2006-02-23
■ [その他]男もすなる……(城戸千楯「紙魚室雑記」巻之二)
○土佐日記のはじめのところ
同人説、土佐日記のはじめの処*の詞に、男もすなる日記といふものを、女もして見んとてす也とあるを、是も彼国の古本には男文字なる、日記といふものを女もじして見んとて、すなりとあり。さて此文字の字の字を古くずと訓て、文字をもずといへりし也、是にて彼是諸説のうたがひは無用の事にて、よく分明なりといはれたり、げにさてはさる事なり。
同人は、「出雲人中臣典膳正蔭主」。「天保十二年十月廿日上京にて訪はれける時」に話したこと。前条が、「今の書紀よりふるきもの」であるという「かな日本紀」の話なので、信頼は出来ないが、「男文字・女文字」で解する人が江戸時代にもあったという記録として。
日本随筆大成1-1 p643
(新1-2)
【参考】