国語史資料の連関

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2006-01-01から1年間の記事一覧

2006-03-17

■ [謡曲共通語]堀江秀雄『言文一致文範』博文館 明治40.12.23 p14 徳川時代(とくがはじだい)に、遠方(えんぽう)の大名(だいみょう)と大名(だいみょう)との間(あひだ)に婚儀(こんぎ)でも結(むす)ばれる時(とき)は、相互(そうご)に使用(しよう)する言語(げんご…

2006-03-16

■ [謡曲共通語]観世清廉氏談「発音の話」、「能楽」第18号、明治36年12月1日)p30 九州人と奥州人との談話に互ひの詞が通ぜず。謡の詞で以て始めて其の意を通ずることが出来たと言ふことは、昔から名高い話でありますが。其れと是れとは事変りますれど、私が…

2006-03-15

■ [方言意識史]「奥九旅人/井中水」(文化5年) 奥九二州(おうきうにしう)旅客(りょかく)洛南(らくなん)東寺(とうじ)御影供(.ゑいく)へさんけいせし道(みち)の記(き) おもふに田舎人(いなかびと)の鄙劣(ひなび)たる言葉(ことば)は国々(くに/゛\)の風土(ふう…

2006-03-14

■ [謡曲共通語]吉町義雄「日本語の諸相──九州方言」 『国文学解釈と鑑賞』4-7(38)昭和14.7.1 p115新井白石が正徳年間『西洋紀聞』上巻「凡そ五方の語言同じからねば、たとへば、今長崎の人をして、陸奥の方言聞しめむには、心得ぬ事多かるべけれど」*は時中…

2006-03-13

■ [方言意識史]新井白石『西洋紀聞』 (正徳5年)上巻 『思想大系』p.11 東洋文庫p.6凡そ五方の語言同じからねば、たとへば今長崎の人をして、陸奥の方言聞しめむには、心得ぬ事多かるべけれど、さすがに我国の内のことばなれば、「かくいふ事は、此事にや」…

2006-03-12

■ [謡曲共通語]『音曲玉淵集』 〔片仮名の濁点は元のまゝ、平仮名濁点はすべて補〕濱田敦編開題 臨川書店発行 昭和50.11.30 p169巻之三一もろ/\の音曲おほしといへども、祝儀といへば、上は天子より下万民に至る迄、能囃子(ノウハヤシ)謡を主(シュ)とする…

2006-03-11

■ [謡曲共通語]高田早苗『半峰昔ばなし』 昭和二年早稲田大学出版部刊『半峰昔ばなし』。早稲田大学二代目の総長、高田早苗、号は半峰の自叙伝とも言うべき書で、筑摩書房の明治文学全集98『明治文学回顧録集(1)』にも抄録されている(残念なことにこの項は…

2006-03-10

■ [謡曲共通語]保科孝一『ある国語学者の回想』 昭和27年10月 朝日新聞社 180頁わたしの伯父宮島誠一郎が、十七藩の総代として密奏を企て、陸前の寒風沢から乗船、兵庫に上陸して捕えられ、兵庫県令伊藤博文の尋問を受けた。 郷里から一歩もふみ出たことのな…

2006-03-09

■ [謡曲共通語]網野善彦・上野千鶴子・宮田登『日本王権論』 (昭和63年1月30日、春秋社刊) 第5章「江戸王権の支配構造」188頁 網野▼ それに一方では、非農業民、職能民は、天皇を自分流に伝説化した由緒書を作って、彼らの特権の保証にしている、というこ…

2006-03-08

■ [謡曲共通語]鈴木光次郎『明治豪傑譚』巻之二 鈴木光次郎『明治豪傑譚』巻之二 明治24年10月 34-35頁 黒田了介(くろだれうすけ)謡調(うたひてう)を以(もっ)て応答(おうとう)す戊辰(ぼしん)の役(えき)、黒田了介,参謀(さんぼう)を以(もっ)て羽州,軍中(ぐん…

2006-03-07

■ [方言史][方言意識史]葉隠 四九 何がし大坂へ数年相勤め罷り下り、請役所罷り出で候節、上方口にて物を申し候に付て、無興千萬の物笑ひにて候。それに付、江戸上方へ久しく詰め候節は、常よりも御国口ひらき申すべき事に候。おのづから気前よそ風に移り、…

2006-03-06

■ [方言史]九州で通辞 秀吉が九州征伐をした時には通弁を使用したのである。 東恩納寛惇「沖縄県人の立場より」(『わが沖縄2』p41)にあるが、典拠未詳。ツイートする

2006-03-05

■ [方言史]尾張訛を改めず 双方が関白太政大臣、北の政所となりあがっても、いつも、尾張なまりの大声で語りあったという逸話 桑田忠親『太閤豊臣秀吉』講談社文庫 s61.9.15発行 p65(もと『はだか太閤記』s36.4.20 講談社)にあるが、典拠未詳。ツイートする

2006-03-04

■ 関東訛(式亭三馬『四十八癖』) 式亭三馬『四十八癖』文化一四年(一八一七年)世(よ)に関東訛(くゎんとうなまり)と呼来(よびきた)れども関東(くゎんとう)の人おの/\訛(なま)るにあらず。其証(そのしるし)は高貴(こうき)の人を見(み)よ。言語(ことばづ…

2006-03-03

■ [江戸語]江戸訛・本江戸(式亭三馬『狂言田舎操』) 文化八年(一八一一年)式亭三馬『狂言田舎操』巻上「でく蔵」ハテ江戸訛(えどなまり)といふけれど。おいらが詞(ことば)は下司(げす)下郎(げらう)で。ぐっと鄙(いや)しいのだ。正銘(しゃうめい)の江戸言…

2006-03-02

■ 言文一致と方言(大和田建樹『作文宝典』) 大和田建樹『作文宝典』M30.12.23(M31.9.17 5版) p35言文一致体は東京詞にもせよ西京詞にもせよ。又は九州詞奥州詞にもせよ。わづかに一地方の方言に属せるものにして。文章の価は未だ与えがたきものにものにあ…

2006-03-01

■ [方言史]通辞(古川古松軒『東遊雑記』) 天明八年 巻之八(平凡社東洋文庫202頁) 言語は男女ともチンプンカンにて、十にしてその二つ三つならでは解せず。すべて御巡見使は御領主より、御巡見使一人に御案内の外に二人か三人か、御城下元の万事に心得た…

2006-02-23

■ [その他]男もすなる……(城戸千楯「紙魚室雑記」巻之二) 12:36 ○土佐日記のはじめのところ同人説、土佐日記のはじめの処*の詞に、男もすなる日記といふものを、女もして見んとてす也とあるを、是も彼国の古本には男文字なる、日記といふものを女もじして見…

2006-02-20

■ [方言史]遠州訛(馬琴「覊旅漫録」) 09:36 〔十七〕遠州訛遠州より西は、半元服の娘多し。白歯のむすめはたえてなし。ゆくべきをゆかず、くらふべきをくはずなど、ずの字をそへていふこと。駿州より尾州のあひだみなしかり。就v中遠州人ずが多し。ツイー…

2006-02-05

■ [言語生活史]千代田文庫?(明治事物起原 第七) 21:31 千代田文庫? 千代田文庫?は、皇城和田倉門内にあり。もと、城内山里にあり、山里文庫?といへり。明治十七年、皇居御造営の地に当たり、いまのところに移り、その名を改む。つねに多くの図書を蔵置し、…

2006-02-04

■ [言語生活史]大橋図書館の始め(明治事物起原 第七) 21:20 大橋図書館の始め 明治三十五年六月十五日、大橋図書館開業す。同日はあたかも博文館創立の十五周年記念日なり。同館は、大橋佐平が、川上大将の旧邸を買ひ、その邸地内を敷地として、建設に着手…

2006-02-03

■ [言語生活史]浅草文庫(『明治事物起原』第七) 13:10 浅草文庫 板坂卜斎?の浅草文庫は、寛永時代のものにて、ここに記さんとするは、明治七年の文庫なり。 この年、始めて地方官会議を東京に開くはずにて、九月十日を限り出京するやうに、各地方官に通達…

2006-02-02

■ [近代語]西洋礼式の輸入(明治事物起原) われわれ日本人は、四の数をきらひ、西洋人は十三の数をきらふごとく、彼我の信仰、伝説、人情等、万事に相違あり。ゆゑに欧米人との日常交際上、彼の礼式習慣のひととほりを心得ざれば、思はぬ不利を醸すこともあ…

2006-01-27

■ [字音資料]石川雅望「ねざめのすさび」○漢音呉音にて書をよむ事 20:52 ○あるひとのいはく、儒書は漢音もて読べし。仏書と医書は呉音にてよむこと、いにしへのならひなりといへり。考るにしからず。仏書を呉音もてよむべからずといへること。いにしへ既に天…

2006-01-26

■ [その他]石川雅望「ねざめのすさび」○古言 20:45 ○古言ふるき詞は代をふるにしたがひてうつりゆく物なり。鐔の字、和名抄に、唐韻云。鐔音尋、一音潭。和名都美波。劒鼻也とあり。此つみはを、今は高きもいやしきも皆つばとぞとなふる。又同書に、温室経云…

2006-01-25

■ [その他]石川雅望「ねざめのすさび」○すてがな 20:33 ○すてがな真字の下に仮字をそへてかくをすてがなとぞいふなる。あるひとのかたりしは、二字の詞にすてがなをせず。三字の詞よりすてがなをそふなり。たとへば善《ヨシ》といへるは二字の詞なれば、すて…

2006-01-24

■ [方言史]石川雅望「ねざめのすさび」○てんこちなし 20:30 ○てんこちなしゐなか人の詞に、てんこちもなしといへることは、ふるき詞なり。宇治拾遺物がたりに、てんこつもなくおろ/\かなてたりければとあり。実に古言はゐなかにぞおほくのこりたり。ツイー…

2006-01-23

■ [学史]石川雅望「ねざめのすさび」○かなづかひ 20:28 ○かなづかひかなづかひは古書によるべきことなりといへるはさも有べし。されど強ていまとたがはんとせるこゝろより、なか/\にかたくなゝる説をもいふめり。かほると云かなをかをるとかきて、万葉集に…

2006-01-22

■ [その他]石川雅望「ねざめのすさび」○俗文のあやまり 20:22 ○俗文のあやまり今の世の俗文に、御座候といふ文字をあまた用てかく事にす。御座はおはしますと云訓なれば、人をあがめいはんにはさもかくべし。おのれの事をいふにもこれを用て、不佞義も病気に…

2006-01-21

■ [方言史]石川雅望「ねざめのすさび」いかのぼり 20:18 ○いかのぼり都人はいかとよび、関東人はたことよべり。形の烏賊魚に似たればなり。ふるき絵はもとより、近ごろ西川祐信のゑがける物、みな烏賊魚のかたちせり。関東にては章魚といへるも、足のおほか…