国語史資料の連関

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2009-01-25

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大和田建樹『歌まなび』

歌は其人々の程度に応じて、子供は子供らしく、女は女めきてよみいでんこそ、誠の声なるべけれ。おのれ十三四歳の頃ききたる俳句あり。

  振袖の力くらべや小松引

と。作者は渡辺何がしの妻君なりしが、いかにも女らしくて感ふかしと子供心にも思ひたりき。小学児童の作文に、一瓢を携へてといひ、杖を曳きて逍遥すと作りけん時代は過ぎたるものを。

序p4-5

明治34

http://opac.ndl.go.jp/recordid/000000503052/jpn

夏目漱石「吾輩は猫である」

「奥さん、月並と云うのはね、まず年は二八か二九からぬと言わず語らず物思いの間に寝転んでいて、この日や天気晴朗とくると必ず一瓢を携えて墨堤に遊ぶ連中を云うんです」

明治38年

滑川道夫『作文綴方教育史

明治24石井研堂の指摘など、多くの例有り。

徳川夢聲

新潮(第五五巻)昭和廿六年二月號「小林秀雄徳川夢聲対談

いつも乙か乙上しか先生くれない。そして漢文みたいな名文を書くやつは、みんな甲なんだな。それは「一瓢を携えて墨堤に遊ぶ」というようなことを中學生が書く時代でしてね。