国語史資料の連関

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2012-09-02

雑炊(浮世物語4-9 七草をたゝく狂歌の事) 雑炊(浮世物語4-9 七草をたゝく狂歌の事) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 雑炊(浮世物語4-9 七草をたゝく狂歌の事) - 国語史資料の連関 雑炊(浮世物語4-9 七草をたゝく狂歌の事) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

今はむかし、正月七日のあした七草をたゝく。寅の一點より拍子をとりて、かしましくうちたゝく。そののちは増水にして喰ほどに、あまりすいた物ではないとおもひつゝ、うき世房かくよみて、小性衆にかたりけり。

七草をいきをひげにはたゝけども餅つくをとにはるかをとれり

かやうによみ侍べり。増水を御すきのかたは是非もなし。此歌の下の句の「はるか」といふ「は」の字を、いかにも永々とひいて、吟じて給はれと語りき。

うき世房は、増水がことの外きらひにて、そのかみ道心おこしける折ふし、世間おほいに米たかゝりければ、寺に朝夕増水ばかりを食はせけり。そのときかくぞ思ひつゞけける。

山田もる身ほども米をもたざればみそうづのみにあきはてにけり

とよみて寺をば出にけり。http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/945807/196