唇にわたりて。わかれたる音を除きて。残る音の。喉にしづみて別ちがたきもの三つあり。あいうえを。やいゆえよ。わゐうゑおなり。その中あいうえをは。開の音にて。軽く外にあらはるゝなり。わゐうゑおは。合の音にて。重く喉にせまる音なり。震旦金の韓道昭が五音集韵に。浅喉深喉と云事を立てたり。今のあいうえをは浅喉なり。わゐうゑおは深喉と云ものなり。