2013-01-07
■ [文章作法]「おせん泣かすな馬肥やせ」(提醒紀談)
○制札三条
東照宮、参州御手に入し時、本多作左衛門?、高力左近、天野三郎兵衛三人を奉行に仰せつけられ候ところ、これまで今川家領知の村々は、先代の事など申争ひ、おさまりかね候ところもありしかば、これに依て作左衛門罷り越し、制札を見候所、法度の箇条多くむづかしきゆゑ、制札を相改む。
一人を殺すものは命がないぞ、
一火を付ると火あぶりになるぞ、
一狼藉をせば作左しかるぞ、
とかな文字にて、三条に書あらたむ。その後よく治りたるとなり。
ある時、作左衛門留守の妻女の方へ、書状をつかはしたる文に、一筆申火の用心、おせん泣すな馬こやせと書ておくりけるとなり。〔古老物語?〕