国語史資料の連関

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1695-01-01から1年間の記事一覧

1695-02-11

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(10) 一、此ノ四音、元來各別也。抑モ、音韻の義に依て是を論ずるに、「し・す」は齒音(しおん)にて、「さ・し・す・せ・そ」の一行(いっかう)《ひとくだり》也。「ち・つ」は舌音(ぜつおん)にて、「た・ち・つ・て・と」の一行也。濁りて…

1695-02-10

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(9) 一、此ノ四音の事、倭語(わご)の假名文字(かなもじ)ばかりにて沙汰するにあらず。漢(かん)字本ヨリ各Z別也。又、文字に書クのみにあらず、口に唱(とな)ふる時にも亦同じからず。其ノ詞に因て其ノ字を使ひ、其ノ假名に隨がひて、其ノ音…

1695-02-09

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(8) 一、今時家Zの暖簾(のんれん)鑑板(かんばん)其ノ外、此ノ比板行(はんかう)せし草紙・物語等を見るに片言(かたこと)は中/\取ルにもたらず、能書悪筆共に此四音の假名違(ちがひ)甚ダ多し。縱ば「十(じふ)」を「ぢう」、「筋(すぢ)」を…

1695-02-08

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(7) 一、人の名に「次(じ)」と「治(ぢ)」を一つにつき、「十(じふ)」と「重(ぢう)」を通(かよ)はし使ふ、尤モ誤(あやまり)なり。是レ四音の辨(べん)の明ならぬ故也。「次」は「じ」、「治」は「ぢ」、「十」は「じふ」、「重」は「ぢう」、…

1695-02-07

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(6) 一、此の編(へん)、「し・ち・す・つ」四音の假名使(づかひ)を專(もっぱら)とする故に、倭(わ)訓(くん)の外に、漢字(かんじ)の音をも書キ載(のせ)ぬ。但シ猶ホ外に紛(まぎ)るゝ假名有リ。縱(たとへ)ば本清の「昌(しゃう)・證(しょう)・…

1695-02-06

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(5) 一、元來清(すみ)たる音なれ共、上の響(ひゞき)に隨がひて濁(にご)る事有リ。「心(しん)」の字を「用心(ようじん)」・「點心(てんじん)」、「中(ちう)」の字を「心中(しんぢう)」・「老中(らうぢう)」、「水(すい)」の字「寒水(かんず…

1695-02-05

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(4) 一、凡そ「鹿(ろく)」の字の讀(よみ)は「しか」といふ假名なれば、「麋(おほじか)」・「麞(くじか)」等は、皆「し文字」也。「路(ろ)」の字の訓(くん)は「ち」の假名なれば「旅(たび)路(ぢ)」・「夢(ゆめ)路(ぢ)」、皆「ち文字」也。摺…

1695-02-04

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(3) 一 凡ソ同じ字の詞は必ズしも悉クに記(しる)さず。縱(たとへ)ば「入來(じゅらい)」の下に「入内(じゅだい)」・「入院(えん)」・「入御(ぎょ)」・「入洛(らく)」・「入魂(こん)」・「入水(すい)」・「入破(は)」と註(ちう)する、是也。…

1695-02-03

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(2) 一 凡そ類集の次第、初には乾坤(けんこん)〈あめつち〉の類、次に生植(しやうしよく)〈うへもの〉の類、次に氣(き)形(ぎやう)〈いきもの〉の類、次に器用(きよう)〈うつはもの〉の類、終に情状(じやうじやう)〈こころかたち〉態藝(たい…

1695-02-02

■ 蜆縮凉鼓集 凡例(1) 一 此書を輯(あつ)むる事、本より兒女の輩のためなれば、其ノ詞の頭(かしら)字(じ)を取て、以呂波の序(ついで)に隨がひて是を集む。又、「ゐ・お・ゑ」の假名(かな)をも三(さん)音(おん)通(つう)呼(こ)の義に任せて、「い・を・え」の…

1695-02-01

■ 蜆縮凉鼓集 (序) 假名文字使蜆縮凉鼓集上 抑モ此ノ書を編纂する事は、吾人、言ヒ違ふる詞・書き誤れる假名文字あるを正さんため也。其ノ詞、他にあらず、「しちすつ」の四の音なり。此ノ四字は清て讀ムときに素より各〻別なるがごとくに、濁りて呼ぶ時に…