2013-01-12
■ [言語政策][待遇表現][言語作法]礼法要項(昭和一六年) 第五章 言葉遣ひ
一、長上に対しては相当の敬語を用ひる。
二、自称は、通常「私」を用ひる。長上に対しては氏又は名を用ひることがある。男子は同輩に対しては「僕」を用ひてもよいが、長上に対しては用ひてはならない。
三、対称は、長上に対しては、身分に応じて相当の敬称を用ひる。
同輩に対しては、通常「あなた」を用ひ、男子は「君」を用ひてもよい。
四、対話者以外の人に就いて語る場合、長上は勿論、その他の者にも、相当の敬称・尊語を用ひる。長上に対して、その人より地位の低い者に就いて語る場合には、たとひ自分より上位の者であっても、普通には敬称・敬語は用ひないか、又は簡略にする。
五、自分の近親に就いて他人に語る場合には、敬称・敬語を用ひない。一般に当方の事に就いては敬称・敬語を用ひないのを例とする。
六、受答には、必ず「はい」と言ふ。特に長上に対して「えゝ」と言ふのはよくない。
七、長上に対しては、なるべく「ございます」「あります」「参ります」「致します」「存じます」「遊ばす」「申します」「いたゞきます」等、時に応じて用ひる。長上には「です」「もらふ」「くれる」等は用ひない。
八、他人の物事には「お」「御」を附け、自分及び当方の物事には用ひないのを通例とする。一般的の物事にも用ひないのを通例とするが、口調や慣習で用ひる場合もある。
九、言語は出来るだけ標準語を用ひる。http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1464441/14
参考文献
浅田秀子「「これからの敬語」の背景・理念と国民の実態」『国語論究13昭和前期日本語の問題点』