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2006-03-09

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(昭和63年1月30日、春秋社刊)

 第5章「江戸王権の支配構造」188頁

 網野▼

 それに一方では、非農業民、職能民は、天皇を自分流に伝説化した由緒書を作って、彼らの特権の保証にしている、ということがあるんだけれども、その中で芸能民の場合、彼らは芸能の詞章で天皇を語って歩き回っている。これが文書、文字の均質性とはまた違ったレベルで、ある共通語をつくりだすんですね。明治になって、薩摩の武士が東京に来た時に言葉が通じないのでどうしようもなくて、能、謡曲の言葉で話したら、相手に通じたという有名な話があるんですけれども。これはほかの局面でもある話だから、謡曲の詞章は少なくとも武士の間の共通語にはなりえているんですね。