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2007-04-16

[方言意識史]鹿児島言葉、とんと分からぬ

渋沢栄一『雨夜譚』岩波文庫p.72

全体この折田(要蔵)という人は薩藩ではさまで身分のよい人ではないけれども、幕府からの御用というのでにわかにその宿所に紫の幕を張って、容体ぶるというような風であったが、その従者は総て純粋の鹿児島言葉であるから、他郷の人には頓と話が分らぬ。ところで自分はやや鹿児島言葉もまた江戸の言葉も分るから、他方へ使者の用事などはいつでも折田から自分へ命じて、


井上ひさし「国語元年」前書(『叢書日本語の世界10日本語を生きる』ISBN:4124017308

折田要蔵