国語史資料の連関

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1695-02-06

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一、元來清(すみ)たる音なれ共、上の響(ひゞき)に隨がひて濁(にご)る事有リ。「心(しん)」の字を「用心(ようじん)」・「點心(てんじん)」、「中(ちう)」の字を「心中(しんぢう)」・「老中(らうぢう)」、「水(すい)」の字「寒水(かんずい)」、「通」の字「神通(じんづう)」といふ類也。又、「として」「かくする」などゝ云「てにをはの詞」に、「軽(かろ)くして」を「輕(かろ)んじ」、「重(おも)くする」を「重(おも)んず」といひ、「感(かん)じて」「變(へん)ずる」といふの類(るい)あり。皆、「し」・「す」の假名なり。又、「とんづはねつ」、「くんづころんづ」といふも「飛(とび)つ組(くみ)つ」と云フ詞なる間、「つ文字」也。是レ等は皆本の清ミたる假名のまゝに書クべし。是レ自然(しぜん)の連聲(れんじゃう)也。但シ世話(せわ)に、「う・むの下は必ズ濁る」といふ事、「荘子(さうじ)」・「荀子(じゅんじ)」の類也。され共、定法(ぢゃうはふ)にはあらず。「曾子(そうし)」・「閔子(びんし)」、是なり。