国語史資料の連関

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2005-12-05

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〔十一〕かくれあそび

宇都保物語〕初秋《はつあき》の巻《まき》に云、「草《くさ》のなかに、笛《ふえ》の音《ね》のし侍《はべ》るを、たづねてなむ、うへ{朱雀院也}、{同御詞}草笛《くさぶえ》をこそはふきけれ。大将《たいしやう》{かねまさ也}、{同詞}かくれあそびをやし侍らん、と聞え給へば云々。」〔栄花物語〕つぼみばなの巻《まき》、長和三年の条《くだり》に云、「をとこぎみは、いみじうおもひきこえ給へれど、なほいとこゝろづきなく、ともすれば、御かくれあそびのほども、わらはげたるこゝちして、それをあかぬことにぞおぼされたる。」とあり。【これらにかくれ遊びとあるは、今云《いまいふ》かくれんぼなるべし。たび/\いふことなれど、わらは遊びには、とにかくにふるき事のこれり。〔書言字考〕に、白地蔵《はくぢざう》の三字《 じ》を、かくれあそびと訓《くん》ぜるは、白地《あからさま》にかくるゝ、かりそめの遊び、といふ義ならん。○寛文の比は、これをかくれごともいへり。〔古今夷曲集〕寛文五年撰、序文《じよのぶん》に、「おさあいを、あひや手打《てうち》、川水《かはみづ》の阿〓《あわゝ》、いな舟《ぶね》の■頭々々《かぶり/\》、土佐《とさ》の手々甲《ぜゝがかふ》、大和《やまと》の元興寺《ぐわんごうじ》隠期《かくれご》などやうの事を、もてつらね、かいちらす、云々。」とあり。】

物類称呼〕【安永四年撰。】巻五に、「かくれんぼ、出雲《いづも》にて、かくれんごと云、相摸《さがみ》にて、かくれかんしやうと云、鎌倉《かまくら》にては、かくれんぼと云、仙台《せんだい》にては、かくれかじかといふ。」【醒云、鱗は石間にかくるゝものなればならん。】かゝれば、かくれんぼはかくれ子《ご》の転語《てんご》、かくれ子《ご》はかくれ遊びの遺言《ゐげん》なるべし。

参考文献

高田衛八犬伝の世界』(中公新書ちくま学芸文庫