国語史資料の連関

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2012-09-01

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藤市《ふぢいち》出《いで》て三人に世渡《よ 》りの大事《だい 》を物がたりして聞《きか》せける。一人申せしは、

「今日《こんにち》の七草《なゝくさ》といふ謂《いはれ》はいかなる事ぞ」

と尋《たづ》ねける。

「あれは、神代《かみよ》の始末《しまつ》はじめ、増水《ぞうすい》と云事を知《しら》せ給ふ」。

又壱人、

「掛鯛《かけだい》を六月/迄《まで》、荒神《くはうじんの》前《まへ》に置《をき》けるは」

と尋《たづ》ぬ。

「あれは朝夕《てうせき》に肴《さかな》を喰《くは》ずに、是をみて、喰《くう》た心せよと云事《いふこと》也」。

又太箸《ふとばし》をとる由來《ゆらい》を問《とひ》ける。

「あれは、穢《よごれ》し時 白《しら》げて、一膳《 ぜん》にて一年中《 ねん 》あるやうに、是も神代《かみよ》の二柱《 はしら》を表《ひやう》すなり。よく/\、万事《ばん 》に気を付《つけ》給へ。扨《さて》宵《よひ》から今まで、各《をの/\》咄《はな》し給へば、最早《もはや》夜食《やしよく》の出べき所なり。出《だ》さぬが長者《ちやうじや》に成《なる》心なり。最前《さいぜん》の摺鉢《すりばち》の音《をと》は、大福帳《 ふくちやう》の上紙《うはがみ》に引糊《ひくのり》を摺《すら》した」

といはれし。http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2554354/29

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1053549/22