国語史資料の連関

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2009-03-05

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 笠原 たかだか一週間位ぴょこぴょこ広島へ行ったって何にもならないよ。何も分らない。こんなの取材のうちに入らないよ。

 中島 でも、随分ヤクザの人とはかなり突っこんだあれはあったでしょ。

 笠原 いやあ、話というより、その雰囲気をキャッチできればだいたい分かるんでね、言ってることは。だいたいヤクザなんてあんまりしゃべらないよ、本当の事は。

 中島 でも、広島弁なんてスラスラ出てくるでしょ。

 笠原 広島弁、これは出て来ちゃうね。「何を言うとんの、お前」ってなふうに。

 中島 テレビの山城新伍広島弁で。

 笠原 そうそう。でも、あれは呉のは本当の意味での広島弁じゃないのね。あそこは明治何年かに軍港にしたでしょ。その時に、いろいろと地方から人を集めたわけですよ。主に九州が多いのね。九州弁が入ってるの。だから非常に言葉がぞんざいだし。本当の広島弁はもっとまろやかだし、もっとやさしいよ。

 中島 割と新藤さんなんかがお書きになる広島弁なんかは、土佐の言葉なんかに少し似ていて、ノンビリ聞こえますね。

 笠原 まろやかだよね。

 中島 「そうじゃのう」って感じで。

 笠原 だから、僕なんかが使っているのは「何言うとるの、このクソッたれ。往生せいや」って風で、これは随分九州弁に近い。

対談笠原和夫×中島丈博

シナリオ』1977.4