国語史資料の連関

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2006-03-03

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文化八年(一八一一年)式亭三馬狂言田舎操』巻上「でく蔵」

ハテ江戸訛(えどなまり)といふけれど。おいらが詞(ことば)は下司(げす)下郎(げらう)で。ぐっと鄙(いや)しいのだ。正銘(しゃうめい)の江戸言(えどことば)といふは。江戸でうまれたお歴(れき)々のつかふのが本(ほん)江戸さ。これは又ほんの事(こっ)たが。何(いづれ)の国(くに)でも及(およ)ばねへことだ。然様(さやう)然者(しからば)。如何(いかゞ)いたして此様(かやう)仕(つかまつ)りましてござる。などゝいふ所は。しゃんとして立派(りっぱ)で。はでやかで。実(げに)も吾嬬(あづま)男(をとこ)はづかしくねへの。京女郎(きゃうぢょうろ)と対句(ついく)になる筈(はず)さ。ちっとお談義(だんぎ)が長(なか)くなるが。江戸は繁花(はんくゎ)の地(ち)で。諸国(しょこく)の人(ひと)の会(あつま)る所(とこ)だから。国%\の言(ことば)が皆(みな)聞(きゝ)馴(なれ)て通(つう)じるに順(したが)って。諸国(しょこく)の言(ことば)が江戸者(もの)に移(うつ)ろうぢゃァあるめへら。そこでソレ。正真(しゃうしん)の江戸言(ことば)は。孰(どれ)か夫だやら混雑(めったくさ)に為(なっ)たといふものさ。それでもお歴(れき)々にはないことだ。皆江戸訛(なまり)といふけれど。訛(なま)るのは下司(げす)下郎(げらう)ばかりよ。